ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

第96回天皇杯準々決勝FC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20161224

2016-12-25 17:30:46 | FC東京

メリークリスマス!

穏やかな天皇誕生日とクリスマスの連休を迎えました。いかがお過ごしでしょうか。

クリスマスイブと言えば、天皇杯。天皇杯は各都道府県のサッカー協会が主催を分担しますので準々決勝は地方巡業のイメージが強いですけど、今年はJクラブ側からの意向もあったのか、すべてJクラブのホームスタジアムで行われます。

というわけで、本日は天皇杯準々決勝。今年三回目のクラシコです。今年は二戦二敗。戴冠へのロードマップとともに多摩川奪還の願いも籠った一戦です。本日のYou'll Never Walk Alone♪。イブ恒例のサンタが街にやってきた♪

川崎サポから、コロンビアの飛行機事故で亡くなったアルトゥール・マイアさんへの追悼のレクイエムがありました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

結果、内容ともに完敗でした。この五年間のプロセスの差を見せつけられた想いです。東京の2016シーズンが終了しました。

東京は、中断期間中に広貴が手術のため離脱。入れ替わるように徳永と拓馬がようやく戦線復帰です。シフトはおなじみ篠田さんの4-2-3-1。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは右に室屋左に徳永。今日のボランチは草民と秀人。WGは右に宏太左に翔哉。トップ下は慶悟。肋骨骨折で出場が危ぶまれましたけど、1トップには遼一が入ります。

川崎は離脱中の大島を除き、ほぼベストメンバーです。シフトは中盤スクアエの4-4-2もしくは3-4-2-1です。風間川崎らしく、その集大成はやっぱりポジションレス。どっちでも良いのですけど、メンバー表は4-4-2なのでそういうことにしておきます。GKはチョン・ソンリョン。CBはエドゥアルドと谷口。SBは右に田坂左に車屋。ボランチは憲剛とエドゥアルド・ネット。メイヤは右にエウシーニョ左に登里。2トップは嘉人と悠。

風間さんの退任が決まっている川崎は、集大成を迎えます。この五年間で結果的には無冠の風間川崎は、集大成の成果として最上級のプレゼントを欲していると思います。東京が負けちゃったので、元旦に向けては(たぶん)風間川崎初戴冠ストーリーを辿ってみたいと思います。

川崎は、とてもエッジの効いた、比類のないチームです。特長をひと言で表すとパスをつなげるポゼッションスタイルです。でも、その言葉から、我々日本人のサッカーファンが連想するスタイルとは大きく異なります。ぼくらは、良しにつけ悪しきつけ、メディアのバイアスを通じてサッカーを知ります。バルセロナスタイルとオシムさんがもたらしたポリバレントは、その真意がわからないままこの国のなかで独自の捉え方をされました。それは、日本人が好むサッカースタイルの正当化だったろうと思います。風間さんは、その思想にエレガントに斬りかかりました。

いわゆるポゼッションスタイルの解釈は、スモールゾーンを基調としたパスの連携にあります。これはある意味パンドラの箱で、考え方を誤るとボールをつなげること自体が目的になってしまいます。結果的にこの国からポゼッションスタイルのトレンドが早々と廃れたのは、ポゼッション率の割にゴールが少なく、成績もエンターテイメント性も芳しくなかったためだと思います。ぼくらも、見ていてイライラするポゼッションを少なからず体感したと思います。

風間さんが川崎で挑んだ発想の起点そのものはとてもシンプルなんだと思います。ゴールこそすべての目的であるということ。ただ、風間さん個人が川崎にもたらした方法論は、もしかすると川崎が今日までで得たものに対し、もっと小さいものだったろうと思います。そこに、幸福なるケミストリーがあったのでしょう。憲剛、嘉人、エウシーニョ、レナト、悠、大島などを中心とした、技術と頭脳においてハイレベルなクオリティを持った選手が風間メソッドをさらに拡張解釈して、その化学反応のなかで育まれた成果だと思います。風間さんがフロンターレを引っ張り、フロンターレが風間さんを導いたのでしょう。

川崎は、原則として相手チームに合わせたサッカーをしません。今日も、明確な東京対策はただ二点をおいて他なく、基本的には普段のサッカーを展開します。川崎が施した対策はまず、翔哉を封じること。それを担ったのは田坂です。川崎は、本質的に攻撃を志向の中心に置きますので、試合のエレガントを損なうようなプレーを自らすることはありません。風間さんが来る前の川崎はフォースのダークサイドにどっぷりつかっていましたけど、変われば変わるもの。でも、だからこそ強さを身につけるためには、田坂のような存在も必要なのだと思います。田坂は、翔哉から縦を奪うべく、ドリブルの始点を捉えます。

守備に関し、特別なミッションを帯びていたのはもう一人。エドゥです。端的に言えば、今の東京の攻撃は、翔哉と遼一を抑えることができれば止まります。翔哉に対しては田坂、遼一に対してはエドゥが密着マークします。とくに遼一については、リーグ戦終盤に強力な安定感を見せたポストプレーが、四連勝で終幕した原動力になっていました。これを封じることは、翔哉を止めること以上に、東京のコレクティブネスを奪うという点で重要なテーマでした。結果的にエドゥは遼一を完封します。もちろん、これは遼一だけの問題ではありませんけど、実戦間隔が一か月以上あったことと、その期間に遼一が骨折していたことの影響が少なからずあったのだろうと思います。

川崎の守備はオーソドックスです。今年の川崎の進化は、おおよそ言われている通り守備と攻撃の連動性ができたことに起因していると思います。前線のアタッカーがフォアチェックをするようになりました。これで相手の攻撃コースを限定するとともに、攻撃のリズムも生まれにくくします。そうして、中盤の局面でのタイトなチェックでトランジションを狙います。なので川崎の守備布陣は、4+3のゾーンとアタッカー3人の役割の異なる二つのグループで構成されるように見えます。トランジションは、縦に入ってくるパスを狙う前線のグループが担いますので、ラインそのものはそれほど高くはありません。おそらく風間さんのオリジナルの守備方法は、ゾーンで囲い込む考え方だと思いますけど、そこに実戦の有効性を加え、ハイプレスをアレンジしていったのだと思います。風間さんと選手のコレボレーションの成果が一番見られるのは、案外と守備なのでしょう。

さて、最も特長的なのは攻撃です。川崎の攻撃における生命線は二つ。ポストプレーとサイドアタックです。ポストプレーの考え方は、意外と好い加減なものです。一般的には、より高い位置でポストする方が有効だと言われています。四連勝中の遼一や、先日のW杯予選の大迫のプレーが象徴しています。川崎の場合は、高さよりも精度を重視しています。嘉人も悠も、とても低い位置に下がってポストします。ポストの位置は、もしかすると相手の守備布陣に応じてアジャストしているのかもしれません。今日の場合は、ボランチとSBの間付近を狙っていました。

ポストの位置が低くても問題がないのは、川崎のボール回しの基本的な約束事にあります。それはワンタッチ基調であること。ほとんどの攻撃では、パスは基本的に縦の出し入れです。それをワンタッチで行うことで、守備に不協和音を生み出します。一方攻撃のほうは、ワルツのような優雅さとロックンロールの力強さを合わせもつハーモニーを奏でます。その理由のひとつがワンタッチです。もうひとつの理由は、そこにこそ風間川崎の真骨頂があると思うのですけど、パスの多彩さです。一般的なポゼッションスタイルのイメージはショートパス基調です。でも川崎の場合は、パスは非常に多彩です。縦のパス交換も、ただパスをつなげるのではなく、パスの出し手と受け手の発想のプライオリティは、あくまでも縦にはやくということ。このため、中盤のパス回数はそれほど多くなく、前を向いてボールを持った選手から、躊躇なくアタッキングサードにボールが供給されます。そこには、必ず受け手がいます。このパスの出し手と受け手のコンセンサスが非常にダイナミックに調和することこそ、風間川崎の自他ともに認める特長なのだろうと思います。

象徴的に縦を強調しましたけど、パスはなにも同サイドばかりではありません。視野が広く技術の高い選手が前線に揃っていますから、反対サイドのアタッキングサードにもメッセージ性の高いパスが供給されます。そこにも必ずアタッカーがいます。いったいどうやったら、川崎のように、ピッチ幅いっぱいのコンセンサスが生まれるのか、不思議でなりません。和製ポゼッションスタイルは、約束事で固めて、繰り返しトレーニングすることで成立するものですけど、風間川崎のそれは、ピッチ上の選手が思考した状況判断のなかで生まれているように見えます。成立までに時間がかかっていることには変わりはないのでしょうけど、それだけではない秘密があるような気がします。

というわけで、試合はいきなり川崎がリズムをつかみます。戦前気になったのは、試合間隔です。東京はまる一か月以上開いたのに対し、川崎はCSで一度たたいています。しかも結果的にリーグを征した鹿島との激闘ですので、チームとしての上積みがあったろうと思います。東京はむしろ、遼一、広貴、慶悟の離脱もあってリセットされたイメージです。この差は大きいと思います。そして実際、キックオフ直後に如実に表れてしまいます。

でも篠田さんは、ある程度押し込まれることを想定していたかもしれません。東京は約7分間、川崎の縦横無尽な攻撃に耐えます。ゾーンを維持することよりも、最終局面での1on1の粘りを重視し、シュートタイミングでのコンタクトで防止します。この時間を耐えて、7分過ぎにようやく攻撃権を得ました。まずは川崎の独特なリズムを壊すべく、ゆっくりとボールを回していきます。ここから失点するまでの10分強の時間は、今日のなかでは最も東京のリズムが良かった時間帯です。その意味では、篠田さんの計算通りだったでしょう。手応えもあったと思います。

イニシアチブを取り戻したきっかけは、やはり遼一のポストプレーでした。8分頃に、今日初めて高い位置でのポストが成功します。それをきっかけに東京がよっこらしょと重心を押し上げ、攻撃モードに入ります。さらに、それまでまったくボールを触れなかった翔哉が初ボールタッチを見せたのも、この遼一のポストの直後。やはり、いまの東京は、遼一のポストを前提に翔哉を中心としたアタックで構成されていることがあらためて確認できました。

この時間帯の翔哉は、シュートアテンプトを立て続けに見せてくれました。これが本来の翔哉の役割だと思います。受けに回るため、田坂もタイトにマークできなくなり、翔哉はアタッキングサードで躍動します。

この攻撃を境に、守備も安定を取り戻します。今日の東京は川崎対策を講じていました。それは、状況に応じた二重の構えです。川崎にポストを納められた場合は、前述したそこから縦へのクイックなアタックを防止するために、ボールサイドに人数をかけて、コンパクトなゾーンを作ります。これで、ボールホルダーへのチェックとともに、パスコースとエリアを消すことに成功します。もうひとつは、そもそも攻撃の起点を消すこと。嘉人と悠にパスを供給する中盤の選手に対し、前線がフォアチェックを仕掛けます。言わずもがなですけど、後者の構えはそのままショートカウンターを意図したものです。ですので、フォアチェックを仕掛けられる状況になったということは、とりもなおさず東京にイニシアチブがあったということです。

このように、今日は結果的には完敗でしたけど東京に成す術がまったくなかったわけではありません。もし、この約10分強の間で先制していたなら、東京が川崎を封じる秘策があったならですけど、結果はまた違っていたかもしれません。惜しむらくは、この時間帯の攻撃が成就しなかったことです。

篠田東京の成果は、スクランブルを乗り切るための闘いかたが結果的にはまり、それを最後までやり通したことです。ですから布陣は比較的固定されました。篠田さんはもっと違うチャレンジもしたかったと思いますけど、アプローチを変えないことは勝つためには致し方無かったことだと思います。ただ、最終盤に来て広貴が離脱したことは、ホントに痛かったと思います。数試合は宏太で乗り切ることができましたけど、それなりの時間を遼一、慶悟、翔哉、広貴のコンビネーション作りに費やしてきましたから、宏太を急遽はめ込もうとしてもワンショットならともかく、コンペティティブな領域に持ってくることは難しかったと思います。これはけして宏太のクオリティの問題ではありません。それほどチームを作るのは難しいということだろうと思います。広貴と宏太の違いは実はただ一点。ダイアゴナルランの有無です。広貴はとてもプレーエリアが広い選手です。とくに翔哉が左サイドでボールを保持したときに繰り出す、タイミングとコースの良いダイアゴナルランは、夏を過ぎると、それが得点パターンのひとつとして確立されるまでに至りました。広貴の月間ベストゴールも記憶に新しいところです。

今日の東京は、それなりに左右バランスの取れたアタックを見せていたけれども、それぞれが単発になっていました。川崎にしてみれば、翔哉の可変駆動を除けば守り易かっただろうと思います。もしそこに広貴が見せるような左右をつなげるプレーが加わっていたらと思う少しばかりのエクスキューズは許されると思います。右サイドに関してはもうひとつ問題がありました。宏太と室屋のコンビネーションプレーをなかなか見せられなかったことです。今日の宏太はやや内に絞った位置で基点になる役割でした。当然ライン際を室屋がオーバーラップしますけど、宏太が中央もしくは逆サイドを意識していたのか、なかなか室屋にパスがでません。宏太のアイデア豊富なプレーは、それはそれで結果を伴えば評価されるのだと思いますけど、今日はパスのクオリティが伴いませんでした。室屋のフリーランニングを活かせていたなら、もう少し川崎の守備をかき乱せたと思います。

東京がプラン通りにイニシアチブを取り戻しながらも、攻撃のクオリティ不足であと一息押し込めないなか、守備のイージーミスで先制を許します。

20分。東京はボールサイドに寄せるゾーンパターンで、車屋を起点としたサイドアタックを封じます。状況を変えようと、車屋からの戻しを受けた谷口がサイドチェンジ。エドゥに渡ります。エドゥは絞っていたエウシーニョが受けるために下がってくるのを見て、縦に入れます。この時、田坂がライン際にはります。問題はここ。翔哉が中途半端にエドゥを見て、田坂を追いません。コースを消そうとしたのかもしれませんけど、全力で田坂をケアすべきでした。エウシーニョはワンタッチで内に落とします。そこに憲剛がいました。エウシーニョに渡った時点で田坂がスプリントを開始。憲剛もこれを想定していて、田坂の前方にパスを送ります。田坂を見るべき翔哉は、この一連のプレーでボールウォッチャーになっていました。ディフェンスの状況判断とプレーの選択、それから集中は翔哉の今後の課題ですね。ゴールライン際で追いついた田坂は、当然どフリーでルックアップ。東京はペナルティエリア内に四枚揃っています。川崎はニアに悠ファアに嘉人。ニア側からエウシーニョ、ファア側から登里も入ってきていますけど、実質4on2の数的優位。田坂はクロスを、悠とそのマーカーのモリゲの頭上を越えるロブで嘉人に送ります。田坂がクロスを上げるタイミングと嘉人が落下点に走り出すタイミング、そして落下点のポイントは、嘉人と田坂が長年積み重ねた阿吽なのだと思います。嘉人の動き出し一発でマークについていた室屋が置いてけぼりにされます。嘉人はどフリーで合わせました。東京0-1川崎。

翔哉と室屋。今年ブレイクした東京の希望の二人に、すごくベーシックなプレーで課題が突き付けられました。実質今日の結果を左右した失点でしたから、その重さを加えて、翔哉と室屋には、ホントに良い経験になったと思います。ど素人の自分でも分かるほど、翔哉はあまりに田坂をイージーに見ていましたし、室屋は嘉人に寄せるべきでした。

失点しても、ここではまだ東京は落ち着いていました。ミスでの失点ですけど守備の仕組みそのものを崩されたわけではありませんので、慌てる理由もなかったでしょう。でも、またしてもミスを起因に追加点をあびます。

28分。翔哉のクロスを谷口がクリアしたボールが中央に転がります。拾った秀人は、右サイドで呼ぶ室屋を確認していて、ダイレクトでパスを送ります。でもこれが少し流れ、登里にカットされます。登里はダイレクトで前方の嘉人に渡します。カウンターが発動します。嘉人はどフリーでターン。中央をスプリントしてくるネットにパス。ネットも、パス&ゴーで上がってきていた登里にダイレクトで渡します。アタッキングサードに入ります。登里はモリゲを引き付けてタメます。東京は秀人も下がって四枚。川崎も中央にネット、エウシーニョ、ファアに悠と四枚の4on4。登里はネットに渡します。ネットはさらにエウシーニョへ。右足で止めたエウシーニョはルックアップ。ゴールを確認して、右足のフェイク一発でまるを振り切って、その態勢のまま左足を振り向きました。ボールはゴール左隅に刺さりました。ゴラッソ。東京0-2川崎。

さすがにこの失点の直後数分間は、東京は混乱していました。まるのパスミスもあって、川崎がこの機に乗じてフォアチェックを仕掛け、東京のこころを折ろうとします。この時間帯は危険でした。モリゲすら慌ててホスピタルパスをしていたくらいですから。今日の結果はもとより、とても微妙な時期に闘いかたが崩壊することは、来シーズンの編成に向けても悪影響があると思っていました。

この数分間をなんとかしのぎ切り、ふたたび落ち着きを取り戻したのは、翔哉の使いかたを少し変えたためです。翔哉は位置を下げ気味にして、基点を担うようになります。遼一のポストが安定しないので、なんとか基点を作るために翔哉を使ったのだろうと思います。川崎がここぞと襲いかかってくるため守備基調になりながらもカウンターの脅威を見せられたのは、翔哉が基点になり得たからです。ただしこれは功罪伴う選択でした。ご存じの通り、翔哉がフィニッシャーではなくゲームを作りはじめると、途端に独善的になりコレクティブネスが損なわれます。縦に仕掛けることが少なくなり、横に動くようになります。シュートではなくパスを選択するようになると、必然的にチームのシュートアテンプトが急落します。良くも悪くも翔哉依存に偏重した篠田東京の弊害が、極端に表れるようになります。それでもチームを落ち着かせるためには致し方なかったろうと思います。前半はビハインドのまま終了。

後半頭から篠田さんが動きます。徳永に代えて諒也を同じく左SBに投入します。諒也が帯びたのは攻撃の役割でした。ビハインドですから当然のこと。J3の成果はほとんど見ていないので分かりません。でも、諒也はずいぶんポジショニングが改善されました。高い位置が取れるようになりました。それに、守備面でも1on1でのスペースのケアの仕方が上手くなっていると思います。後半の川崎はロングカウンター基調に移行していました。そのなかで数度、右サイドでエウシーニョと嘉人が絡むアタックがありました。結果的に不発に終えられたのは、エウシーニョに対する諒也のコースの切りかたが良かったためだと思います。ただ、諒也本来のレゾンデートルを考えると、クロスに威力がないことはまだまだ課題です。なんとなく筋量が不足しているのではないかと思います。身体が大きくフィジカルに恵まれているように見えるけど、フリーキックを見ても強さが感じられません。クロスの精度とスピードを高めるために必要な筋肉があるのだと思いますので、課題として取り組んで欲しいと思います。

篠田さんが続きます。遼一に代えて相太を同じく1トップに投入します。遼一がポストに苦しんでいたので、エドゥに対し相太をぶつけてみようという意図だと思います。ポストの精度そのものは上がりませんでしたけど、川崎がリトリート気味になったことも相まって、東京に攻撃権が渡ります。中盤でボールを確保できるようになり、室屋と諒也を基点とした高速サイドアタックを見せられるようになります。

風間さんが動きます。登里に代えて三好を同じく左メイヤに投入します。登里のコンディションを考慮したのだと思います。加えてボールを持てるドリブラーアタッカーを置くことで、カウンターのバリエーションを豊かにするとともに、東京に後方の脅威を感じさせる意図だと思います。前述しました通り、作戦通りにロングカウンターを見せられていましたし、うち一本は嘉人の決定機につながっていました。作戦の進め方という意味でも、川崎に軍配が上がりました。

篠田さんが動きます。宏太に代えて拓馬を同じく右メイヤに投入します。拓馬は篠田さん体制になって初めての出場です。長期の怪我が重なる不運がありましたけど、来年払拭するためにも試合の感覚を得させたかったのでしょう。本来の拓馬は、より高い位置で相手に囲まれながらも基点になれますし、ダイアゴナルランもできます。さらにフィニッシャーでもありますから、流れを変えるにはうってつけだと思います。でもまだまだ違いを生み出すクオリティは戻っていないようです。

風間さんが動きます。悠に代えて板倉を投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。憲剛がトップ下に入ります。怪我開けの悠のコンディションを考慮しつつ、板倉の出場機会を作ったのだと思います。

さらに風間さんが続けます。嘉人に代えて中野を同じく1トップに投入します。これでオリジナルのストライカーはいなくなりました。いわゆるゼロトップ。風間さんの成果が凄いのは、チームとしての成熟だけではなく、ちゃんとポスト風間を担う人材を育て上げてきたことです。その象徴が大島であり三好であり板倉であり中野です。客観的に見ると、やはり憲剛と嘉人が居てこそコンペティティブ足り得るだろうと思います。嘉人が居なくなるのは確実で、2016JリーグMVPの憲剛も永遠にプレーし続けられるわけではありません。三好にしろ板倉にしろ中野にしろ、こうしてプレー機会を貰えることは、風間イズムを受け継ぐために重要なことだろうと思います。川崎には、この五年間をエポックメイキングなこととして、風間イズムを永続してもらいたいと思います。風間さんが後継者の育成にまで視野を持っていらっしゃったのかは分かりません。クラブがサッカースタイルにアイデンティティを持つことはとても難しいことだと思います。今Jリーグで、いつ誰が観ても感じかたが変わらない個性を持つのは、鹿島、マリノス、ガンバ、セレッソ、広島、ヴェルディくらいでしょう。いずれも長い時間をかけて身につけたクラブばかりです。でも、その権利を持つ川崎にはチャレンジし続けてほしいと思います。

東京は、押し込み続けた成果をようやく見せ、最後の最後で一矢報います。

後半アディショナルタイム+1分。直前のプレーで得た諒也の左FK。東京はファアに相太、秀人、モリゲ、翔哉、拓馬、まるが集合します。ニアに慶悟が一枚。川崎は八枚が単横陣に並ぶフルゾーンで、エリアを全消しします。諒也は、ソンリョンとラインのちょうど中間付近に柔らかいクロスを送ります。タイミングを合わせて、ニアに秀人ファアに相太が飛び込むサインプレー。川崎のラインは一瞬反応がずれ、秀人と相太が抜け出します。おそらくどちらが合わせてもゴールだったと思います。クロスは秀人が伸ばした足を越え、相太の頭に合いました。東京1-2川崎。

このサインプレーを持ってたのなら、もっとはやく出せなかったのかなと悔やんでも、とき既に遅し。失点を受け、川崎が完全に守りをかためたため、これ以上の波は立ちませんでした。このまま試合終了。東京1-2川崎。

川崎が風間さんのサッカーを熟成した五年間に、東京はポポさん、フィッカデンティさん、ヒロシ、そして篠田さんと四人の監督を経ました。東京のベーシックなビジョンに基づいたことかもしれませんので、その判断は敬意を持ってそのまま受け入れます。ただ、彼我の差を直接見せつけれるという機会は、ぼくらサポーターにとってもクラブにとっても良いことだと思います。東京が東京として存在し続けるという目標は、たぶん東京に関わる誰しも共通で持っていると思います。そのために必要なことのひとつに、プレースタイルを共通認識できることだとぼくは思います。その点で東京はまだ未熟です。攻撃偏重から守備偏重へとスタイルの大ブレを経て、この先どんなスタイルを目指したいのか、ぼくら自身も持っていたいし、クラブからも提案してほしいと思います。

東京2016の闘いが終わりました。今年の激闘の振り返りは、たぶん始動日までにはやると思います。個人的にはまずは来シーズンに向けてしっかりリセットしたいと思います。

末筆になりましたけど、今年もぽちごやの東京ブログをご覧いただき、ありがとうございました!。見ていただける東京サポのみなさんがいらっしゃるからこそ、続けていくことができています。来年も続けるつもりですので、もし良かったらまたご覧ください。それではみなさん、良いお年をお迎えください。