先端技術とその周辺

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日本の外航海運会社が運行する船では、パナマ籍がじつに61.3%

2018年06月24日 23時12分37秒 | 日記

乗り物ニュースというサイトが報じていた。日本、そして世界の海運会社が、船籍を自国ではなく、あえてパナマなどに置いているケースがあるといいます。世界的な海運の動きをまとめた日本海事広報協会(東京都千代田区)の年報「SHIPPING NOW 2017-2018」によると、世界の船舶はパナマ籍が最も多く17.7%、日本の外航海運会社が運行する船では、パナマ籍がじつに61.3%を占めます。なぜ、わざわざ他国に船籍を置くのでしょうか。

 このように、ある国の会社が船籍を他国に置くことを「便宜置籍」といいます。海運の業界団体である日本船主協会のウェブサイトではその理由について、「船にも人間と同じように国籍があり、登録した国の法律によって制約と保護を受ける。しかし、その内容は国によってまちまち。そこで、より有利な条件を持つ国に便宜的に船籍を移す動きが、戦後、世界の海運国で活発になった」とし、このような登録ができる「便宜置籍国」のひとつにパナマを挙げます。

 ちなみに、前出の海事広報協会「SHIPPING NOW 2017-2018」によると、世界の船舶はパナマ(17.7%)に次いで西アフリカのリベリア籍が11.1%、3位がオセアニアのマーシャル諸島共和国籍で10.6%となっています。日本の外航海運会社が運行する船では、パナマ籍(61.3%)に次いで日本籍が9.1%、リベリア籍が5.7%だそうです。

「便宜置籍」なぜ行われる?

 日本郵船に、便宜置籍を行う理由について聞きました。

――なぜ便宜置籍を行うのでしょうか?

 まず船舶登録が容易かつ安価に行えます。船主となる会社をその国に設立し、その管理や解散も容易であるほか、外国人船員の配乗も容易です。

――便宜置籍はいつごろから行われているのでしょうか?

 日本においては、本格的に便宜置籍国への登録が増え始めたのは1970年代です。1971(昭和46)年のニクソンショック以降、為替相場が円高に振れたことから、競争力確保のためコストの「ドル化」を進めたのがきっかけです。

※ ※ ※

 前出の日本船主協会ウェブサイトでは、「日本を含め、ほとんどの先進海運国では、自国の船には、原則的に自国人や自国が承認する海技免状等を持った船員の乗船を義務づけている。しかし先進諸国の船員は賃金も高く、より低賃金の発展途上国海運との価格競争では不利。一方、便宜置籍国では、こうした国籍要件等に関する規制が緩やかで、賃金の安い外国人船員を乗せることができる」といった便宜置籍のメリットを挙げています。

 これに加え、日本郵船は「為替リスクの軽減」も挙げます。「決算通貨を選択できるので、コストをドル化するといったことが可能です。政治的な理由などで一国の通貨が変動する事態にも対応できます」と話します。

 一方、便宜置籍には法人税などの節税対策という側面もあるのでしょうか。日本郵船によると、「日本では外国子会社合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)があり、租税に関するメリットは特にありません」とのことです。

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