劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録

演劇、ダンスなどパフォーミングアーツを中心にフリーランスでライター、編集者をしている高橋彩子の備忘録的ブログです。

お堀に浮かぶユニークなカフェ~その歴史と今~

2010-06-07 00:32:51 | その他


今日は久々に演劇以外のことを書こう。

お堀に浮かぶようにたたずむ、飯田橋の“CANAL CAFE”。ここが1918年以来、実に100年近くも、
志あるオーナー一家によって運営されてきたことをご存知だろうか。
そもそもは、代議士だった故・古川清が市民のために私財を投じて、ボート場“東京水上倶楽部”を作ったのが始まりだという。
かつては夜間も営業するボート場として人々に愛され、夏にはラムネ、カキ氷、平家蛍、花火、
秋には灯篭流しを楽しむことができたのだが、現在は保安上の問題で、夜間営業などはできなくなったそう。

現在、お店を守っているのは初代オーナー、古川氏の孫であるチャーミングなマダム。
彼女は、かつてに比べてボートの利用が減った状況を踏まえ、
ボート場のほかに、新たな憩いの場として96年からカフェの営業を始めた。
その傍ら、子供時代に目にしてきたボート場一帯の自然が汚染され、破壊されてしまった現状に心を痛め、
さまざまなかたちで浄化活動を推進している。成果も現れつつあり、昨年は天然の蛍も復活したとか。

お堀といういわば公的な場所に私的な形で存在し、多くの人々に安らぎの時間を提供している不思議な店。
変わった存在様態ゆえに苦労も多いようだが、今やこの店とその浄化活動は、都会の貴重な自然を守っていると言えそうだ。
店自体は知っていたものの、その歴史には無知だった私は、ひょんなことから取材の機会を得た(詳細は某媒体に執筆)。

東京にはまだまだユニークで素敵な場所が存在する。

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