ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第18節FC東京vsV・ファーレン長崎@味スタ20180727

2018-07-28 15:42:39 | FC東京

台風12号が近づいていて、先週までの酷暑がうそかもと思えるような秋のような涼しさがやってきました。台風が列島を横断しそうで、西日本の被災している地域が心配です。

今年からレギュラー開催のフライデーナイトマッチ。なかなか良いですね。ご家族がいらっしゃるかたは週末をサッカーに取られずにすみますし。それに週末が控えているから心おきなく騒げるかも。

残念ながらヴィヴィくんには会えませんでした。はたらく人たちに優しいフライデーナイトマッチに迎えますは、長崎。You'll Never Walk Alone♪

二重の意味でゴレアーダ後の試合を不安に思ってましたけど、長崎の見事な作戦にはまり、10試合ぶりの敗戦。ホームにいたっては四か月以上負けてませんでしたね。

東京は今日もターンオーバーです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは拓生。CBはモリゲと初スターターの丹羽。SBは室屋と宏介。CMは拳人と洋次郎。メイヤは右に慶悟左に晃太郎。2トップはディエゴと永井です。

長崎はほぼ前節と同じ布陣です。シフトは3-4-2-1。GKは徳重。3CBは右から徳永、ヨルディ・バイス、高杉。WBは右に飯尾左に翁長。CMは黒木と島田。2シャドウは右に澤田左に武蔵。1トップはファンマです。

前節のゴレアーダはまだ記憶に新しいですけど、その前の5得点の試合はアウェイの長崎でした。ディエゴ砲が咆哮してハットトリック。自然な流れというか、不敗が続く好調ですから、東京は基本プランを変える必要がありません。そこに落とし穴がありました。

東京の好調なリスタートは、ファストブレイクのキレと精度が前半戦を上回っていることに起因しています。それはもちろん、東京自身のトレーニングの成果だと思いますけど、一方で相手がいずれもポゼッションスタイルだったことにも理由があります。むしろそっちのほうが要因の加重としては高いのかもしれません。長崎戦を終えて、そう思います。東京のファストブレイクの起点はいうまでもなく中盤です。チームプレッシングからの中盤のトランジションが、攻撃のスピードとキレを支えています。これは、とりもなおさず相手ボールが中盤を渡ることが前提です。

さて、今日の長崎のプランです。結論をいうと、長崎は中盤を省略しました。攻撃ルートは二つ。最終ラインから直接ファンマ、武蔵に長いフィードを送り、一気にアタッキングサードに入るルート。もう一つは、島田から左右のWBに渡すルート。前者は東京の守備陣形が整っている場合に、この重心を下げる目的で使われます。後者こそ、今日の長崎の真意が含まれていました。

ワンプッシュで東京の重心を下げることで、長崎は守備網を囲い込む、3バック独特の攻撃布陣を敷きます。左右のWBが最前線に上がり、3トップは中央に集まります。その下に黒木がいてシャドウの役割を引き継ぎます。扇の要に島田が入ります。3バックは基本的に動かず、東京の宝刀ロングカウンターに備えます。ポイントは島田をフリーにすること。フリーになった島田からどちらかのWBに渡りますけど、これはブラフ。長崎はWBtoWBのサイドチェンジを多用します。これによって守備網をゆさぶり、アタッキングサードのサイドにスペースを作ります。そこから長崎は一気に加速します。空いたスペースにアタッカーが流れこみ、躊躇なくクロスをゴール前に供給します。そこには3トップに逆サイドのWB、さらには黒木も参加していて、厚みのあるクロスアタックを仕掛けられるようにしてあります。これを繰り返すことで、延々とつづく長崎のオーガナイズの源が形成されます。

東京は、長崎がいさぎよく完全に中盤を省略したので、プレスが無力化されてしまいます。これではファストブレイクの効きようがありません。時折長崎がオーソドックスにバイタルエリアを使おうとしますので、その時だけは拳人を中心としたトランジションが効くのですけど、これも、ある意味で長崎の罠です。

東京のファストブレイクのもう一つの鍵は、前線のコンビネーションです。ファストブレイクの基点となるポストのクイックなフリックに相方が反応し、攻撃が加速します。長崎はまず、ディエゴを封じにかかります。ディエゴに対し、バイスを頂点として黒木と島田で形成する中央の逆三角形で応じます。これで、ディエゴのポストを不発にできなくとも時間を作り、攻撃を加速できないようにします。

東京側の要因としては二つ。ディエゴと永井のコンビネーションが戻っていません。永井が怪我で離脱をしていましたから、その影響だろうと思います。永井にまだ躍動感が戻ってきていないように見えます。

もう一つは、中盤の構成です。中断前はダイヤモンド型で上昇気流に乗りました。再開後はシーズンイン当初の二枚CMに戻しています。それでも機能しているのは洋次郎のポジション故ではないかと思います。洋次郎が前線を浮遊してスペースメイクをすることで、もうひとつのファストブレイクの基点になり得ていました。洋次郎が下がることで、基点としてのディエゴの負担が増えているように感じます。なので、シュート数とFK数で長崎に完全にオーガナイズされる状況を変えるためには、洋次郎を上げることを選択肢にするべきかなと思っていました。

それから今日は、イージーなパスミスも目立ちました。チームの重心が低く、かつ長崎がハイプレスを基調としていたのでミスは起こり易い状況ではありました。それにしても、いやそれだからこそ、状況を打開するためのコンセントレーションは、パスの出し手、受け手ともしっかりと高める必要があったのではないかと思います。

前半は長崎に完全に試合を掌握されたまま終了。

後半頭から健太さんが動きます。永井に代えて敬真を同じくトップに投入します。永井の状態を考慮したのだと思います。それでも基本プランに変更はなく、試合の状況は変わりません。

リズムを変えたのは丹羽のワンプレーです。モリゲが、たまたま高い位置でフリーでボールを持ったので、そのまま攻撃参加します。このアタックはバイタルエリアで防がれ、例によって長崎のカウンターが発動しかけます。このとき、長崎がファンマに入れようとするポストを、その寸前で丹羽がチャレンジして防ぎます。これは長崎のカウンターを予防するだけでなく、非常に高い位置でトランジションをすることにもつながり、直前の攻撃陣形をそのまま使うことができました。これにより、しばらくの間長崎の重心を下げることに成功します。こうなると、ディエゴのポストが安定し、慶悟と晃太郎のスペースメイクが機能しはじめ、さらに室屋と宏介が高く位置取れるようになり、攻撃のリズムが生まれます。

こことばかりに健太さんが動きます。晃太郎に代えて草民を同じく左メイヤに投入します。前節ゴールを決め、躍動感高く貢献した草民を入れることで、攻撃力をアップさせる狙いだと思います。

この作戦は期待通りに機能し、また健太さんマジックが発動するのかと思った矢先、長崎の宝刀、セットプレーから失点します。

77分。島田の左CK。ペナルティエリア外の黒木に渡すサインプレーは、ふたたびボールを持った島田のクロスを拓生が弾きます。これを拾った黒木がミドルシュートしますけど、これも拓生が弾きます。このボールが三たび左サイドの島田に渡ります。セットオン。島田はゴール前にクロス。ゴール前にはファンマとバイスがそびえますけど、モリゲと慶悟がついてます。島田はその奥、フリースペースに蹴り込みます。そこに高杉が追いつきました。ゴールライン際で高杉がダイレクトで折り返します。これは慶悟がクリア。これをふたたび拾った黒木が、ゴール前にロブを上げます。そこに武蔵がフリーでした。武蔵はフリック。これにファンマが反応します。シュートは慶悟が弾きますけど、ファンマが押し込みました。東京0-1長崎。

先制したことを受け、高木さんが動きます。島田に代えて前田を同じくCMに投入します。東京のリズムができてきていたので、中盤の守備力を高める意図だと思います。

それにしても、長崎のオーガナイズを牽引したのは、精度の高い中距離パスの技術です。島田、飯尾、そして翁長で形成する大きな逆三角形の間で、スイスイと中距離のパスが交換される様は、小気味よく脅威でした。三人ともメインストリートを歩んできたフットボーラーではないけど、技術の高さゆえ高木さんが選んだ人材なんだろうなと思います。飯尾と翁長のサイドチェンジの凄さは、アタッキングサードのなかですら易々とこなせることにあります。ここで攻撃方向を一気に変えられてしまうと、守備側の対処が難しく、脅威になります。長崎スタイルのアイデンティティを見た想いです。

ワールドカップロシア大会では、自力に劣るチームが超コンサバティブな選択をする作戦が目立ちました。わかり易いけどアイデアに欠けるなと思っていました。長崎は客観的にみて編成が充実しているとはけして言えないけど、かつての湘南、山雅、福岡のようなエスカレーターチームを象徴する昇格スタイルをあえて採用していません。そのチャレンジスピリットは感動的ですらあります。サッカーは、なにもワールドカップやスーパースターだけのものではありません。サッカーの本当の楽しさは、長崎をはじめ列島のそこかしこのぼくらの身近なところにあります。

健太さんも動きます。洋次郎に代えてリンスを投入します。同時にシフトを4-3-3に変更します。アンカーは拳人。トップはディエゴ。リンスは右WGに入ります。前線の預けところを増やして、カウンターの基点となる機会を多く作ろうという意図だと思います。

ここから先の長崎は、作戦が明確でした。サイドチェンジをやめて、とにかく長いフィードをじゃんじゃん東京陣に放り込みます。
1点を守り切るという意図がチームに統一されていました。そして高木さんが動きます。ファンマに代えて平松を同じくトップに投入します。これも平松に預けて時間を作るという、逃げ切り作戦の延長戦上です。

東京は猛攻したくても肩透かしをくらったようなかたちで、最終盤を無為に過ごしてしまいました。このまま試合終了。東京0-1長崎。

島田にプレスをかける、あるいは両WBの背後を狙うといった対策を取り得たと思いますけど、東京をしてそれをさせなかった今日の長崎を称賛すべきと思います。今日は東京にこれといって落ち度はなく、完敗でした。長崎におみそれしました、ごちそうさまでしたと言うだけだと思います。まだちょうど折り返したばかりですからシーズンは長いけど、来年も対戦できたらなと思います。リベンジしたいから。徳永と志有人が挨拶に来てくれました

トップ3のなかで最初に足踏みをしてしまいました。広島が落ちてくるまで粘り強くついていかないといけない立場ですのに、痛い敗戦です。でもまだまだ紆余曲折がありそうなシーズンですし、広島、川崎とも直接対決の機会があります。長崎は特異な作戦でしたから、これが東京対策のトレンドになるとは思えません。なのでとりあえずは基本プランを維持して、コンビネーションの再構築につとめることが喫緊の課題でしょう。

ミッドウィークのアウェイ鹿島は行けるわけがなく、次は満員になりそうな神戸に参戦です。神戸の事情はいざ知らず、神戸を見たい人もさておき、ぼくらはなにしろ、優勝争い。相手が誰であれ、もう一度上昇気流にのるきっかけになってほしいと思います。