先端技術とその周辺

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研究者の中国流出続く 破格の給与魅力、待遇改善急務

2020年11月22日 16時41分11秒 | 日記

日経によると、『研究者の中国流出続く 破格の給与魅力、待遇改善急務』という。菅政権が学術問題で煮え切らないのは、こういう問題があるのでは?中国のご危険を損ねたくはないし、科学技術の基盤が弱っていることを正面から取り合えようとすると、自民党の政策の問題に跳ね返るからだろう。

しかし、科学技術の基盤が崩れてしまっており、早急に体制の立て直しをしないと、100年問題では済まなくなる。

 

梶野教授(右)は中国の北京航空航天大学の教員として招かれた(2016年10月)=梶野教授提供

梶野教授(右)は中国の北京航空航天大学の教員として招かれた(2016年10月)=梶野教授提供

 

日本人研究者が中国へ研究活動の拠点を求める動きが注目されている。中国政府が優れた研究者を世界各国から招致しているのに加え、日本国内の大学などでは研究ポストが見つかりにくい事情もある。若手を中心に待遇改善を検討する必要がありそうだ。

「日本で働きたかったがポストがなかった」。中国・浙江大学教授で霊長類の脳の遺伝子を研究する高畑亨氏(43)はこう打ち明ける。2005年に日本の総合研究大学院大学で博士号を取得後、08年から米国バンダービルト大学で博士研究員として研究を続けた。13年ごろから日本へ帰国しようとポストを探したが、かなわなかった。

海外も含めて探したところ見つけたのは浙江大で、14年に採用された。研究環境は恵まれていた。新設の研究所で自分の研究室を持ち、給料に加えて用途に制限のない資金が5年分で約5千万円支給された。研究成果の要求は厳しいが、「成果を上げた研究者への報酬は日本より断然多い」(高畑氏)。

若手だけではない。国立天文台の梶野敏貴教授(64)は16年10月に北京航空航天大学のビッグバン宇宙論元素起源国際研究センターの初代所長に就任した。理論物理学の権威として熱心に招請され、提示された年俸は中国で働く他の教授も上回った。日本には籍を残しつつ、研究活動の半分は中国で行う。梶野教授は「中国の学生はやる気が高く、教える側のやりがいがある」と語る。

中国で研究する日本人は増加が続く。外務省によると、中国に在留する研究者らは17年10月時点で約8千人。1カ月以内の短期も文部科学省によると、18年度は1万8460人と14年度比約25%増で4年連続の増加だ。国別では世界2位で、減少した1位の米国や3位の韓国とは対照的だ。

中国との研究が注目されるのは、新会員任命拒否で揺れる日本学術会議の問題がきっかけ。海外から優秀な研究者の獲得を目標とした「千人計画」もその一つ。梶野教授も16年春に同計画の対象となった。

採用も熱心だ。政府系シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所によると、海外での採用拠点は世界に600以上あり日本も46の拠点があるという。国立情報学研究所の船守美穂准教授は「出張など短期派遣で現地の大学と関係ができ、その後に正式に大学へ招請されることは多い」と分析する。

研究者が海外に流出することは技術流出のリスクをはらむものの、中国に研究拠点を求めるのは日本での待遇に問題があるとの指摘もある。

中国の人材採用に詳しい一般社団法人「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事は「能力は高いのに研究費がなかなか取れなかったり、ポスト不足で苦しんだりしている研究者に中国から声がかかることが多いようだ」と語る。

18年の科学技術予算は中国が28兆円に対し、日本は3兆8千億円と7分の1。また日本の大学教員に占める40歳未満の比率は16年は23.4%と過去最低となり、若手が職を得るのは難しい。

日本の博士号取得者は減り続けるが「中国では高い地位と給与が約束される博士号はとても人気が高い」(高畑教授)。人材流出を止めるとすれば、研究環境の改善が急務だ。

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