ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

第94回天皇杯4回戦FC東京vs清水エスパルス@味スタ20140907

2014-09-08 23:48:15 | サッカー

9月になりました。秋を迎える気持ちに切り替えたいと思います。

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デング熱が拡散してて、ウィルスの影響そのものより伝播力に脅威を感じつつあります。と言っても伝播の仕方は昔から変わらないみたいなんですけどね。

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天皇杯でございます。秋を迎えて本格化します。3回戦を観ていないので、二ヶ月ぶりの天皇杯です。

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4回戦の相手は清水。今年実に4度目の対戦です。どうも清水はカップ戦で壁になってる印象があります。2006年の天皇杯、2010年と2012年、今年のヤマザキナビスコカップはいずれも清水に敗れ終戦。逆にヤマザキナビスコカップを制した2009年は清水に勝った勢いで決勝まで進んでいます。ある意味登竜門です。

今日のYou’ll Never Walk Alone♪

徳永の差別と暴力撲滅キャンペーンのスピーチ

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清水に行く手を阻まれてしまいました。今年の天皇杯は終戦です。

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東京はモリゲとよっちが代表で不在です。GKは権田。CBはカズの今日の相棒はついに登場カニーニ。SBは徳永と、今日は急な熱発の宏介に代わってむっくんが今シーズン初出場です。待ってました。3CHは今日は右にたまが入って、秀人とヨネ。トップ下に河野。2トップはエドゥーと、今日は千真。

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清水は、大エースノヴァコヴィッチに加えてヤコヴィッチも代表で不在です。ヨン・ア・ピンも怪我で不在。人出不足で紅白戦も組めない有様だったそうです。大榎さんは非常にコンサバティブな選択をしました。5-3-2です。GKは櫛引。5バックは右から吉田豊、ブエノ、六平、平岡、イ・キジェ。3CHは本拓をアンカーに置いて、右に水谷左に石毛。2トップは元紀と俊幸。

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清水は戦いかたをしっかり整理して臨んできました。それが選手にもフィットし、コンセンサスが取れていたようです。端的に言うと、清水の今日の戦いかたは、いわゆる「がっちり守ってカウンターでゴールして勝つ」です。基本的に4+3のツーラインを維持します。狙いは三つ。ゴール前とバイタルエリアと両サイドを固めること。これらを同時に満たそうとします。東京が10戦負け無しの好調を維持する攻撃面の要因は、よっちを中心とした裏への抜け出しが誘引する、高速アタックです。ただこれは、スペースがあって初めて有効になる作戦です。今日の清水は、ゴールに至るルートをすべて消してきました。もちろんよっちがいないエクスキューズはあるのですけど、さすがにここまでドン引きされると、ベストメンバーでもシュートチャンスはそうそう無かったと思います。あの清水にしてよく割り切ったと思います。編成に苦心した結論とは言え、サッカー王国の自負をかなぐり捨てて臨んだわけですから。果たしてアイスタで受け入れられるかは疑問ですけど。もしかしたら今日だけスペシャルかもしれません。

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ただ、大榎さんの選択を後押ししたのは、守備起因ではなくむしろ攻撃だと思います。清水は守って勝つための攻撃のタレントが揃っています。つまり状況打開力が高い自己完結的な、アジリティ系アタッカーを使えるということです。棚から牡丹餅。ノヴァコヴィッチ不在の解決策として元紀と俊幸だけで攻める作戦がはまりました。

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ただ、大榎さんのプランがはまったのは、計算と偶然の産物だと思います。清水はまず、元紀と俊幸が活きるスペースメイクを工夫します。狙いは言わずもがな、WHの背後。清水のリトリートは守備の安定だけでなくWHを引っ張り出す意図もあったと思います。案の定、今日の3CHは連動性に欠けていました。たまとヨネが孤軍奮闘して見えたのはそのせいだと思います。 清水の攻撃を仕切るのは本拓です。清水はターンオーバーすると本拓に預けます。本拓の仕事は左右の攻撃ルートを決めること。豊とキジェは 、本拓から受けたパスをチャンスボールとして元紀と俊幸に供給します。 大榎さんのもうひと工夫は、ジョーカーを置いたことです。本拓の左右に、本職のボランチではない石毛と水谷を置きました。意図は、元紀と俊幸に次ぐ第三の刺客となること。さらに石毛に担わせると思いきや、水谷に託しました。石毛はバランサー。スカウティングの情報が少ない水谷ですから、東京守備陣が混乱することを期待したのだと思います。ここまでは大榎さんの計算。

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偶然の要素は東京守備陣が潜んでいました。モリゲと宏介不在の最終ラインは、よりによってアジリティ系のアタッカーが苦手でした。元紀と俊幸は、意図的にCBに1on1を仕掛けます。東京の守備は基本的に1on1の優位性で成り立っていて、ストロングポイントはフィジカルの強さです。フィジカルにアジリティで対抗するのはある意味合理。だからCBを狙ったのは計算だと思いますけど、ここまではまるとは思わなかったと思います。

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前半25分頃、東京が打開策に取り組みます。きっかけはフォアチェックです。元紀と俊幸へのパス供給源を断つ意図だと思いますけど、副産物を産みます。攻撃モードに転じる瞬間、堅い清水の守備網が動きます。なので、フォアチェックでバイタルエリアにスペースができるようになりました。河野とWHが活きる状況ができます。

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加えて千真がCBとの間合いを見切れてきました。CBが触れない微妙な距離感でパスを受け、基点が前線にできるようになります。基点ができた東京はSBが攻撃参加を始め、連動性ができるようになります。東京がイニシアチブを握りかけました。

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それも長続きしません。理由は東京側に二つ、清水にも二つ。まず今日の東京の攻撃プランです。高速アタックができない東京はポゼッションを選択します。最初から臨んだというより清水の守りを受けてだと思いますけど、今年の東京はポゼッションで攻めるパターンを持ち合わせていないので、アタッキングサードで攻撃がスタックします。これが千真が入ると機能しなくなる理由。加えてヨネか豊とのコンタクトで一時ピッチから離れます。東京がリズムに乗りかけたところで勢いを削がれます。

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清水の5バックは集中していました。とくにブエノは狙われたと思いますけど、厳しいコンタクトで粘ります。そして相変わらずチョロチョロとしつこい、清水のちびっ子アタッカーのカウンター。

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東京が押しては清水のカウンターを食らう攻防が続き、前半はスコアレスで終了。

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後半も状況は変わらず。10分過ぎに、ミステルが最初の手を施します。シフトを4-4-2に変更します。中盤の並びは、右から河野、ヨネ、秀人、たま。たまがバランスして河野がバイタルエリアまで進出。サイドを厚くして清水のカウンターの脅威を減じる意図だと思います。

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それでも攻撃面は好転しません。後半20分ころ、ふたたびミステルが動きます。たまに代えて羽生を左WHに投入。シフトを再び4-3-1-2に戻します。ところが再攻撃指令は裏目に出ます。

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後半24分。アタッキングサードに進出したチャンスに秀人が攻撃参加。左サイド深くで豊とブエノをひきつけ後方の羽生にパス。これを豊が狙っていました。豊がカットしたボールが水谷の前に転がります。水谷はサイドチェンジのパスを石毛に送ります。石毛は左サイドをオーバーラップするキジェにパス。キジェはドリブルで東京陣に入り、ルックアップします。キジェにはヨネが付きます。その後方も徳永がフォロー。ゴール前はカズとカニーニが並んでいます。元紀がカズの背後を狙ってボールを呼び込んでます。カズも確認しています。逆サイドを俊幸が上がっています。キジェの選択は元紀。裏に抜けようとしているのをカズが気づいたことを確認した元紀は、一転ステイします。キジェもわかっていて元紀に合わせます。元紀は左足ツータッチでボールを整えます。そこにカズが対峙します。カズが間合いを詰めてくるひと呼吸前に、元紀が右足を振り抜きました。低空でゴール左隅に決まります。ゴラッソ。東京0-1清水。

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先制されたミステルは、リスクテイクします。あの男が東京のピッチに帰ってきました。カズに代えて東京の10番梶山を投入。おかえり梶山。シフトはそのまま。秀人をCBに下げます。秀人と梶山を併用することは無いと思っていたのですけど、スクランブルで偶然実現しました。そして、梶山はいきなり結果を出します。

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後半30分。まるでポポ東京時代かのような、今シーズンは珍しいショートパスの連携からのセクシーなゴールです。清水のゴールキックから東京最終ラインが自陣でパスを回します。むっくんからの戻しをカニーニが逆サイドに展開。緩やかに攻撃スイッチが押されました。カニーニからのパスで清水陣に入った徳永は、石毛をひきつけて石毛がいたスペースに入った河野にパス。河野はトラップしながら前方をチラッと確認。右前方ライン際に羽生がいてキジェがついてます。キジェの背後に千真が入ろうとしていて平岡が見ています。千真が下がって河野のパスを受けます。千真は平岡を背負いキープしながら右に周りこみます。まさに千真らしい好プレーです。その間、後方から梶山が攻撃参加します。石毛が一瞬反応が遅れます。千真は梶山にパス。梶山はパスを受けながら前方を確認。千真と入れ替わるようにスクリーンでアタッキングサードに入ろうとしている河野を確認し、ワンタッチでスルー。河野には平岡とキジェがマークしますけど、寄せてくる前にワンタッチでゴール前に。そこには寄せてきたエドゥーが六平を背に待っていました。エドゥーはタベーラを河野に落とします。河野は左に流れながらエドゥーの戻しを受け、ワンタッチから左足でシュート。寄せてきたブエノと櫛引を抜きました。セクシー東京。東京1-1清水。

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梶山は中盤をヌメヌメと広範囲に動きます。起点になりそうなボジションを探しているのだと思います。梶山はチームにリズムを産みます。パス回しの基本はワンタッチ。パスを受ける前に180度状況を確認しワンタッチのパスコースをサーチしています。そうした緩いリズムのなかから、チャンスを見つけるといきなり刺客に早変わりします。ズバッと縦パスを入れ、一気に攻撃スイッチを押します。もちろん守備力が下がるリスクはあるのですけど、スクランブルの手段としてとても心強い男が帰ってきました。ところが同点の安堵と逆転の期待感は一瞬でした。

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後半31分。アタッキングサードに入ってスピードアップしようとした河野が梶山に出したパスが弱く、水谷にカットされます。このボールを平岡が拾ってキジェに。東京陣に入ります。羽生が前方のコースを切ったためキジェはカットイン。ルックアップします。羽生の後ろは徳永がフォロー。前方に元紀がいて秀人が見ています。前線は俊幸がいてカニーニが見ています。逆サイドに水谷が上がっていて、そこにはむっくんがいます。清水の1点目と同じような状況です。俊幸はカニーニの背後から入ってきて一瞬視界から消えます。キジェの動きを見ながらカニーニと少し距離をあけ、一気に裏に飛び出します。キジェはこの動きを見ていました。俊幸にスルー。ペナルティエリアに入ります。俊幸はカニーニ、徳永、秀人をひきつけます。ここでキジェが猛然とゴール前に飛び込んできます。羽生がついていけず秀人も気付きません。唯一気付いたのは俊幸でした。この時逆サイドから水谷もゴール前に飛び込みます。むっくんの反応が一瞬遅れました。俊幸の選択肢は二つ。いずれも有効です。俊幸が選んだのは水谷でした。前にひとつ出してカニーニとの間合いを計り、グラウンダーのクロスを水谷に送ります。これはむくんがカットしますけど、こぼれたボールがあろうことか走り込んだキジェの左足に当たって、そのままゴールに吸い込まれました。東京1-2清水。

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ここで大榎さんがようやく動きます。石毛に代えて善朗を投入。善朗をスタートから使わなかったのは飛び道具を重視したからだと思います。石毛のコンディションを考慮した交代だと思いますけど、試合を落ち着かせようという意図もあると思います。

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後がないミステルは、重ねてスクランブルをしかけます。むっくんに代えて陸を投入。3バックに移行します。シフトは3-4-1-2。CBは右から徳永、カニーニ、秀人。ボランチは梶山とヨネ。WBは右に陸左に羽生。いまの陸のプレー精度では流れを変えるに足りません。肝心な局面でパスミスが多過ぎます。GK二枚をオプションに置いた意図はなんだったのでしょう。持ち駒にアタッカーを置かなかったツケがこんなところで出ました。

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大榎さんが試合をたたみにかかります。アディショナルタイムに俊幸に代えて村田を投入。東京の最終ラインを引っ掻き回し、攻撃に集中させない意図です。

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最終盤、いよいよミステルはギャンブルをしかけます。再度4バックに戻し、カニーニを前線に残すパワープレー。

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も、残念ながら奏功せず。このまま試合終了。東京1-2清水。

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今日の東京はどこか迫力にかけました。もちろん出場機会が少ないむっくんとカニーニは気合いが入ったプレーを見せてくれましたけど、全体にリーグ戦で見せる勝利への執念を感じませんでした。モリゲの不在はかなり影響が大きいのかもしれません。

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相太不在の後半戦は、アタッカー陣の奮起を期待します。とくにエドゥーに爆発的な輝きがはやく戻ってきてほしいです。

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天皇杯はこれで終戦ですけど、負け惜しみ上等で言えばリーグ戦に集中できるということです。今年のチームで、なにか収穫を得たい、そんな欲求を感じます。みのりの秋を願います。

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