神々の黄昏 ―Gotterdammerung―

日常の出来事や、ちょっとした物事の考察を書いていくブログ

「ヒトラー ~最期の12日間~」を観た(後)

2006-04-17 | 読み物
ユンゲが、「3年間仕えているけど総統のことはよくわか
らない」と漏らしていたのが興味深かった。
同じような言葉を、もっと長い付き合いがあるエヴァまで
言っていた。
他人の内面を理解することの難しさを語っていると考える。
逆に言えば、自分のことを他人に理解してもらうことがい
かに困難か。

映画を観終わってから知ったのだが、ヒトラーが唯一親
友と慕っていた人物が軍需大臣のシュペーアだったそう
だ。
地下司令部でシュペーアが焦土作戦背任の真実を告げ
たとき、ヒトラーが見せた表情の理由がわかった。
親友シュペーアでさえもヒトラーを持て余したくらいだ、周
りの人間がヒトラーのことを理解できなかったのは当然か
もしれない。

強引に言ってしまえば、ヒトラーが総統という地位まで登
り詰めることができた要因は、彼のその“わかりづらさ”だ
ったのではないだろうか。
なんだかわからないけど凄い人物だと感じてしまう雰囲気、
すなわちカリスマである。
謁見に訪ねた看護婦が、ヒトラーを前にして急に感情を
高ぶらせたシーンは象徴的だった。

昔も今も民衆は、本質を見ずにムードに流されやすい面
があると思う。
ヒトラーの暴走を許してしまったのは、民衆のその流され
やすさも一因ではないだろうか。

いや、民衆の全部が全部、ムードのまま盲目的にヒトラー
を担ぎ上げたわけではないだろう。
当時の社会情勢だって考慮にあったはずだ。
つまり確信的な選択。

その時代の空気に浸っていれば、流されていることなんて
わかりようがないのだ。
最近の例でいえばイラク戦争が当てはまる。
開戦当時のアメリカ国民の圧倒的な高支持率が、今となっ
てはどうだろう。
いつの時代も結果が出てからである、選択の正否が見え
てくるのは。

ヒトラーという狂気的な人物に、全権委任してしまったドイツ
国民が払った代償は、あまりにも大きかった…。



〔ストーリー引用元〕
ヤフーMOVIES


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