ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016Jリーグ・スカパー!ニューイヤーカップ北海道コンサドーレ札幌vsFC東京@国頭陸上競技場20160127

2016-01-28 21:02:56 | FC東京

いっときかもしれませんけど、ようやく厳しい冷え込みが峠を越えて、あたたかさが戻ってきました。ホッとひと安心です。

沖縄もようやく南国らしい天候が戻ったようです。こちらもひと安心。

 

U-23日本代表がリオデジャネイロオリンピックの出場を決めました。誇らしいですね。おめでとうございます。

2016年シーズンのJリーグの日程が発表されました。開幕までひと月切ったのですね。さっそく旅の手配をはじめました。



ニューイヤーカップの第二戦の相手は、琉球からワンランク上がって、チーム名があらたまってリニューアルされた北海道コンサドーレ札幌です。今日の東京は主力が入り、おそらく現時点でのベストメンバーです。いよいよニューヒロシ東京がベールを脱ぎます。ぼくらも本格的なテストを確認できます。ワクワクしますね。今日は、先日確認できた闘いかたが、主力が入ってどんか変化を見せるのか、確認したいと思います。



注目のシフトは、琉球戦と同じく4-1-4-1でスタートしました。まずはこのかたちを、主戦とする考えなのでしょう。GKは達也。CBは右にモリゲ左に秀人。SBは右に徳永左に駒野。アンカーはハビ。駒野とハビが東京デビューです。IHは右にヨネ左に慶悟。WGは右に宏太左に拓馬。1トップは遼一です。



闘いかたを確認する前に、早々先制されます。3分。達也のゴールキックから。センターサークル付近でイーブンボールの競り合いから、偶然都倉に向かってロブが上がります。これに秀人が竸って、秀人も都倉も触れず、ふたたびイーブンへ。秀人が都倉を背中で防ぎながらボールをホールド、頭でサイドに逃がそうとします。この時、秀人をカバーするために寄っていたモリゲの背後から、中原が縦を狙っていました。秀人のクリアは中原の前に落ちます。気付いたモリゲがケアしますけど、ゴール方向にこぼれたボールは、流れのままに走りこんでいた都倉に最終的に収まりました。札幌1-0東京。ミスといえばミスですし、不運といえば不運。ただ、いずれにしろ闘いかたの構造的な問題によるものではないので、この失点で確認することはとくに無いと思います。



結論を言いますと、ニューヒロシ東京のコンセプトは、どうやら攻守の区別なく圧倒的に支配するサッカーを志向しているのではないかと思います。攻撃においてはいまさらですけどあらためて、ヒロシらしく人もボールも動くムービングサッカーです。守備はフォアチェックを基調とします。



まず攻撃から見てみます。第一戦との比較で顕著な違いは、ボールを奪われないことです。これはボールコントロールのミスがほとんどないことに加えて、ボールキープ力がとても高いことに裏付けられています。今日のスターターでは、新たなピースとしてハビ、拓馬、宏太、駒野が加わりましたけど、選手チョイスの基準が、足元の技術の高さだったことが伺えます。



攻撃時のかたちで特長的なのは、後方がハビを頂点にSBを上げて、大きなW字を作ります。てか鍋底のように相手を包み込みます。ポゼッションスタイルのチームが良く採用する闘いかたですね。バックラインで攻撃を組み立てることを意味していますので、アタッカーや中盤のみならず、出場するすべての選手に高い技術を求めることになりそうです。



ビルドアップの特長は、サイドチェンジの多さです。これは、左右に揺さぶることで攻撃ルートを作ることを意図していると思います。前半の30分までの、単にポゼッションするだけでなく、縦のチャレンジがとてもナチュラルにできていたように見えた要因のひとつが、このサイドチャレンジだと思います。能動的に攻撃のかたちを作ろうとしていることがわかります。第一戦はフィッカデンティさんのサッカーからのドラスティックな変化は志向していないんじゃないかと見えたのですけど、間違ってました。今年の東京は、自ら流れを作りに行くサッカーです。



もうひとつ、支配の原動力となっているのは、コンビネーションです。まず中盤のボールホルダーは、プレーのファーストチョイスを縦に向けていることが伺えます。それから、チームとしてのリズム感を大切にしているような気がします。最終ラインが、サイドチャレンジとハビとのパス交換で、どこか相手をあやすような独特のリズムを生み出していました。それでいてそこはとない緊張感がただよいます。まるで穏やかな晴陽にうたた寝している淑女に迫る一匹のサソリを思わせるような、美しくも妖しいサッカーをニューヒロシ東京は魅せてくれるのかもしれませんね。



最終ラインとアンカーで作る独特のリズムのなかで、アタッカーがダイナミックで繊細、かつ機能的なムービングを見せます。ひと口にムービングサッカーと言っても、選手のクオリティの違いでエンターテイメント性がまったく異なります。東京のムービングは、無思慮にただ走り回る、脳みそが筋肉でできているようなサッカーではありません。ひとり一人のムービングに役割と意図があります。



攻撃の組み立ての特長は、トップのポストに依存しないことです。ビルドアップのなかで遼一がほとんど姿を見せないことでわかります。組み立てのパターンは多様なようです。今日だけですべてを確認できたわけでは無いと思いますけど、大別すると三つのパターンがありそうです。一つ目はバイタルエリアにWGもしくはIHが入って二次基点を作るパターン。二つ目は後方からのダイアゴナルなクロスに逆サイドのアタッカーが合わせて、裏を狙うパターン。三つ目はサイドを意図的に開けてSBの攻撃参加を促すパターンです。

バイタルエリアを使うパターンがもっともヒロシらしいですね。バイタルエリアに入れ替わり立ち代り、アタック陣が互いに被らないよう動き直しする様は、攻撃のサステナビリティを感じさせます。もしかすると、ある時間帯は永遠に東京の支配が終わらないんじゃないかと思えるような、圧倒感を体感できるかもしれません。



すべてのアタッカーが高いクオリティを見せてくれましたけど、なかでも充実感を感じさせてくれたのは、慶悟と拓馬です。二人とも可動域が非常に広く、間違いなく攻撃のキャスティングボードを握りそうな存在です。どちらかというと慶悟は縦、拓馬は横に広い可動域を持っていて、媒体のような役割を担っていました。



前後半とも、第一戦と同じく4-1-4-1でスタートしました。アンカーに入ったのは前半はハビ、後半は秀人です。おそらく鉄板の不動メンバーはモリゲだけで、どのポジションも競争が活性化してそうですけど、アンカーに一番注目しています。秀人とハビ。開幕戦のアンカーにどちらが入るのか楽しみです。二人はキャラクターがかなり異なります。ハビは扇の要となり、あまり動きません。チームがサイドチェンジを多用しますし、アタッカーのポジションチェンジも頻繁なので組織の形が崩れやすそうですけど、まったくの杞憂です。もしかするとハビがチーム全体の基準点になっているのかもしれません。一方の秀人は、ご存知のとおり良く動きます。秀人自身が主体的に試合を動かすことを志向します。ハビのアンカーは、オーガナイズしている状態で安定感をもたらしますけど、もしかするとパターンを読まれやすいかもしれません。秀人のアンカーは、局面での可能性を広げますけど、自滅するリスクもあります。



シュートパターンは、ですので多様です。無いのは、やっぱりスプリンターがいないのでよっちのような行っといでパターンくらいです。宏介が抜けた穴の大きさを感じると思っていましたけど、サッカーがまったく違うこととあって寂寥感を感じることはありませんでした。アーリークロスは駒野が持っていますし、セットプレーは宏太がいますから。というわけで、41分。拓馬が寛之に倒されて得たペナルティエリア際やや右寄りのFKを、宏太がゴール右上隅に決めました。札幌1-1東京。



今日だけのサンプリングでは、この攻撃の基本プランがJ1クラスで有効なのかは、まだわかりません。結局のところ、開幕してみないとわからないのは毎年のことですね。攻撃要素がそれぞれムービングするので一見柔軟そうに感じますけど、攻撃ルートというか、経由する選手が決まっている傾向が見受けられるので、ポイントを絞って守られた場合、あるいはポゼッションのキーマンのコンディションが整わないときは苦労するかもしれません。



守備は、第一戦で確認したとおりです。フォアチェックを基調とします。ファーストディフェンスを担うのは、やはりIHです。チェックの目的は、起点を消すことにあるようです。この点でも、相手のいかような攻撃パターンも包容することを旨としたフィッカデンティ東京と、コンセプトから180度異なります。



ただ、もっと強度の高いJ1で、このプランが通用するのかは、さすがに楽観視はできないと思います。今日ですら、やっぱりバイタルエリアで基点を作られると、安易にアタッキングサードへの進入を許してました。もちろん最後の砦に日本を代表する要がいるとは言え、過去二年間で作り上げたコレクティブな守備は守るべきところかもしれません。



さて、今日も30分頃に4-4-2に移行します。今日もテストの意図だと思います。この形の傾向は、ファーストディフェンダーであるIHがいなくなって、フォアチェックがかからないことです。もしかすると、かけることを意図してないのかもしれません。つまり、逆に相手にポゼッションさせるプラン用かなと思います。前述しましたとおり、現実的にすべての相手をオーガナイズすることは不可能ですから、困った時の闘いかたのオプションを持っていることは、チームに安定感を生み出すと思います。



ただ、4-4-2の守備に必要なコレクティブなゾーンの受け渡しがまだ整ってなく、中盤の守備ラインにギャップができる傾向にあります。もちろん練度は時間と実戦が解決してくれると思います。



4-4-2の場合の攻撃は、ほぼボランチを経由していました。攻撃パターンは主に二つ。ボランチからダイレクトにダイアゴナルなクロスで逆サイドのアタッカーを狙うミドルカウンター。もしくはサイドで基点を作り縦に崩すパターンです。選手の組み合わせでパターンも変わると思いますので、ここは参考程度に捉えます。



数字で興味深いのは、ショッツ・オン・ゴールの割合の高さです。シュートが上手くなったというよりかは、崩し切れていると見たほうがいいと思います。



マルチロールもニューヒロシ東京の新しい取り組みかもしれません。出場時間中一度もポジションを変えなかったのは、GKを除くとたぶんモリゲと遼一と駒野と諒也とサンダサだけです。もちろんフィッカデンティさんのように選手を固定化すると練度を極大化できるメリットがありますけど、ターンオーバーは必須ですので、期待したいと思います。草民が三つ、志有人、拳人、拓馬、羽生、バーンズが二つ。そんな選手たちが絡んだ決勝ゴールが生まれます。70分。達也のスローインからはじまった、自陣からのビルドアップ。諒也の長い縦フィードが左奥深くに走りこんだ拓馬に収まります。アタッキングサードに入ります。拓馬は、上がってきた諒也、志有人とのパス交換で崩しのタイミングをはかります。諒也のパスを拓馬がワンタッチで前方に流し込み、攻撃スイッチが押されました。走り込んだ志有人がゴールライン際で追いつき、マイナスの折り返しを羽生に送ります。羽生はダイレクトでシュート。これは金山にはじかれますけど、こぼれたボールにバーンズがつめていました。札幌1-2東京。今年初勝利は、華麗さと泥臭さを具有する逆転勝利でした。



まだまだ未完成の状態だろうとは思いますけど、ヒロシはぼくらに期待をもたせてくれるサッカーを観せてくれたと思います。シェイクダウンとしては上々でしょう。いろいろチームとしての完成度を高める課題はあると思いますけど、フレームとしては十分に優勝争いを狙えそうな予感がします。公式タイトルマッチのスタートをワクワクしながら待ちたいと思います。