ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

息をひそめて -シリア革命の真実

2013-11-16 13:26:55 | アート・文化

東京の紅葉が始まりましたね。東京大学正門の銀杏並木も、黄色と緑色のシンメトリーなコントラストが綺麗です。

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初観劇から5日たちました。演劇は後を引く効果があるのでしょうか?。それが普遍性なのかこの作品に限るのか、なにしろ初体験ですから、いまはまだわかりません。もし演劇が普遍性を持つのであれば、個人的にセンセーショナルな出会いをしたかもしれません。

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ワンツーワークスの「息をひそめて -シリア革命の真実」を観ました。赤坂REDシアターです。

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おそらく珍しいのではないかと思いますけど、ドキュメンタリー作品です。登場人物はすべて実在で(または、実在した)、台詞もインタビューに基づくもので、翻訳と演出上のアレンジはあると思いますけど、ほぼ発言を忠実に再現しているのだそうです。

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タイトルで推察される通り、テーマはシリア情勢です。登場人物は20人。萩原流行さん演じるクリスチャンのサミー以外は反体制側のインタビューで構成されます。はじまりは、2010年10月に起こったジャスミン革命と2011年のムバラク政権崩壊に刺激を受けたスンニ派のシリア国民が、非武装の平和的抗議活動をアンダーグラウンドに展開するところから始まります。抗議活動の拡大と表面化、組織化に対して、アラウィー派のアサド政権の圧迫が次第に激化。軍による実力行使がシリア国内で始まります。これに対し反体制側の一部は自由シリア同盟、アル・ヌスラ戦線などを組織。やがてシリア内戦に至り、現在も解決の端緒すら見えず、争いの構図が複雑化し泥沼状態が続いています。2012年8月の山本美香さんの銃殺事件。2013年8月には、政府軍による化学兵器の使用が報じられました。日本でもメディアが取り上げはじめます。つい先日も、国連の仲介による話し合いの提案に対し、一部の反体制側が同意せず、実現に至ってないというニュースがありました。

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ドラマはこの流れをインタビューと時々流れるフイルムだけで表現します。その他の演出は効果音くらいです。とてもシンプルなんだけど、背景と言葉が強烈ですから、強いメッセージが直接こころに響きました。この作品は、イギリスの劇作家3人が、実際にシリアに入って取材した地元の人のインタビューで構成されています。台詞の端々にも、イギリス人に対して語っている様子が伺える箇所が何度か出てきます。作者の意図が反体制側に寄っていることもあって、アサド政権側の意見は、比重が少ないです。サミーとデモ参加者くらい。なので、真実、シリアの複雑さをレポートするものではないと捉えたほうがいいと思います。それでも、この作品のメッセージは、シリアの現状に対するポリティカルな意味での真実追求ではなく、つまり体制やイデオロギーの是非ではなく、人道的な意味でシリアで起こっていることの事実を伝えることがテーマなんだと思います。多くの場面は反体制側の被害を描写しますけど、時々、政府側の住民や軍人の被害を伺わせる台詞もあります。自由シリア軍にアルカイダがついていたり、そのアルカイダが自由シリア軍を攻撃したり、もはや事態は、誰が何のために争っているのか、わからなくなっていることが想像されます。それでも、そこでとてつもない数の人が無残な死を被っています。今年7月の国連発表では、軍人民間人を合わせ、国内の死者数が10万人に及んでいるとのことです。

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日本に暮らす自分には、現実感がありません。ニュースでしか見聞きしなかった以前も劇を見た今も、やはり肌身に実感することはありません。正直に言うと、被害規模が大きければ大きいほど、現実感が喪失されます。これは、東日本大震災でも経験しました。実際に現地を見ないと、その空気から伝わる質量に比する実感はありません。それでも、ただ「シリア情勢」と大雑把に括る固有名詞ではない、何か名状し難い憤りと悲しみを、劇を通じて感じることができました。「シリアで今まさにこの時も、普通ではない理由で普通ではない数の人が死んでいる」。それこそが、この作品に関わる人のメッセージなんじゃないかと思います。

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初観劇にして、めっちゃ濃い作品でした。萩原流行さんと松田洋治さんというテレビや映画でおなじみなキャストを間近で見れたのも感激でした。形桐レイメイさんが印象に残りました。若い俳優さんらしいナイーブな青年の雰囲気があって、ひょっとしたらこれからメジャーメディアでもお見かけするんじゃないかと思います。

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観劇後、こちらも初のガレットをいただきながら、いろいろ問題はあるけどやっぱり普通の暮らしを普通に送れる我が国を想いました。


ヱヴァンゲリヲンと日本刀展@大阪歴史博物館20130902

2013-09-16 00:36:31 | アート・文化

台風一過の大阪は、まだどんよりした曇り空です。

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NHK大阪放送局でございます。今年3回目w。

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みなさん、あまちゃん卒業準備は出来てますか?w。自分はすでに、ごちそうさんスタンバイ中です。でもまだ、NHKはごちそうさんの気配すらなく。番組宣伝ポスターができたのが7日ですから。

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お馴染み、どーもくんジオラマは、あまちゃん仕様です。北のどーもくん。

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安部ちゃんの屋台。

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北三陸駅です。よくできてますね。

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夏どーもくんと春どーもさんw。

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潮騒のどーもくんズ。

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じぇー。ちゃんと衣装がw。

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こちらは、本物のミニチュア。

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潮騒のメモリーの歌詞です。

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北三陸ご紹介のパンフレット。

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いまは夫婦善哉なのかな?。それともごちそうさんになっているのかな?。

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ホントの目的はごちそうさんじゃなく、こちら。

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「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」でございます。ちりとてちんの旅のとき、偶然知りまして、これは見ないと、ということで。特別展のみで800円也。

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ミサトさんが解説してくれます。ハッスルハッスルー。

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いきなりレイ、アスカ、マリが迎えてくれます。

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この展示の趣旨は、ヱヴァンゲリヲンを通じて伝統工芸である日本刀を学ぶというものです。なかなか良い企画だと思います。すでに日本刀は兵器ではなくアートです。ただ、その歴史的背景と昭和任侠映画の影響ゆえ、博物館もしくは限られた愛好家だけが触れる、クローズドな趣味の世界です。ヱヴァというメジャーな媒体を通じて、もっとオープンに日本刀に触れる機会を作るという企図は、日本刀製作に関わる方々を紹介するためには、適した素材だと思います。日本刀の歴史と種類です。

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日本刀の製作工程の概要。

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日本刀の名称、五ヶ伝。

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製作工程の詳細な紹介です。

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アスカとレイです。一緒に撮影できますけどw。

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日本刀の歴史を、実際の作品で辿ります。

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平安時代。

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鎌倉時代。

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南北朝時代。

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安土桃山時代。

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江戸時代

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現代の日本刀。

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日本刀を実際に持つことができます。真剣です。

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まず普通の人は片手で持てません。とっても重いです。ぶら下げるだけでも大変だったと思います。

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鍔です。本物の日本刀のコーナーはここまで。

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ここから本論。ヱヴァと現代の日本刀鍛冶がコラボした作品が展示されています。

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プログレッシブナイフをイメージした角形短刀です。

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こちらは丸型プログレッシブナイフ。

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実際のプログレッシブナイフを再現した短刀。

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横から見るとこんな感じ。

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この展示のメインは、ロンギヌスの槍。設計図の全体です。

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製作過程を紹介したVTRです。

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桂雀々独演会 地獄八景亡者戯2013~夏だ!地獄だ!雀々だ!~@新宿末廣亭20130731

2013-08-03 13:52:53 | アート・文化

二夜続けて落語会でございます。初めて新宿末廣亭に参りました。

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毎月末日は余一会といいまして、独演会などが行われています。きょうの夜の部は、我らが雀々ちゃん、桂雀々師匠の独演会でございます。

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「地獄八景亡者戯2013~夏だ!地獄だ!雀々だ!~」。地獄八景といえば、ちりとてちんで草若師匠が最後に高座にかけた噺ですね。「ふぐにふぐを買いに行ってふぐにふぐを料理してふぐにふぐを食べてふぐにふぐに中って死んでふぐに黄泉の入り口まで来てしもうた」のアレです。ライブでは初めて聴きます。落語好きとしてはもちろん、朝ドラファンとしてもとっても楽しみです。

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まずは、桂優々さん。定刻よりちょっとはやく始まりました。

始まりますよ。みなさんケータイは切ってくださいね。切ってって言うても、大概鳴らさはる人がいるんですよね。お願いしますよ。という上方の若手さんがトップバッターで出たときの定番まくらから、「動物園」

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二番手は、笑福亭笑助さん。

私のあと、このあとにお待ちかねの雀々師匠ですからね。もうちょっと辛抱してください。師匠の熱演でたーぷりご満足いただくために、私のところはあっさりといきたいと思います。ウチの師匠は笑瓶です。なんで笑うんですか?。一番弟子なんです。といっても弟子は私ひとりだけですけど。10月19日にまた東京でやらせていただきます。よろしくお願いします。きょうの噺は、ウチの師匠に習ってないんです。落語は便利ですよ。何も無理して自分の師匠に習わなくっていいわけですから。他所のもっと上手な師匠さんにお稽古をつけていただきました。ウチの師匠に習ってよかったなー思たのは、眼鏡の選び方くらいですね。師匠に言わせると眼鏡を選ぶポイントは3つあるらしいです。視力とフレームの色とふところ具合。少なくとも色はあきませんね、ウチの師匠。ホンでふところが苦しいときはどうしたらエエんですか?いうて師匠に聞いたら、そういう時はしっかり左右見て、ふところにこうそーと。という流れから、「へっつい盗人」

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中入り前に、一回目の雀々師匠です。

初めて末廣亭に上がらせてもらんです。末廣亭いうたら名だたる名人が上がらはった高座で、そこに上がらせてもらえるなんで、そらもう光栄なことです。最初に末廣亭に来たんは、普通にお客さんとしてなんです。2,700円木戸銭払って、一番後ろの真ん中の椅子に座って聴いてました。東京の落語を勉強させてもらおう思うて来たんですけど、その日の主任は鶴光師匠で。そら師匠はおもろいですよ。でもなんで東京で師匠の噺を聴かなあかんのかと。その日米丸師匠が上がらはったんですけど、もう感動ですわ。米丸師匠は出るだけでエエんです。お客さんも満足ですよ。噺なんてハラハラして聴けんのです。次が、神楽の翁家喜楽師匠ですわ。傘のうえに鞠を乗っけて回すんです。それでも凄いんですけど、扇子を加えて土瓶を乗せるんですわ。もう大変です。お客さんも熱くなって、うわーってなっとるんです。それで終わっても十分なんですけど、まだあるんです。板の上にコップを乗せてさらに板を乗せるんです。二階建てですよ。手が届かんので、板が上がらんのですよ。それでもううわーなんですけど、まだあるんです。生玉子が出てきてコップに入れよるんです。それで終わりやーと、お客さんもホッとしとったら、まだやるんですよ。もうやめてくれと。それで終わればよかったんです。積み木くずしみたいに板をサッと外してトトトンと下がってくるんやったんでしょうね。ホントは。でも板を押したら全部飛んで言ってもうたんです。こっちです。この辺にドバーっと。どうすんかなあと見とったら、静かに掃除が始まりました。師匠はササッとおらんようになってた。そのあとに出てきた鶴光師匠。ぜんぜんおもろないんですわ。そらそうですわ。いやあライブですわ。この17時開始いうんが半端なんですね。ご飯食べてくるには早いし、さりとてお腹空くし。チケットも予約制じゃないでしょう。直前にならんとお客さんが入るかどうかわからへん。なかなか最初から来てくれへん思っていたんですけど、きょうは満席ですね。ありがとうございます。

上方はこの見台を使うんですな。前にあるのは膝隠し。そのまんまですね。なんでこういうのを上方は使うかというと、落語の起こりの違いだと思います。東京は御座敷の余興から来てるらしいですね。部屋のなかなんで騒音とかないから、語り口もロートーンですわ。いまでもそうでしょ。上方は大きい声の人が多いんですけど、なかにはロートーンのひともいます。春団治師匠。師匠は出がまた遅いんですわ。ゆーくり来はるから、そこからお客さんはもう春団治ワールドに引き込まれてる。それで噺が始まってもボソボソ喋ってはるんで聞こえんのです。お客さん偉いもんですよ。えー言うて一生懸命聞こうとするんですな。それでいつの間にか師匠の噺に引き込まれてる。終わっても、何の噺か結局わからんかったのに、春団治エエなあと。あれは凄いですよ。そこへ行くと大阪は、大道芸から起こっているんです。バナナの叩き売りが起源とも言われています。路上で呼びかけるもんやから、大きな音をさせなアカン。見台を扇子で叩いたらエエ音するでしょ。地べたで膝の汚れが見えたらアカンから、膝隠し。それで、大きい声で道行く人の足を止めるわけです。という流れから、「がまの油」

噺の途中でも余談が入ります。猿回しを見たんですよ、海外で。外国にも猿回しあるんですね。モロッコで見たのが凄かったんです。日本の猿回しは猿に芸をさせるでしょ?。モロッコは違いますよ。猿回しが口上を言うと人がよってくるんです。ある程度集まったら、猿回しが猿にこっちゃ来いいうて猿の手を掴んで。どうするんか思うてたら、猿をぶんぶん振り回すんです。もうびっくりですわ。あと、香港のお茶売大道芸もおもろかったですわ。ブルース・リーとジャッキー・チェンの対決いうのをやるんですわ。ホンで山場にきたらブルース・リーの役の人が決めるんですわ。オチャー言うて。それで日本人がお茶を買うていくから凄いですわ。

小さな女の子が来てて、雀々師匠のギャグに大ウケなんです。師匠、ちょっとやりにくそうでしたw。でもさすが師匠。女の子をネタに使うんです。女の子がウケたら「わかっとんのかいな」。女の子が変なタイミングでウケたとき、お母さんが口を押さえたら「お母さん、そのままずーと押さえといて」。肝心なところで女の子がウケなかったら「ここ、笑うとこやでー」。

さらに脱線。落語家にも酒呑み言うんはおってですね。落語家が集まるとたいがい酒になるんですけど、嫌でねえ。小染師匠(4代目林家小染師匠)とか酷かったですわ。酒くせが悪いひとは、だんだん酒に呑まれていってるのがわかりますね。ダラダラ飲みはじめて目が座ってきよるんです。ウチの一門にもおります。ざこば兄さんですわ。思い出しましたけど、一変タクシーでエライ目にあったことがあります。ベロベロに酔った兄さんを、まだ飲む言うのを無理やり目隠ししてタクシーに乗せたんです。そしたら、おしっこしたい言いだして。やめてください言うたんですけど聞きませんから、運転手さんにお願いして橋のところで止めてもうて。師匠を下ろしてはよしてくださいよ言うて。酔ってますし橋の上で危ないから、後ろからこう支えていたんです。兄さん出ましたか?と聞いたら、出えへんと。しーこっこっこ言うてもらったら出る言うんですけど、そんなん嫌ですやん。嫌言うてもききませんから、もうしょうがないんで言いましたよ。まさか大の大人にしーこっこっこ言うとは思いませんでした。

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中入りのあけは、山田雅人さんのかたりです。漫談ですね。松井秀喜物語をやっていました。末廣亭ははじめてらしく、入り方から教えてもらったと。山田雅人さんといえば競馬の実況ですね。生で聴けましたw。

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トリはお待ちかね。雀々師匠の「地獄八景亡者戯」です。

ええー。最後は地獄八景でお付き合いをお願いします。米朝師匠とか先輩がたが発展させてきた噺です。地獄いうタイトルですけど、ぜんぜん怖くないです。あの世は明るいんかなーいう、気楽な噺です。長いんですわ、この噺。長いわりに盛上がるところがなくて。ストーリーもあるような無いような。ダラダラダラダラ続くんです。やるほうもしんどいですけど、聴くほうもしんどい。どうか気楽に聴いてください。という流れから、「地獄八景亡者戯」。

また脱線します。お馴染みの「ふぐにふぐを買いに行ってふぐにふぐを料理してふぐにふぐを食べてふぐにふぐに中って死んでふぐに黄泉の入り口まで来てしもうた」のあとで、ここが一番笑うところなんです。もうここだけなんです。あとはもうダラダラですわ。若旦さんってエエですよね。ホンマエエと思いますわ。おっとりしてるでしょ?。ウチの一門にもいます、若旦さん(5代目桂米團治師匠)。また顔が綺麗でしょ?。いかにも若旦さんいう感じで。高座に上がる前のメイクが大変なんですわ。落語会で一緒になったときに髪をセットしとんですけど、ムースをこうバーって使うんですわ。何回も。普通そんな使わんでしょ?。それで言わはるんです「決まらんわー」って。よう見たらそれ、シェービングクリームやったんですわ。あと、目が乾く言うて片目を開いたら、コンタクトレンズが何枚もドボドボーいうて落ちてきたり。米朝師匠と一緒のとき、唇が乾くいうてリップクリームを塗り始めたんです。「アカン、唇ひっつくわぁこのクリーム」言うからよう見たらスティック糊やったんです。それを見た米朝師匠が、「そのままずーと口閉じとけ」。

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地獄八景は、師匠が言う通りダラダラした噺ですねw。気楽な地獄を気楽に巡るロードストーリーで、いろんなエピソードのオムニバスになっています。延々続くので下手なひとがやったらホントに退屈だと思います。師匠はアドリブをふんだんに織り交ぜて楽しい噺に演出していました。アドリブをしやすい噺でもあります。三途の川の渡し賃を取る場面や地獄観光案内所の場面は、原作者がアドリブしてくださいといってるようなもんだと思います。

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抱腹絶倒の雀々ワールドに浸りました。子供のころから米朝師匠や枝雀師匠を見てきた自分は、若い頃から師匠の落語を聴いているので、思わず雀々ちゃんと言ってしまいますw。ひさしぶりに見た雀々師匠は、枝雀師匠にホントによく似てきました。右手の動きがそっくり。それから顔を両手で覆うのは、文枝師匠のくせと同じですね。落語家さんはいろんな師匠の気にいったところを取り入れて自分のものにしていくといいますけど、雀々師匠はまさにそんな感じです。いっぱい笑えて気持ちよかったです!


第19回王子落語会@王子小劇場20130730

2013-08-03 10:54:40 | アート・文化

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ひさしぶりに落語会でございます。

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王子小劇場。

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ホントに小さいのであります。普段は演劇をやっているんですね。パイプ椅子がいい雰囲気ですねーw。

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高座が高うございます。最前列で聴きましたら、噺家さんを斜め下から見上げる感じです。

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落語ともだちと怪談噺を聴きたいねーなんつって、本日のテーマは怪談オンリー。怪談二夜の二日目でございます。

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立川談奈さん。

上がってそうそう高座が高くてお客さんを見下ろす感じが気持ちいいって入りから、今日は怪談噺。怪談と言えばやっぱり夏で、もともと持ちネタじゃなかったんだけど、3年前にあるイベントの企画でディナーショーで怪談をやろうってことになり、お話をいただいたのだけどネタがないのでお断りしようとしたら、ギャランティーがべらぼうに高く、欲につられて「やります」と答えちゃったw。それで文治師匠(11代目桂文治師匠)にもう半分を急遽習って、高座にかけました。場所は東陽町の一番高いホテル(ホテルイースト21東京でしょうね)。ディナーショーのお値段を聞いたらなんと一万円とか。そりゃあギャラも高いよねってんで。ディナーショーのお客さんは、言えば落語素人なわけですから、もともと怪談はウケを狙う噺じゃないもんで、盛り上がらなくてもいいわけです。そこは気楽で。ホテルのほうも落語なんてやったことないわけですから素人。行ったら高座がないんですね。高座は必要ですってったら急遽作ってくれたわけです。高座はよかったんですけども、高座に上がる階段が不安定で、もう半分をかけたあと高座から降りようとしたら階段で転んじゃって。それが一番ウケました。イベンターのかたもウケてよかったねーって。怪談と階段をかけたわけじゃないですよw。だいたい昔から、欲が深すぎるとしくじるって言いますね。アタシの場合は階段でしくじったわけですけども。という流れから、「もう半分」

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続いて講談です。神田京子さん。

夏の講談のテーマはやっぱりおばけ。だけども今日みたいに怪談だけで特集が組まれるのは珍しくって、今日のお客さんはお得ですね。最近は怪談を教育のために聞かせることもあるみたいですね。だいたいストーリーが、悪いことをした奴にたたりが起こったり、幽霊妖怪が出たりするわけです。情操教育のため、悪いことしちゃダメですよーって。歌舞伎でも夏は怪談がかかりますね。今日は歌舞伎でも演じられる、有名な鍋島猫騒動です。歌舞伎の場合は、お衣装や踊り、お囃子があるから、怖いのをちゃんと怖くできますし、決めるところがあるからお客さんから「中村屋」って声がかかるんですけど、そこんとこいくと講談は難しいですw。という流れから、「鍋島猫騒動」

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トリは立川左談次師匠。

今日は怪談ということで、ネタがなくって。さっき楽屋でやっつけで勉強しましたw。45分くらい。怪談噺は好みがわかれるんで、ウケたりウケなかったりするんです。ウケないお客さんは邪魔なわけでw。楽屋でネタ帳をくっていると懐かしくなって、三十数年前に稽古した噺をやろうと思うんですけど、思い出せないんです。ていうか、ハナっから覚えてないんでしょうね。きょうの噺は、怪談というか、まあ広い意味では怪談とも言えるというか。若い頃、夏になるとキャバレーに呼ばれて余興で怪談やってくれって言われたんです。キャバレーって言ってもアタシが呼ばれるようなところは、ニュージャパンみたいな高級なところじゃなくって、日の丸やクインビーですよ(年配の男性のお客さんが爆笑ww)。それで、怪談で女の子をキャって言わせておっぱいをキュって、こう。落語家になるには師匠に弟子入りするわけですけども、どの師匠もまあ、人使いが荒いのが常なんです。それでやめていく人もいて。なかでもアタシんとこの師匠ときたらw。ウチの師匠に弟子入りするには、肉体的精神的な耐性が必要です。最近は落語会だけじゃないんですってね。ブラック企業ってのが流行っているらしくって。わ〇みでしたっけ?。やめた人は新しい仕事を探さなきゃいけないわけで、そういったところを昔は桂庵って言ったんですね。あるいは千束屋。いまでいう職安。いまじゃねーか。ハローワークって言うの?。そういったところで職を探すわけです。という流れから、「化物使い」

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左談次師匠の「化物使い」はこっけい噺で、背筋が寒くなって涼をとれるような怖い噺ではなかったです。たしかに広い意味では怪談w。

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王子小劇場は、噺家さんの汗と息遣いが聞こえる距離で、密度が濃くって楽しいです。噺の世界に入り込めました。また来たいです。


国宝 大神社展

2013-06-02 23:49:41 | アート・文化

ポスターの告知で気になっていたのですけど、シーズンが始まるとなかなか行けず。

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大神社展。

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てか、すっかり忘れていました。中断中の週末になにしようかなと思ってトーハクのHP見ると、なんと今日まで。じぇじぇ。

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というわけで、東京国立博物館は平成館で大神社展でございます。後期です。

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入口からスクリーンで神々の聖域が紹介されているコーナーを通って、展示が始まります。展示は6章に分かれています。なお、画像は大神社展とはまったく無関係ですw。

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第1章 古神宝
第2章 祀りのはじまり
第3章 神社の風景
第4章 祭りのにぎわい
第5章 伝世の名品
第6章 神々の姿

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後期の第1章は、厳島神社と熱田神宮が主役です。ちなみに前期は春日大社と熊野速玉大社。伊勢神宮の展示はないんですね。熱田神宮は神官の衣装が中心です。厳島神社はいきなり宝相華平塵地螺鈿飾太刀が迎えてくれます。小ぶりですけど螺鈿がめちゃ綺麗です。安徳帝のおもちゃと伝えられるミニチュアもありました。朱漆弓の朱色があざやかで、他の品と比べると鮮度が違って見えます。漆は経年劣化に強いんですね。厳島神社の宝物館に行きましたけど、今日展示してあったような品はぜんぜん見れませんでした。きっと大神社展全体が、現地でも非公開の品ばかりなんだろうなと思い、鳥肌が立ちました。

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第2章は古代の神社を紹介するコーナーです。山の神と海の神に分かれています。山のほうは奈良県桜井市の山ノ神遺跡の出土品で、ミニチュアの土器や子持勾玉がありました。海のほうが展示品は多く、福岡県沖ノ島の宗像神社の秘宝です。祀りに使った鏡、馬具などがありました。その次に古文書があります。古事記、日本書紀、延喜式などがあります。

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第3章は、絵巻と曼荼羅と境内絵図が展示してあります。ご存知春日権現験記絵巻は、白河上皇が春日大社にお参りするシーンを描いています。余り見かけない、白地に草木模様の直垂を着た従者が描かれていました。興味深かったです。上皇の車が進んでいるのにキョロキョロしている従者もいて、楽しいです。従者の背後に侍、それを遠目に取り巻くように僧侶がいて、当時の序列がわかって面白いです。神社の曼荼羅って?とびっくりしました。曼荼羅というより、境内の紹介ですね。これを家にかけることで、参詣の変わりにしたんでしょう。曼荼羅には2種類あって、宮曼荼羅と参詣曼荼羅があります。宮曼荼羅は、一の鳥居から奥の院まで全体を俯瞰する絵です。参詣曼荼羅は、神社の中心部だけを描いたものです。参詣曼荼羅と境内絵図は、同じみたいです。

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第4章が、前半のハイライトです。後期は、秀吉公の七回忌を描いた、豊国祭礼図屏風を見れます。実際に行われたのは1604年ですから、江戸時代に入ってからなのですね。興味深いです。屏風の右側は、豊国神社での祭礼。左側は方広寺での供養です。右は武士や公卿など上層階級が描かれているのに比べ、左は庶民が中心です。盆踊りのように車座になって踊っているグループが二つ描かれています。よく見ると、南蛮渡来の人や中国人が見れます。なにしろ人物の表情や動きが細かく、密度濃く描かれていて、いつまで見ていても飽きないです。鞆淵八幡神社の神輿の次ぎは、能楽の衣装とお面のコーナーです。岐阜春日神社の紺地白鷺葦模様の狩衣がめちゃくちゃ綺麗です。厳島神社の紅地鳳凰桜雪持笹模様の唐人装束のオレンジ色が鮮やかで印象的でした。

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第5章から後半です。第二会場に移ります。入っていきなり出迎えてくれるのが、鹿島の太刀!。鹿島神宮の直刀黒漆平文大刀です。ホントにデカイです。これも不出の秘宝でしょうから、今回の展示はめちゃくちゃ貴重です。鏡のコーナーの次に、前期は平家納経を見れたんですね。後期も名品で、妖怪やジャパニーズホラー好きにはたまらない、かの有名な北野天神縁起絵巻です。屋敷が火事になっているシーンでした。残念ながら雷様や妖怪変化が出るシーンではなかったです。天女のシーンがありました。天女が老いて死ぬまでが描いてあって、やっぱり北野天神縁起は、不思議な絵巻ですw。向かいに刀が展示してあります。いずれも素晴らしい刀ですけど、なかでも気にいったのは群鳥文兵庫鎖太刀、通称上杉太刀です。反りがめちゃくちゃ美しいのです。

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第6章はいよいよ貴重な、神様の木造を見れます。仏像と違って神像はアイドル的な目的はなく、ホントに秘されています。神社に行ってもお目にかかることはまずないと思います。展示も面白く、まず滋賀若松神社の狛犬と獅子が迎えてくれます。ちなみに頭に角があるほうが狛犬なんだそうです。二つとも、背中がとってもキュートですw。次に岡山高松神社の随身立像があります。随身のシルエットをスクリーン越しに見る趣向も面白いと思います。その奥からいよいよ神様の聖域です。神像は8世紀頃から作られたんだそうです。現存する最古は、京都松尾神社の神像で9世紀頃のものだそうです。9世紀終わり頃から、脚部の奥行がない形が定まったそうです。室町以降になると、中国風から日本の神官風になるようです。まず東寺の神像が迎えてくれます。竹内宿禰と伝わる神像は服を着ていません。衣装を着せていた珍しい像なんだそうです。隣に女神像があります。まるくてとっても大きいです。見る角度と距離でお顔の表情が違います。8世紀から9世紀の女神像は、形式が決まっているようです。オリジナルはどこに辿れるんでしょうね。松尾神社の男神と女神があります。男神がめちゃくちゃハンサムなんです。初老の神様ですけど、渋さがあって男前。滋賀上野神社の素戔男尊と菅原道真公の像があります。つり目で怒った表情が迫力です。奈良勝手神社の武装神像は、珍しい日本の鎧兜をまとっています。武の神仏は、普通中国の武装で作られますけど、鎧兜のものもあるんですね。福井八坂神社の女神像は、千手観音のように頭に小さな顔を乗せています。そのほか僧形の神像もあって、日本独特の神仏集合を見ることができます。最後に武甕槌命の鹿島立の絵で送ってくれました。

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途中でも書きましたけど、まず普段は見られないだろう秘宝のオンパレードで、とにかく凄いです。あまりに秘宝すぎて、たとえば歴史の教科書で見たようなわかりやすい展示品が少ないのでインパクトに欠ける気がしますけど、全体のレベルが高すぎる故でしょうね。文字通り、貴重なものを拝ませていただきました。トーハク以外でも来年福岡で開催されるそうなので、ぜひ。オススメです。

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