大井川の風

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ひだるの神

2008-05-11 22:12:10 | 郷土研究
昨日のブログで「ひだるの神」の話から民俗学に興味を持ったお話しましたので、今日はその「ひだるの神」についてお話しましょう。

「ひだるの神」は山道や峠道などで旅人に取り憑き、空腹感や疲労感を与える妖怪とされています。山道を長時間歩いていると急に足が動かないほどの疲労感に襲われたり、異常な喉の乾きや空腹感を覚えたりすると、昔の人は「ひだる神に憑かれた」と考えていました。そのままにしておくと死に至ることもあるので、非常に恐れられていました。

このような状態になった時には、水や食べ物を口にすると「ひだるの神」から逃れられるとされていて、昔の旅人は山道や峠道を歩くときには十分な食べ物を持ち、もし途中でそれを食べることがあっても、「ひだるの神」を祓うために必ず一口分は残しておくようになったといわれています。

現代の科学において「ひだるの神」は、山道を登ることによる急激な血糖値の低下で起こる障害ではないかとされていますが、そのような科学的な根拠のない時代に、人々がそれを妖怪の仕業と考えることは当然のことかもしれません。
ところが、その妖怪を追い払うための方法を編み出し、その方法が現代の科学的な原因と対策に沿っているところが昔の人々のすごいところです。

この「ひだるの神」の話で「昔の人々の知恵」をもっと知りたいと思ったことから、私は民俗学に惹かれるようになり、教科書に出てくるような貴族とか武将のことはあまり興味がわかなくなりました。

今日の写真は東海道金谷坂。「ひだるの神」とは関係ありません。
3日間続けた「郷土研究」のカテゴリー。ひとまずこれで終えて、また機会をみてお話しましょう。