ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2013J1リーグ第23節FC東京vsサガン鳥栖@国立霞ヶ丘20130828

2013-08-30 01:32:39 | サッカー

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列島を猛暑が襲った2013年の夏もそろそろ盛りを過ぎました。お盆が明けるとにわかに秋めいて、朝夕が涼しうございます。寒暖の差が激しく、皆様体調はいかがでしょうか?

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本日より霞ヶ丘でホーム開催です。その緒戦はミッドウィーク開催の鳥栖戦。GWにアウェイでお邪魔した際は、千真の電光石火ゴールで終始リードする展開で、終盤の追い上げを辛くも逃げ切った試合でした。あの時は東京が連勝中で、鳥栖が引き分けを挟んで連敗中でした。ちょうど反対のシチュエーションで今節を迎えます。

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結果も絵に描いたような真逆の展開で、リベンジを果たされてしまいました。重苦しい雰囲気をチームが纏う結果になってしまいました。

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東京はヨネがサスペンションで不在。アーリアがボランチに入り、秀人と組みます。マリノス戦、磐田戦と無得点が続いたためか、前線を組み直してきました。ルーカスに代わり、磐田戦に続いてナオがスタメンです。アーリアのところにたまが入ります。モリゲの今日の相棒は加賀です。

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鳥栖はこの夏積極的な補強をしてきました。移籍規定の撤廃で移籍が活発になっています。夏の補強は毎年の風物詩になるような気がします。清水からGK林彰洋、新潟から菊地直哉、セレッソから播戸を獲得しました。ウィークポイントを補う、的確な補強だと思います。とくに菊地と林の参加が鳥栖に安定感をもたらしました。菊地の相棒はヨ・ソンヘ。丹羽とキム・ミヌのSB。今日の藤田の相棒は高橋義希。4-2-3-1の前線は、豊田を頭に池田を真ん中に置き、宏太と早坂が脇を支えます。

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昨シーズンの鳥栖はフォアチェックを代名詞にしていました。ところが今年は、1stレグも今日も、東京相手にフォアチェックをかけてきません。6月の中断中に韓国キャンプをしたようですけど、キャンプテーマはフォアチェックだったようですから、これは東京をスカウティングした上での作戦かもしれません。つまり鳥栖のターンオーバーラインは高くないです。守備ブロックを維持することを優先します)。このため東京はカウンターを仕掛けられません。ただ、逆に攻めきることはできます。今日は比較的前半からシュートを打てていた鳥栖の守備バランスを維持させていたのは菊地です。今シーズンは後ろが不安定なところが泣き所です。ボランチ、SB、CBと後ろならどこでもこなせる菊地の守備視野が、ようやく鳥栖に戦えるレベルの守備をもたらせたかもしれません。

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一方東京も、鳥栖にボールを持たせる守備を選択しました。鳥栖はCB菊地が攻撃の起点ですから、東京がハイプレスを試まなかったのは必然かもしれません。鳥栖の攻撃の軸は、言わずもがなですけど豊田です。豊田はアタッキングエリアをかなり広範囲に動きます。鳥栖の攻撃は豊田を中心に回っていて、攻守で豊田の動きをフォローするのがトップ下の池田のタスクです。早坂はサイドからカットインしてゴール前を狙います。純粋なサイドアタッカーは宏太だけで、クロスとミドルショットを担当しています。

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鳥栖の攻撃は、基本的に右で作り左で仕掛けるサイドアタックです。丹羽を中間に置いてビルドアップの基点にします。左は早坂が開けたスペースをキム・ミヌが使い、クロスをゴール前に併せるイメージです。これつまり、東京と同じ攻撃システムで、がっぷり四つです。序盤は互いに攻め合います。

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25分を過ぎたあたりからこの攻め合いを東京が征します。四つに組むと地力が勝るほうがイニシアチブを握るのが道理です。今日はアーリアが前に行き秀人が後ろでオーガナイズする、中盤の役割分担をヨネ秀人コンビよりもはっきりさせていました。秀人が好調で、視野が広かった印象です。もう一つ鳥栖に対して有効だった中盤のプレーは、アーリアからのサイドチェンジで左を一気に攻めるパターンです。

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たまは粘り強いキープと積極的なシュートを見せてくれました。中盤の役割は、秀人が攻撃のタイミングとスピードを決め、アーリアがスイッチを押し、たまとナオがリズムを作り、慶悟がスペースメイクと決定チャンスを演出するイメージです。なかでもたまは、中盤での1on1に粘り強く対処し、東京のリズムを失わないことに貢献していました。

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東京の圧倒的なイニシアチブ下で、先制点を期待して待ちわびていた前半終了間際、意外な形で試合が動きます。

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前半40分。菊池のロングフィードをモリゲがカット。これを宏太が拾います。宏介が宏太に寄せていて、池田がその背後を狙います。宏太がワンタッチで池田に。池田がポストを義希に落とします。義希はマークに来た秀人を引き付け、フリーの藤田にパス。藤田はルックアップします。この時、藤田に誰もついていません。慶悟もたまもナオも攻撃を意識していたのかもしれません。ここが失点のポイントです。アーリアがバイタルエリアを開けて藤田に対面します。そのぽっかり空いたバイタルエリアを狙ったのが早坂でした。藤田は早坂にパス。早坂はたま、秀人、加賀を引き付け、義希に落とします。右にいたたまが早坂について行ってしまったので、キム・ミヌの前がぽっかり空きます。義希は良く状況を見ていました。ワンタッチでサイドチェンジ。キム・ミヌはトラップしてゴール前にクロスしますけど、これはアーリアの顔面に当たります。こぼれ球が運悪くキム・ミヌに戻りました。ゴール前を見て、丁寧にクロス。モリゲと競る池田の頭を越え、豊田に。ゴール前で豊田は加賀の常に前に位置取っていました。加賀はポジションを微調整して豊田の前に出ようとしますけど、この動きがアダになります。ちょうど逆サイドに体重移動していたタイミングでクロスが来ました。結果、豊田に一歩先んじられます。加賀の前に体を入れた豊田がヘッドでゴール隅に決めました。トヨコプターゴラッソ。東京0-1鳥栖。

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虚をつかれた東京は集中を取り戻せていませんでした。立て続けに失点します。

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前半41分。加賀のパスを受けたたまが藤田に寄せられターンオーバー。鳥栖のカウンターになります。こぼれ球を早坂が拾い、一気に東京陣にドリブルイン。早坂にアタックしようとして懸命に戻るたまが豊田と交錯し転倒します。ここがポイントになりました。たまを除くと、東京陣で4on4の状況です。アタッキンサードに入り、早坂を加賀がマークします。豊田には秀人、宏太にはモリゲが付きます。少し遅れ気味に攻撃参加した池田が早坂の外を回ります。早坂は加賀を十分に引きつけてから池田にパス。池田の眼前にシュートコースがぽっかりできます。加賀が飛び込んでシュートを阻止しますけど、池田は冷静に切り返し、加賀を死に体にしてからシュート。ゴラッソ。東京0-2鳥栖。

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ポポさんが早々動きます。2失点に絡んだ形の加賀をヒョンスに代えます。加賀は東京が支配していた時間帯に積極的な攻め上がりを見せていました。失点シーンはわずか1、2分のことなので、ポポさんは加賀の積極的にも危機感を持ったのかも知れません。

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呼応するように、ユンさんも動きます。早坂に代えて播戸を投入。サッカーでは2点差アヘッドの戦いかたが難しいと言われますから、大ベテランの経験をできるだけ早く注ぎたかったのかもしれません。パフォーマンスでは、むしろ池田のほうが鳥栖の攻撃をノッキングさせていたように見えましたけど、直前のゴールが効いたのかもしれません。このまま前半終了。

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後半に入り、鳥栖がガラリとサッカーを現実路線に変更します。ユンさんはロマンチストのイメージがあったのですけど、連勝中のチームが上昇気流に乗る大事な局面と見たんでしょう。プレーの特長は二つ。ファールを辞さないアグレッシブなコンタクトプレーと時間稼ぎを駆使します。とくに彰洋は執拗な時間稼ぎで警告を受けるほどです。彰洋は、再三東京のシュートを拒み続け、とても安定感のあるゴール守備でした。時間稼ぎは確かに不快でしたけど、鳥栖の意図を考えると妥当な作戦だと思います。

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対する東京は、工夫の足りない手詰まりな攻撃を続けます。鳥栖が自陣に引きますので、後半はほぼ、東京がポゼッションできます。東京はせっかく与えてくれたイニシアチブを、偏重な右サイドからの攻撃で自滅し続けます。徳永を攻撃で活かすなら、最終局面でフリーでボールを渡さなければ有効ではありません。もしくは、徳永を絡め、ショートパスを繋いでゴールに向かうのであれば、相手の一歩先を視野にした個人のムービングと連携が必要です。慶悟がよく動いてビルドアップに絡みましたけど、次のパスを受ける選手の動きに工夫が足りませんでした。

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それに加えて、前半から、宏介を中心とする左サイドの攻撃が鳥栖に対して有効なことはわかっていたのに、この時間帯は宏介を使うアイデアを持てなかったことが悔やまれます。後半17分にナオとたまに代えてルーカスと相太を投入します。千真と相太の2トップが実現します。ルーカスを入れはしましたけど、宏介のクロスが有効だったことを考えると、相太を入れた時点でもっとシンプルに攻撃してもよかったと思います。ある意味、無為な30分を過ごしてしまいました。

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後半30分を過ぎ、ようやく宏介を使えるようになりました。鳥栖ゴールに向かって、ゴールの香りが漂うクロスが送られるようになります。この流れで、ようやく待望のゴールが生まれます。

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後半36分。東京自陣のFKを鳥栖がカット。これをモリゲが拾います。この時、鳥栖の守備の問題点が出ました。鳥栖は綺麗な3ラインを引くのですけど、中央に片寄せ勝ちになります。この時も、宏太、丹羽とも内に寄っていて、結果、宏介が左サイドでどフリーになります。モリゲは宏介にパス。宏介はルックアップしてゴール前を見、シンプルにクロスを送ります。ゴール前では、常にヨ・ソンへの前を取っていた相太が、このクロスにニアサイドで合せます。度重なる怪我がありました。相太、実に3年ぶりのゴールです。おかえり相太。東京1-2鳥栖。

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そして、この流れに乗り、ついに追いつきます。鳥栖はあの手この手を使ってここまで凌いできましたけど、けして守備がいいわけではありません。1点入ると決壊するとおおよそ予想していました。

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後半39分。権田のパスから。モリゲ、宏介を経由してアーリアへ。アーリアはドリブルで鳥栖陣に入り、秀人にパス。秀人はターンしてクイックに右ライン際の慶悟にパス。慶悟はルックアップして、ポストを受けにきた相太にパス。これを相太がスルーします。受けた千真が右足でトラップして反転しながら豪快にシュート。ゴラッソ。東京2-2鳥栖。

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これで、選手もスタンドもイケイケ状態になりました。もしこのまま逆転していれば秋に向けて上昇気流に乗るきっかけを掴んでいたかもしれません。だから、このイケイケは致し方ないような気もします。残念ながら、前がかりな東京に水を差すように、決勝ゴールが生まれます。

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後半40分。ゴールキックからのビルドアップ。池田がアタッキングサードで落としたボールを義希がキープ。右サイドをオーバーラップしてきた丹羽にパスします。丹羽にルーカスがつききれていません。ゴール前の豊田にはモリゲ。ヒョンスは池田につられて飛び出しています。バイタルエリアにはアーリアがいますけど、背走。宏太には宏介。逆サイドの徳永と秀人は誰のマークにもついておらず、まったく効いていません。丹羽はルーカスを引きつけて大外宏太にパス。宏太は宏介が寄せる直前に、権田と最終ラインの中間を狙ってクロス。中央でモリゲを振り切った豊田が合せたボールは権田に当たりますけど、跳ね返ったボールはゴールに吸い込まれました。東京2-3鳥栖。

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鳥栖は手堅く小林とニルソンを投入して、逃げ切りに成功しました。このまま試合終了。東京2-3鳥栖。

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相太が入ってからの東京は、澱んだ後半から目が覚めたようにいい攻撃をしていました。無為な30分間をあと5分だけでも短縮できていれば、結果は真逆になっていたかもしれません。

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もう一つ悔やまれるのが加賀の交代です。ポポさんのミスだと思います。この交代で二つのミスを犯しました。鳥栖が守りに入ることが予感されるなかでは、ヒョンスよりも加賀のほうが特性があります。加賀はラインを守備陣形を低くする状況では活きません。加賀の長所は圧倒的なスピードですけど、瞬発系ではなく加速系です。なのでスペースがあるほうが利し、逆に1on1には難点があります。鳥栖が引くということは、守る東京は広大なスペースの対処が求められます。ヒョンスより加賀のほうが適しています。ミスの二つ目は、ポポさん自身がCBに不安を抱えていることを自ら露見したことです。内では、スタメン起用していても加賀を信頼していないことを宣言したようなものです。外に対しても、モリゲの相棒を狙えばポポさんが慌てることを知らしめたようなものです。さらに二次的には、大事なカードを浪費したことで、イケイケの大事な局面でネマニャんないし容平を使えなかったことも問題です。ポポさんには猛省してもらいたいです。

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加賀とヒョンスが心配ですね。パフォーマンスに満足していないという通告を受けたようなものですから。気持ちを入れ直して、チャレンジして欲しいです。

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試合中、選手にほとんど笑顔がありませんでした。ポポさんのサッカーは、やっている選手を含めて楽しいことが大前提です。それなのに、いつの間にか勝利至上な様子になってしまいました。ポポさん自身、フロント、それからサポーターも、矛盾するようですが、好まざるもこうなることを望んでいたような気がします。もう一度、東京は何を目指してポポ体制をとっているのか、見つめ直す必要があるような気がします。非常に重苦しい雰囲気に、東京を取り巻く関係者自ら陥ってしまいました。

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とは言え、フットボールは続きます。勝利こそ、この重苦しさを吹っ飛ばす強力なカンフル剤はありません。間を開けず難敵広島戦、しかもアウェイですけど、楽しんで支配してそして勝つサッカーを見せてほしいです。

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