ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015J1リーグ第16節サガン鳥栖vsFC東京@ベストアメニティ20150620

2015-06-21 19:51:36 | サッカー

梅雨真っ只中。しとしと雨のどんより日和が続きます。

代表戦のため2週間のお休みがあったJリーグ再開です。

武藤嘉紀を見逃すなシリーズ第2戦。残り2試合でサウダージが日に日に増します。

ひさしぶりの九州。

やってまいりましたは、毎年恒例の鳥栖です。4年連続。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

恋人は東京♪

中断中にきちんと闘いかたを修正してきた鳥栖に完全に封じられた展開も、指揮官の打ち手が結果の表裏を反転しました。

中断明けの東京は、ナオがサブに戻ってきました。シフトは中断前から取り組んでいる4-4-2。GKは権田。CBはモリゲとカズ。SBは徳永と宏介。ボランチは秀人と梶山。メイヤは右にたま左に慶悟。2トップは遼一とよっちです。

鳥栖はリーグ戦3連敗中。しかもここ2戦はゴレアーダを喫しています。傍目にみても守備の再確認は必須の課題です。シフトはおなじみ4-2-3-1。GKは彰洋。CBは菊地とミンヒョク。SBは右にチェ・ソンクン左に豊。ボランチは義希と藤田。WGは右に宏太左にキム・ミヌ。トップ下にペク・ソンドン。1トップは豊田です。

連敗中の鳥栖を見ていないので課題を把握してないのですけど、結果だけ見ると2試合で11失点と、守備の立て直しは急務でしょう。森下さんのアジャストは、守備網の整備とプレッシングポイントのコンセンサス、それにタイトマークです。これが機能します。

ユンさん時代の鳥栖は、アグレッシブなフォアチェックを信条とするスタイルでした。シンプルなショートカウンターは、最終的にそれなりの成績で安定するためのアプローチとしては王道です。ただそれを続けて行き、一定以上の成績を残すと、編成の質と量、スポンサーとサポと地元の期待値が上がってくるのもこれまた自然の摂理です。鳥栖も、このチャレンジをすべく、昨夏体制変更に臨みました。で、攻撃のアプローチは結果的にいま、ユンさんのスタイルとは違っていてもやはりショートカウンター基調に落ち着いたようです。でも守備は90度くらい違います。

鳥栖はほぼフォアチェックを仕掛けません。かわりに4+4+2の3ラインを引きます。いわば、クラシックからアーバンへのスタイルの変革が、森下体制の一番の取り組みなのでしょう。鳥栖の守備網は高めに布陣します。東京がトランジションポイントに入ってくるまでじっと待ちます。仕掛けのタイミングは、メイヤにパスが入った瞬間です。つまり攻撃の起点、パスの出処を抑えるというのが守備のファーストアプローチです。

さらに、義希と藤田がバイタルエリアを基本的に離れず、基点のゾーンを消します。最後はやっぱり、よっちと遼一です。遼一にはミンヒョクがタイトマークします。よっちには菊地がつきますけど、よっちのゾーンである左サイドにソンクンを固定し、スペースを消すことで菊地をバックアップします。

結果、東京はバイタルエリアに基点を作れず、縦に速いパス連携を遮断されます。ゆえに東京は、ロングボールに頼ります。遼一、よっち、慶悟を縦に走らせます。鳥栖の最終ラインは、戻りのディフェンスにも耐えます。

鳥栖は、攻撃にも工夫が見られました。攻撃が豊田を軸にしていることは分かっていることですけど、豊田の使い方には二通りのパターンがあります。まず豊田は、豊がルックアップできる形でボールを持てる流れになると、位置はどうあれとにかく裏を狙い続けます。これはもちろん直接ゴールを狙う意図もありますけど、守備側、とくCBに後方を意識させることも含みます。

こうして守備側に豊田の残影を焼き付けておいて、鳥栖が誇るスピードとテクニックとアジリティを合わせ持つ、鳥栖らしさを凝縮した2列目のアタッカー陣の出番がやってきます。豊田がポストに入るとき、CBを後方に引っ張ります。これはバイタルエリアにアタッカーが使えるスペースを作ることを意図します。そして豊田が落としたボールをつなぎ、一気にアタッキングサードに入ります。ミヌを活かす比率がやはり多い気がします。ミヌとソンドンは度々ポジションを入れ替え、マークをずらす工夫をしていました。

それにしても、前半の守備の問題は、あまりにもバイタルエリアがルーズ過ぎたことです。ミステルのダブルボランチシステムは縦配置を基調としているので、その影響かもしれません。前半は梶山をアンカーにして秀人を前に出していました。これはパスの循環を意識してのことだと思います。ただ今日は、鳥栖にパス連携を抑えられていましたし、高アジリティなアタッカーが三人もいる鳥栖に対し不利に働く要因だった気がします。

そこでミステルが手を打ちます。10分頃たまと慶悟を左右入れ替えます。これは守備面で二つの意図があったと思います。まず鳥栖の攻撃が左基調でしたし、豊をフリーにして豊田を活かす基点にしていたので、慶悟に豊の背後を狙わせることで後方を意識させようとしたのでしょう。

もうひとつはバイタルエリアです。たまを下がり気味に配置して梶山と並べます。宏太とソンドンのスペースを消す意図だと思います。それからパス回しにたまが加わるようになって、鳥栖の起点へのチェックを分散しようとしたのだと思います。ただこれでは宏介に高い位置でパスを供給できないので、攻撃の効果はそれほど狙ってない気がします。

このアジャストで少し守備が落ち着いたなと思っていたら、鳥栖にはもうひとつ武器があることを思い知らされます。

17分。藤田の右CK。鳥栖のセットプレーは、相手に1on1を強いるのが特長です。東京のストーンは宏介とよっちの2枚。鳥栖はゴール正面にソンドンを置きます。これは慶悟がケア。その前で豊田が忙しくポジションメイクします。今日の東京は、セットプレーの豊田に対してモリゲと秀人の徹底したダブルチームで臨みました。結果的に豊田は完封。藤田のキックモーションとともに、ニアに宏太、ファアにミンヒョクが同時にダイアゴナルに飛び込みます。それぞれ徳永とカズがケア。この時なぜか、ファアに梶山と遼一が誰のマークにもつかず余っていました。確認できなかったのですけど、たぶんミヌのマークのずれではないかと思います。そしてそのミヌが、遅れ気味にミヌがファアからダイアゴナルに中央に入ってきます。マークの受け渡しが一瞬整理できなかったのでしょう。このミスがこのシーンの結果を生みました。藤田のクロスはピンポイントでミヌに合いました。鳥栖1-0東京。

30分頃ふたたび慶悟とたまを左右入れ替えてオリジナルに戻します。たまを高く位置取らせて右に基点を作るとともに、慶悟に絞らせ、バイタルエリア中央で基点を作る意図だと思います。

先制した鳥栖はいっそう守備を意識するようになり、攻撃は豊田のロングフィードが中心になります。そのためもあって守備は安定します。ただいずれ攻撃はロングボールに頼って、単調に時間だけ推移します。前半はビハインドのまま終了。

後半からミステルは攻撃のやり方をアジャストします。よっちを下げて、バイタルエリアで積極的にボールに絡むようにします。さらに中盤からのパス供給をグランダー基調に変えます。これでようやく前線に基点ができるようになります。

攻撃のベースロードが整ってきたと判断したのか、ミステルが動きます。たまに代えて翔哉を左メイヤに投入します。慶悟がまた右に回ります。この交代が、今日の勝敗を分けた最大の分岐点になりました。

前線に基点ができた東京は、翔哉にボールを集めます。翔哉は積極的にソンクンに1on1を仕掛けます。もともとよっちとの対峙を想定していただろうソンクンですけど、思いの外守備機会がなく、ちょっと守備のリズムが狂っていたかもしれません。おまけに翔哉は、パワー系のよっちとは大きくテイストが異なる高アジリティ系のドリブラーですから、ソンクンのカバー範囲を超える違和感があったかもしれません。

そう感じたのか、森下さんが動きます。ソンクンに代えて谷口を左CBに投入します。ミンヒョクが右SBに回ります。今日の鳥栖のDFのオプションは谷口だけでした。事情があるのだと思いますけど、言い換えると攻撃で勝負しようというプランだったのでしょう。是非はともかく攻撃のカードを一枚捨てたことは意外でした。本職のSBのオプションを用意していたら、事態はまた変わっていたかもしれません。つまり鳥栖は、翔哉を止められません。

さらに森下さんが動きます。ソンドンに代えて圭を投入します。おそらくソンドンのコンディションだと思いますけど、これで所期のゲームプランが崩れ、鳥栖の攻撃リズムが狂います。

後半から東京のボランチはタスクを交代していました。秀人がアンカーで梶山を前に出していました。今日はこのほうがしっくりきていたと思います。基点になりパスを捌ける梶山を前目で使うことで、東京にパスルートが生まれていました。梶山にしろ秀人にしろ、パワー系のアタッカーには力負けしません。鳥栖がアジリティ系を三人並べた意図はその裏をつく作戦だと思いますけど、結果的に自らプランを放棄します。

もうひとつ、後半のアジャストは、中盤のコンタクトがタイトになったことです。鳥栖のアタッカーのアジリティに慣れたというところもあると思いますけど、梶山と秀人を中心にタイトコンタクトで鳥栖のカウンターのタイミングを消します。周りの鳥栖サポから東京は荒っぽいという声が聞こえました。これは他のアウェイでも同じ傾向にあります。でも鳥栖サポに言われる妙味が興味深かったです。味スタも同様なのですけど、相手のコンタクトに過剰反応するのがお決まりのようになっています。もちろん選手の怪我を心配してのことだと思うのですけど、一方で代表チームや代表もしくは海外サッカーのメディアからはJのコンタクトの弱さが指摘されています。どちらも抽象論なので、単純に比較できるものではないと思いますけど、自分のなかで消化できてない悩みではあります。ただ言えるのは、表現が難しいですけど東京のハードコンタクトは上手いです。もともと守備が水準以上にできる選手が、体幹を鍛え、さらに当たるタイミングと当たる角度、位置を習得したなら、今の東京のような上手く安定感のあるコンタクトができるんじゃないかと思います。代表チームに多くの選手が呼ばれる理由は、そんなとこなんじゃないかと自分は思っています。誤解なく補足すると、鳥栖もコンタクトが上手なチームです。だから、激しいなかでも一定の安心感が今日の試合にはありました。

直後にミステルが動きます。慶悟に代えてナオを投入します。くしくも同じ鳥栖相手のナビスコ予選、4月22日以来の出場です。思えば今年の好調期はよっち、ナオ、広貴のジェットストリームアタック形成に始まり、ナオの離脱で終わりました。ナオがチームを引っ張り上げたのは間違いないでしょう。2ndにかかせないキーマンが帰ってきました。

ナオ投入を端緒として、試合のモードが変わります。きっかけはもちろんナオですけど、所以はむしろ鳥栖にあると思います。鳥栖は我慢強く守備網を維持する丁寧な試合運びでしたけど、谷口と圭の投入でピッチ上の守備リズムが狂っていたんじゃないかと思います。

試合はにわかにオープンになります。これは普段のミステルが志向ではないと思いますけど、ビハインドの今日は、ミステルも望むところだったと思います。スタンドも一気にヒートアップします。そして東京を救う天使が舞い降ります。

69分。アタッキングサード右ライン際でボールを持った徳永がルックアップ。ゴール前はニアに遼一がいて谷口と義希がケア。真ん中のよっちは菊池がケア。ファアの翔哉はミンヒョクがケアしています。徳永はよっちを狙ったやや高めのクロスを送ります。よっちのバックフリックに、菊池だけでなくミンヒョクも引きつけられます。なので溢れたボールに向かったの翔哉だけでした。ボールに追いついた翔哉はルックアップしてゴールの位置と状況を確認します。慌ててケアに戻ったミンヒョクを、戻りながらの2タッチでかわし、タイミングをはかって右足を振り抜きました。ゴラッソ。鳥栖1-1東京。

誰しも思うことでしょうけど、山雅戦の拳人といい今日の翔哉といい、粘り強くチャンスを待ち、いつ出番が来てもアピールできるように弛まず準備を続けてきた選手がチームの窮地を救ってくれる事象は、サポとしてとてととても嬉しいことです。と同時に、スポーツの世界では日替わりニューヒーローが出るチームは必ず成功しますから、期待が高まります。よっちを失いながらも、そのことが競争を活性化しチームを底上げするのならば、これを歓迎せずにいられますか?。

徳永とよっちと翔哉が示してくれたことは、当たり前ですけど時間と空間のギャップを作ることがコレクティブな攻撃の大原則だということです。まず守備の体勢が整う前に仕掛けること。次に2on2の状況からでもちょっとした動きかた次第で局面の数的優位が作れること。最後にシュートアテンプト。もちろんこのゴールは、よっちが居てこその鳥栖のミスが直接的な要因ですけど、よっちに代わる誰かを作るというより、個に依存しない攻撃方法があることも示唆してくれていると思います。

同点ゴールの影響は鳥栖に強く出ました。圭は豊田のセカンドアタッカーですから積極的に絡もうとします。けど、これが梶山と秀人の餌食になります。アタッカー4枚の一人が機能を失うことで攻撃がギクシャクします。ホントにサッカーは繊細なスポーツです。

それにも増して不安定になったのは守備です。前半は選手間、とくに宏太、藤田、菊地、ミヌが積極的に声をかけ、守備の距離感をアジャストしていました。同点になってから余裕がなくなったのか、これが見られなくなります。攻撃もロングフィードに頼るようになり単調になります。

逆に東京は、翔哉を基点にして、よっちとナオが前線をひっかけまわす形がはなり、コンセンサスが生まれます。そしてこの流れのまま、ついに逆転します。

75分。遼一が彰洋に倒されて得たPKを、モリゲが冷静に決めました。鳥栖1-2東京。

自分がゴールしても状況によっては冷静さを崩さないモリゲが吠えていましたから、キャプテンにも、来るべき2ndのチーム作りに向け、手ごたえに近いものを感じたのかもしれませんね。

ミステルが動きます。遼一に代えて拳人を右メイヤに投入します。ナオが一枚上がって、ひさしぶりに特別快速2トップが戻ってきました。ひとつには拳人に犬ポジに専念させること。それからよっちとナオの連携を活かすという意図だと思います。

森下さんも動きます。義希に代えて鎌田をそのままボランチに投入します。これも微妙にズレた作戦になってしまいました。鎌田はもう一枚前でアクセントとして活きる選手です。なので鎌田の投入自体は選択肢としては十分にありだと思います。むしろ宏太か圭との交代で鎌田にボールを集めたほうが可能性はあったんじゃないかと思います。もしも義希のコンディションなのだとすると、ますます谷口投入が結果的に裏目になってしまいました。

いちおう鳥栖が押しているように見えていましたけど、すべて東京のコントロール範囲内でした。このまま試合終了。鳥栖1-2東京。

翔哉のハニカミシュワッチ(〃ω〃)

試合のなかでアジャストし、それが結果につながったことを誇らしく感じますし、繰り返しになりますけど2ndへのいいプロローグになったんじゃないかと思います。日替わりニューヒーローは、それもまたスタジアムに継続して足を運びたくなる要素ですから、楽しみがまた増えました。

よっちは今日はゴールできませんでしたけどアシストを記録しました。エピローグに向け、必ず活躍してみせてくれるので、ポストよっちのいろんな楽しみを見出しつつも、やっぱり負け惜しみに聞こえますし、実際そうです。とにかく今は、あと10日間となったよっちとの日々を大切に感じたいと思います。今週はなにがあっても涙を堪えましょう。その涙は、6月27日と28日までとっておきましょう。

今節、一試合を残して浦和が1st優勝を決めました。浦和レッズのチームとサポのみなさん、おめでとうございます。加賀さんの13年ぶり2回目のリーグタイトルを、悔しさも含めて祝いたいと思います。レッズは優勝のハードルを上げてくれました。2位広島の勝ち点33と3位東京の勝ち点32は、単純計算ですけど2倍すると昨年のガンバを上回ります。少なくとも十分に優勝争いできる成績です。その広島にすら勝ち点で5も差をつけた浦和は、近年団子レースが常識化したJリーグでは得意な変異です。浦和の強さについて触れるのはここでの主意ではないので控えますけど、とにかく東京が2ステージ制の恩恵を受けたのは確かです。負けないことの重要性が再評価されたと思いますから、ここまでのビジョンをベースにして、得失点差の彼我の差を埋める工夫と努力が必要だと思います。