ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2014J1リーグ第28節大宮アルディージャvsFC東京@NACK520141018

2014-10-19 13:13:06 | サッカー

2週連続の大型台風列島縦断で週末の天気は不安定でしたけど、ようやく10月らしい快晴の週末を迎えました。

10月17日未明、奥大介さんが交通事故で亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。直接交流のあったかたにお聞きすると、本当にサッカーが心から好きな明るいサッカー小僧だったそうです。いろいろ心を痛めることが多かったセカンドライフになってしまったことが、本当に残念でなりません。ご自身の選択でもあるのでしょうけど、プロ選手のセカンドライフのサポートの大切さを痛感します。大さん、天国でいっぱいサッカーを楽しんでください。

ハロウィン月間です。オレンジの街がこれみよがしにオレンジw。

例年通り残留争いの渦中にある大宮です。先週の仙台に続いて嫌な相手です。とは言え是が非でも来シーズンのACL出場権を得たいですから、執念では先を越されたくないものです。

大宮の集中力と肉弾戦に屈してしまいました。

東京は少し布陣をいじります。GKは権田。CBは今日のモリゲの相棒はカニーニです。リーグ戦ようやく初先発。SBは徳永と宏介。3CHは今日はたまが入り右WHで、秀人とヨネは不動。トップ下に河野。2トップはよっちとサスペンションのエドゥーに代わって今日は千真です。

大宮は怪我人が戻ってきつつあります。シフトはスクエアな4-4-2です。GKは北野。CBは横山と祥平。SBは右に今井左に和田。菊池の離脱以来不動の最終ライン。ボランチはカルリーニョスと慎。メイヤは右に家長左に泉澤。2トップはムルジャが戻って来てズラタンと組みます。ダブルエースの復活です。

前節仙台戦を経験して、残留争いをしているチームの作戦の特質を東京理解していたと思います。激しいコンタクト、もはや肉弾戦と言ってもいいと思いますけど、それを守備の基軸にすること。攻撃面では、シンプルにストロングポイントを強調すること。大宮もこれを踏襲します。

大宮の守備は仙台と同じく、コンパクトな陣形を保つことを心がけます。2トップは基本的に守備をせず、ターンオーバーのクリッピングポイントは自ずと低くなります。大宮はこれで良しとします。大宮は東京を自陣に招くと、まずバイタルエリア中央をあえて空けます。東京に中央で起点を作らせることを許容します。これは、東京が中央突破をあまり見せないことを計算しているのだと思います。そして、サイドにおびき寄せます。サイドにボールが入ると突然厳しいコンタクトを挑んできます。担う選手は基本的に一人ですので、1on1。ダブルチームを組んでこないところが、大宮の選手のクオリティが基本的には高いことを示していると思います。

序盤の大宮はロングボールを2トップに当てていました。おそらくこれは、攻撃の基本パターンではないと思います。あくまでも試合のリズムを作るため。東京に攻めさせておいて、ボールを奪うと2トップを東京DFに直接ぶつける。そうです。大宮の攻撃面のストロングポイントは、いわずもがなダブルエースです。大宮が下位にいるチームであろうが、直接対戦するとズラタンとムルジャの脅威は肌で感じざるを得ません。それは観ているこちら側からでも伝わるくらいですから、実際に対峙するモリゲとカニーニは、たとえ東京がボールを保持していても気になっていたでしょう。今日カニーニをスターターで使った理由はここにあると思います。清水戦でのカニーニは、清水独特のちびっ子高アジリティアタッカーに手を焼きました。たぶんヨーロッパにはあんまりいない攻撃陣の編成でしょう。そこにいくとズラタンとムルジャは、日本人DFにとってはパワーとシュートタイミングに苦労させられますけど、カニーニにとっては勝手知ったるリズムなんじゃないかと思います。結論から言うと、カニーニ自身はズラタンとムルジャを完封しました。今後は、対戦相手によってカズとカニーニを使いわけるかもしれませんね。

たまをスターターで使った理由は、これも仙台戦の反省が起になっていると思います。積極的にフォアチェックをしかけるチームであれば中盤のマネジメントが必要になりますけど、リトリートする相手は基本的に東京がボールを保持できますから、ある意味中盤を省略できます。今日のたまは、右にいながらにして主に中央を前後に動いていました。たぶん、アタッカー3人が動いたあとに入るセカンドアタッカーの役割を担っていたのだと思います。これは明らかに羽生とは異なる、たまらしいタレントです。あとはたまのコンディションとクオリティ次第ですので、少なくとも使い方としては合理的だと思います。これも結論を言うと、たまはシュートを打てていたのでまずは合格点でしょう。決めていればヒーロー。

序盤、いきなり東京がリズムをつかみます。大宮がリトリートしたことが起因ですけど、もちろん東京側の作戦にも因があり、両者が噛み合った時間帯でした。今日、両者の意図が、東京目線で噛み合った時間帯は二回ありました。これまた結論を言うと、この二度のチャンスをものにできるかどうかが、勝ち点を優勝ラインまで上乗せできるかどうかの違いだと思います。今日の東京は、ものにできませんでした。

大宮のシフトは4-4-2です。トップ下がいません。4+4は陣形を作りますからボランチが前に出てくることはありません。さらに2トップは前から追ってきません。ということは、秀人がフリーになります。たぶん、これはスカウティングできていたと思います。さて、どうするか。秀人の通常の選択肢は3つ。ロングボールを裏に送ってよっちと千真を走らせる。サイドに出たSBもしくはWHに預ける。それとトップへのポストです。大宮はサイドに人数を割いていますので、中央が必然的に空きます。このため秀人の選択肢は、普通にやると一つに絞られます。千真へのポスト。今日の千真のポストはとても安定していました。もちろん千真のコンディション調整の成果だと思いますけど、大宮の罠でもあります。千真はパスを回すことを志向しますから、ポストからの自らのターンはありません。また河野はポストからのダイレクトなタベーラプレーがありません。ですので、バイタルエリア中央を空けておいても、CB二枚がゴール前にいれば、少なくとも中央を破られる脅威はありません。これがエドゥーだとそういうわけにはいかないのですけど。千真が落としたボールは、サイドに展開されます。

序盤の東京の攻勢は、大宮の守備陣形がよっちのスピードに対応できなかったことが主因だと思います。想像以上のスピードだったのでしょう。問題は今井のポジショニング。4+4とは言え、序盤の今井はラインより少し前に出ていました。今井と横山の間に、よっちの大好物のギャップができます。よっちは執拗にこのギャップを狙いました。よっち基点からのチャンスが生まれていた序盤5分の間に先制していれば、この試合はぜんぜん違う展開を見せていたでしょう。

5分を過ぎると大宮がアジャストします。ホントにリトリートしてくる相手に対しては、序盤の5分が大切です。この先の対戦では、甲府くらいでしょうか。もっとも甲府は5バックなので、ちょっと条件が違いますけど。大宮は今井をよっちにマンマーク気味につけるようになります。大宮が序盤を凌いだ副産物として、東京の攻撃をワンパターン化できたことがあげられると思います。千真のポストを秀人が受け、サイドのよっちに出して基点を作る。そこからのオプションとして、ヨネか宏介がよっちのフォローに入り、河野が守備陣形の隙間を狙うという攻撃パターンがあるにせよ、また実際にそれを実行していたにせよ、基点となるよっちを無力化することで東京の攻撃リズムを寸断することができます。今井が守備のリズムを作ることに成功したので、大宮はさらにサイドの守備を厚くします。メイヤが東京の中盤を狙います。中盤で東京がコンサバティブなパス回しをすると、WHにパスが入るタイミングをみはからって家長と泉澤がチェックに入ります。これで東京に攻撃権を預けつつも主導権を完全に渡さないという、ディフェンシブなチームならではの微妙な力学を作ることに大宮は成功します。

それでも、よっちを軸とする東京の攻勢を100%防ぎきれるものではありません。それを成し得たのは、最終局面での安心感だと思います。仙台も同様だったのですけど、ゴール前の守備が鉄壁でないと成立しない作戦です。その意味では、横山と祥平が今日のMVMだったと思います。

ここでアクシデントが起きます。足に違和感を感じた様子で慎が退場。代わって同ポジションに増田が入ります。残留争いが始まって、大宮はずっと左SBを除く最終ラインとボランチをほぼ固定してきました。その中核である慎の離脱は影響が大きいだろうなと思ったのですけど、まったく問題ありませんでした。増田は、スクランブルで入ったにも関わらず、非常に集中していました。大宮のオプションの選手全員が良い準備をしている証拠でしょう。

さて、大宮の攻撃です。大宮の起点はボランチです。とくにカルリーニョス。カルリーニョスがアンカー気味に位置取りパスを左右に捌きます。慎がリスクマネジメントをします。慎離脱の影響が最小限だったのは、このようなタスク分担だったことも影響していると思います。大宮の攻撃はサイドアタック偏重です。左右の偏りはありません。カルリーニョスのターゲットはメイヤ。家長と泉澤が少しタッチラインから離れ加減でパスを受け、基点になります。メイヤが時間を作っている間にSBがオーバーラップします。そこからSBに預けてクロスか、もしくはメイヤが自分で縦にドリブルしてクロスを中央に供給します。この時2トップが、モリゲとカニーニと駆け引きをしています。ズラタンとムルジャは、縦関係になったりクロスオーバーしたり、あるいはフィジカルで1on1を挑んだりと、あの手この手で迫ります。モリゲとカニーニはよく耐えていました。結局、大宮のシュートはわずかに3本きりでしたので、最終ラインと3CHはアタッキングサードに運ばれてもシュートすら打たせないという、集中した良い守備ができていたと思います。ところが、その集中が一瞬途切れます。

前半43分。ヨネのシュートの跳ね返りをムルジャが拾おうとしたところをモリゲがチェック。これがファールとなります。モリゲと秀人が抗議している間に家長がクイックリスタートします。家長はドリブルで東京陣に入ります。集中を切らしていた東京はカウンターをくらいます。この時最終ラインは右から宏介、カニーニ、徳永。いずれも下がりながら大宮の攻撃ルートを確認しています。一方大宮は、祥平が家長の脇を抜けオーバーラップ。左ライン際に泉澤。前線にはズラタンに加えて今井が上がっています。DFが二人も攻撃参加していた大宮の、ここぞとばかりの意欲と集中力が結果につながったのかもしれません。家長はたまが見ています。モリゲが急ぎ帰陣中。家長は泉澤に出します。泉澤はドリブルで前進。アタッキングサードに入ります。泉澤はドリブルしながらルックアップ。泉澤にはたまがつきます。ゴール前はペナルティエリアにかかっています。ズラタン、今井、上がってきた祥平が中央に固まります。そこにはカニーニ、モリゲ、宏介がいます。泉澤の前方は徳永がケア。泉澤の選択は家長に戻すことでした。どフリーの家長はパスをトラップしながらルックアップします。ニアのズラタンにはモリゲとカニーニがついています。ファアを取ろうとしている今井には宏介。祥平がズラタンの背後で身を隠していました。家長は見逃しませんでした。ズラタンの頭を越えるゆるめのクロスをゴール前に送ります。ちょっと距離があったので権田も出られません。クロスは飛び込んだ祥平の頭にピンポイントで当たりました。大宮1-0東京。

一瞬の隙を、家長と祥平につかれました。こんな良い意味で賢い、精神的なギャップを作れる選手が、大宮にはちゃんといるんです。前半はここまま終了。

後半スタートは両チームとも作戦変更はありません。リードしている渋谷さんはもとより、攻撃権をずっと持っていることでミステルは一定の評価をしていたのかもしれません。あえて前半と差異があるとすれば、大宮のコンタクトが激しくなってきます。コースを切る、あるいはボールを奪うという目的ではなく、まず体をぶつけるという選択です。

つまり、大宮の足が止まり始めます。心の集中はできても体は90分間もたないのでしょう。シーズン前半であれば、あるいは中位のチームであれば、これで一気に東京が押し切る展開になるのですけど、残留争いにポジティブに取り組むチームは、足が止まってからが本領発揮です。背に腹はかえられないとばかりに肉弾戦に持ち込んできます。これにガチで対抗すると試合がぐちゃぐちゃになって、いっそう大宮の思うつぼでした。東京は冷静でした。肉弾戦に来る一方で、守備網にスペースができ始めます。スペースを埋める一歩が出なくなるからでしょう。

これを見たミステルが動きます。たまに代えて翔哉を同ポジションに投入します。河野、ヨネ、秀人、翔哉が、大宮守備網のスペースに入り込むようになります。これで中盤でパスが回るようになります。ここから最終盤に至るまで、ほぼ一方的なワンサイドマッチになります。

ここで、他の選択肢はなかったかなと思います。たしかに翔哉を入れることで中盤のポゼッションは高まったのですけど、アタッキングサードに入ってからの状況はそれほど改善されません。むしろ、よっちに預けて突破を試みる、言わばよっち頼みに偏り始めます。大宮も恐らく、意図的に自陣に引いたというよりは、むしろ引かざるを得なかったのだと思いますけど、それでもゴール前の局面の状況は変わらなかったので、それほど守りかたに混乱はなかったと思います。問題はそこにあると思います。今日の得点機会は二回あったと言いましたけど、この時間帯がそれに当たります。ペナルティエリアにアタッカーが不足していたことが今日の課題だったと思います。よっちが止められた時のオプション。大宮が引いたので中盤でパスがつながるのは言わば当たり前。前線の人数を増やさないと大宮は崩せません。今日のなかでは、アタックができかつシュートを打てるとなると翔哉しかいませんでしたので、翔哉をWHではなく前で使いたかったと思います。ゴールから逆算するアイデアが欲しかったと思います。

結局大宮は、東京の猛攻をしのぎ切ります。いっそう肉弾戦を加速して、コンタクトプレーが続きます。そして大宮は、1点を守り切るモードに入ります。怪我開けでコンディションが万全でないムルジャに代えてチョ・ウォニを投入。同時にシフトを4-2-3-1に変更。家長をトップ下、ウォニを右WGに置きます。守備の安定化を狙ったのでしょう。

さらに渋谷さんが動きます。泉澤に代えて富山を同ポジションに投入。コンディションの考慮に加えて、フィジカル面でのリスクを無くす意図だと思います。

一方のミステルは動きません。動けなかったと言っていいと思います。先に翔哉を入れてしまったので、動きようがなかったのでしょう。たられば上等で言うと、翔哉より先に梶山をアンカーに投入してドラスティックに布陣を変え、ヨネと秀人も前に出すリスクテイクをしても良かったかなと思います。

東京の攻め疲れもあって、最終盤は大宮がマネジメントします。このまま試合終了。大宮1-0東京。

非常に痛い連敗です。今シーズンの終戦を事実上宣言されたような結果になってしまいました。残り6試合でACL出場権圏内の鳥栖まで勝ち点差8。ちょっと厳しくなてきました。残りを、あくまでも3位を目指すか、それとも来シーズンの編成を確認する期間にあてるか、悩ましいところでしょう。いずれにしろ、まずはしっかりと、ひと試合ずつの結果を残していくことには変わりはありませんけど。たまとカニーニの起用は、ある意味テストを兼ねていたのかもしれませんね。

大宮に一言。いわずもがなですけど、毎年の残留争いはどうなんでしょう。今日対戦してみて、選手のクオリティの高さを実感しました。守備的であることは確かなのですけど、アプローチの基本は1on1なのです。これは選手の質が高くないとできません。肉弾戦にしても、当たり方が非常に上手い。それにも増して、ズラタンとムルジャという、他の残留争いをしているチームが羨むエースを二枚も持っていることが、いっそう大宮の現状の違和感を際立たせます。これは今年に限ったことではありません。人件費をしっかりとかけていてこの有様は、それでもNACK5に集まってくれるサポーターに対し、失礼だと思います。問題がどこにあるのかわかりませんけど、そろそろ体質を見直してもいいのではないでしょうか?。

それはさておき、東京。今シーズンも残り二ヶ月を切り、サウダージを感じ始めました。シーズンオフを、来年を待ち遠しく過ごせるようにするため、残り試合は、心地よい試合をして欲しいと思います。