ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第9節FC東京vsサンフレッチェ広島@味スタ20170430

2017-05-01 19:05:37 | FC東京

四月最後の日曜日。ゴールデンウィーク二日目はこの時期らしい爽やかな陽気に恵まれました。

地元小平デーとなった本日迎えますは、近年にない不調に陥っている広島。本日のYou'll Never Walk Alone♪

まるのJ1初ゴールを守り切って連勝です。

東京は拳人が怪我のためお休みです。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは徳永と宏介。ボランチは洋次郎が出身チームとの対戦に間に合ってスターターに復帰し梶山と組みます。メイヤは右に広貴左に慶悟。2トップは遼一と嘉人です。

広島は前節と同じ布陣です。シフトは3-4-2-1。GKは卓人。3CBは右から塩谷、千葉、水本。ボランチは青山と野上。WBは右に高橋左に柏。2シャドウは右にアンデルソン・ロペス左に晃誠。1トップは工藤です。

前節は、新潟のガムシャラな圧力を前にして受け身なサッカーをせざるを得なかった東京でした。でも、そんななかでも、チームのコンセンサスがしっかり取れていることが感じられました。今日、それを確かめることができます。

東京の闘いかたは基本的に前節と変わりありません。基本的な作戦は今更なので省略しますけど、こうして直近の二試合を比較してみると、あらためてサッカーは相対的なスポーツだなぁと実感します。前節と今節の違いは、新潟と広島の闘いかたの相違そのものです。

新潟と広島の相違の象徴は守備の考えかたにあります。端的に言うと新潟は積極的な守備で、広島は受ける守備です。同じく受ける守備を基調とする浦和に対して東京が良い入りかたができていたことを考えると、今の東京は、試合を主体的にコントロールしたいチームとの相性が良いのかもしれません。

もともと東京は、広島との相性はそれほど悪い印象がありません。むしろホームで負けアウェイで勝つ、不思議なイメージがあります。確実なのはいつもロースコアになること。もうひとつ不思議なのは、ベースとなるサッカーを同じくする広島と浦和との対戦を比較すると、広島には勝てるのに浦和との相性が良くないことです。それは、選手を出す側と取り入れる側の差異なのでしょう。

浦和は、ミシャが毎年設定する課題をクリアするために獲得した選手をアジャストすることで、チームを絶えず刺激し進化させています。ところが広島は、毎年のように主力が抜かれますから、ポイチさんは広島のサッカーを守るために、広島のサッカーに当てはめられる選手を限られた編成のなかから選択します。だからこそ、ポイチ広島はいつもずっと、まったく同じサッカーをしているにもかかわらず、緊張感を内在しています。ずっと同じサッカーに向き合う広島サポはどう感じているかわからないけど、少なくとも外様のぼくらは、毎年このスリルを味わうことができますから、同じサッカーを見ても飽きることがありません。

ポイチ広島の凄みは、いついかなるときも同じサッカーをやり続けることだと思います。いま苦境にありながら、それでもやはり広島は広島のサッカーを貫いていました。

今日の結果は、そもそも東京と広島の闘いかたが噛み合うことが導きました。それは、東京伝統の広島対策を凌駕するほどのクオリティが、今の広島にはないことにつきます。

優勝した2012年、2013年、2015年の一試合平均得点は1.5〜2.1。2014年と2016年も得点力はこの水準にあります。一方平均失点は、優勝した年はほぼ0.9。逆に優勝を逃した年は1.1。微差ですから広島の安定感を物語りますけど、守備の堅さこそが広島の成績をかたち作っていることがわかります。今年ここまでの平均得点は0.8。失点は1.3。いずれにも課題はあると思います。でもどちらかというと得点力の減衰のほうが幅が広いので、主たる課題は攻撃だろうと思います。

そこであらためて広島の攻撃を見ます。広島はサイドアタックを基調とするチームです。WBにいかに高い位置でボールを持たせるかが生命線。これができれば相手を覆うように囲いこむ、独特なポゼッションの状況を作り出すことができます。WBを高く位置取らせる原動力はシャドウのポストです。広島のシャドウは上下につるべのように動いてポストを受けます。これで攻撃にリズムを生み出します。ボールを支配して動かすことができるようになると、サイドは縦に中央はフレキシブルに動いてスペースメイクします。これに青山と塩谷が絡むことで人数をかけた攻撃を作り出します。

東京と広島の試合が噛み合う要因は、東京の中盤が、広島の攻撃の基点であるシャドウのポストに守備のターゲットを絞ることができるからです。この理由はよくわからないけど、とにかく縦の変化には安定しています。それでも広島に洋次郎や石原がいたころは、ポストも単純な上下動ではなくアクセントがあり、東京は手を焼きました。ドゥグラスや晃誠の代になると安定して対応できるようになります。昨年は広島自身が右シャドウに苦しみましたから、これがますます顕著でした。今年も広島はシャドウに苦しんでいるようです。とくに右シャドウは、編成の改善に例年以上に取り組んでいるようですけど、目下まだ結果が出ません。ロペスはショートパスで攻撃を組み立てる広島のなかでアクセントになるドリブラーアタッカーですから、機能しはじめるとドゥグラスと同様の活躍が期待できると思います。辛抱のし処。

もう一つの広島のキーポジションはWBです。伝統的にテイストが異なるアタッカーを左右に据えます。右はクロッサーで左はドリブラー。今年のセットは左右ともオールラウンダーですけど、破壊力に足るクオリティを保っているのは、現状では柏だけです。前半で広島が有効なサイドアタックを見せたのはたった2回。柏にいたっては20分ころまで存在感すらありませんでした。柏は後半、うってかわって広島唯一の攻撃ルートとして輝きを見せました。一方高橋はアタッキングサードに入ってからの仕掛けの威力不足ですね。プレーのキレは良いですからチャレンジし続けることで伸びると思います。ここも辛抱のし処。

ただ、見方を変えると、広島の凄みは不調の今だからこそより鮮明に浮かび上がるのではないかと思います。それは、どんなときでも広島のサッカーを貫くこと。勝つ実績のあるサッカーを継続しているということは、選手のクオリティが一定水準以上であれば勝てるということ。象徴的に言うと、石原が抜けて下降したけどドゥグラスが入って優勝し、ウタカが計画通りのポジションにはまらず優勝を逃したことが証明しています。このようなベースロードを構築したことこそポイチさんが広島にもたらした最大の成果だと思います。広島サポにあたたかさがあるのはそれをわかっているからでしょう。今年が仮にダメでも、選手は育ち、必ず復活します。それが羨ましくもあります。

さて、というわけで東京の狙いは広島の中盤です。前線のフォアチェックを前提に、ロペスと晃誠に入るタイミングをはかって洋次郎と梶山が仕掛けます。これは前線と中盤の間隔をコンパクトに保てているからこそできること。このあたりにもコンセンサスの成立が伺えます。

攻撃のほうも広島対策を徹底します。5+4の堅固な守備網を突破するために、まず高い位置でトランジションすること。それからアタッキングサードに時間をかけずに入り、仕掛けること。今日の東京のサイドアタックは左右アシンメトリーでした。右は、嘉人がライン際に流れることが多く、広貴と徳永と絡んだ人数をかけたアタックです。

一方左は、宏介と慶悟のコンビネーションで高橋の背後を狙います。左右いずれの場合も、アタッキングサードであえてタメを作らず、素早くクロスを供給したときがビッグチャンスにつながっていました。それからサイドアタックを有効にする基準はやっぱりポストの安定です。遼一の安定感は、毎度言うようですけど、いつも頼りになります。

今日の布陣のポイントはボランチです。中盤の構成が試合展開上の争点でしたから。ここまで篠田東京は基本的にNo.5タイプとワンコタイプのミックスで構成してきました。今日は、拳人不在がきっかけではありますけど、はじめてNo.5タイプを並べる興味深い布陣です。といっても自分が動いてリズムを作る梶山とボールを動かしてリズムを作る洋次郎というテイストの異なる組み合わせは、状況変化に対する補完力を高めることができる期待があります。今日はゴールに絡むことはなかったけど、それぞれシュートがありましたし、ペナルティエリアでフィニッシュに絡む働きもできていたので、継続してみてもおもしろいと思います。

東京が今日も、守備の安定を重視するリアリスティックな闘いかたで望んだため、予想通りとても静かな試合展開になりました。そんななかでも思惑に沿わせることができたのは広島封じが機能した東京です。前半はスコアレスのまま終了。

互いに終盤勝負と見たのでしょう。後半も前半同様静かに立ち上がります。ただ、広島は左サイドアタックの比重を高めます。晃誠がやや下がり加減になったことでポストが安定します。これで柏が頻繁にアタッキングサード深くに進出できるようになります。広島のゴールの可能性は、セットプレーと柏にしぼられますけど、むしろそのほうがシンプルに闘えるメリットもあったと思います。

そこで篠田さんが動きます。梶山に代えて草民を同じくボランチに投入します。梶山のコンディションを考慮して、ワンコタイプを右サイドに置きます。

ポイチさんも動きます。ロペスに代えて森島を同じく右シャドウに投入します。左サイドの加重が高まることでロペスがチャンスメークする機会が減っていたことへの対処だと思います。もうひとつはシャドウの模索でしょう。

この時間帯に篠田さんがさらに重ねます。広貴に代えて拓馬を同じく右メイヤに投入します。広貴のコンディションを考慮したのだと思います。コンサバティブな選択でしたけど、この後の展開がカウンター基調になっていくので、今期リーグ戦初メンバー入りだったバーンズを試してもおもしろかったと思います。

この直後、ついに、ついについに、いつもセットプレーに入り、たまにFKを蹴り、高さも強さもあっておまけにスタイルもルックスも笑顔も良いあの男が、ゴールの香りを微塵も感じさせなかったあの男が、ついについにゴールするときが訪れます。

68分。宏介の左CK。広島はストーンをゴール前に三枚。東京はこの間に洋次郎を置きます。そして主力を中央に集めるパターンです。ニアから慶悟、拓馬、まる、ファアに嘉人。真ん中に遼一をスクリーンに使ってエースモリゲです。広島はマンマークでつきます。宏介のモーションと同時に拓馬と慶悟がニアに走り、森島と千葉を引きつけます。このとき中央では、モリゲのスクリーン役を装っていた遼一がフェイドアウェイからなかに入ってくる動きを見せます。これに本来遼一のマーカーの水本が反応できず、塩谷と野上がつきます。宏介は遼一にピンポイントで合わせます。遼一は塩谷と野上に挟まれながらもヒット。これがファアサイドへのフリックのかたちになります。このときファアには、ニアからダイアゴナルに入っていたまるがいました。まるのマーカーの塩谷は遼一についていたので、まるはどフリー。こぼれたボールは右足に入りましたけど、落ちついて流し込みました。まるはJ1初ゴール。東京1-0広島。

先制を許したポイチさんが動きます。高橋に代えてミキッチを同じく右WBに投入します。右サイドの攻撃パターンを変えて、オプションを加える意図だと思います。

東京はやっぱり、リードすると極端なリトリートモードに入ります。広島にイニシアチブを渡します。そこまでの流れで広島のリズムを掴めていましたから心配はなかったけど、過去になんども痛い想いをしてますから、もう少しタイムマネジメントをしても良かったと思います。広島が攻め切るかたちが増えるので、流れのなかでのトランジションの頻度が下がります。これは致しかたないのだけど、ボールを持てたときもカウンターを急いでいたシーンもあったので、もうちょっとコントロールできたかなと思います。

ポイチさんが超攻撃モードを選択します。水本に代えて皆川を投入します。同時にシフトを3-3-2-2に変更します。皆川は工藤と並んでトップに入ります。左CBには野上が回ります。アンカーは青山。ターゲットマンを増やして裏のスペースを狙う意図だと思います。

これに対し篠田さんが〆にかかります。遼一に代えて永井を同じくトップに投入します。ロングカウンターの脅威を広島の背後に与えることと、前線のプレッシングの圧を高める意図だと思います。

結局広島の超攻撃モードは奏功せず、東京の安定感が終始勝りました。このまま試合終了。東京1-0広島。本日の眠らない街♪まるのシュワッチ

あらためて、今の状態の広島をこのタイミングで観ることができたことは、試合以上の価値があったと思います。継続性の強みと怖さ。同じサッカーを貫くことは成績の安定をもたらすと思っていたのですけど、もしかすると間違いかもしれません。当てはめる選手のクオリティによって成績が上がる可能性があるということは、反面下がる可能性も今年の広島は示唆しています。それほどJ1という闘いの場はシビアということなのでしょう。

東京は、浦和戦でまずは序盤の底辺を観たのでしょう。新潟戦から基本的な闘いかたの方向性が変わり、結果が出てきました。前線にタレントが揃っていますから、リアリスティックな闘いに変更することは易しいことではないと思います。篠田さんが持つ、勝負運を含めたマネジメント力にあらためて期待します。とは言え、あくまでも今の状態で勝ち点を積み上げるための暫定対処です。チームのバイオリズムが上がってきたあかつきには、あらためて多様で魅力的な攻撃の構築にチャレンジしてもらいたいと思います。

ゴールデンウイーク連戦の次は、たぶん今年最初で最後のYLCグループステージ参戦です。


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