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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

ウエストサイドストーリー再び

2006-05-09 | 表現者 青山航士
 8月に来日公演がある『ウエストサイドストーリー』。青山航士さんが踊った"Ballet Sequence~Somewhere"が余りにも鮮烈で、いまだに次を見ようという気が起きないのは困ったものです。以前ファンサイトに書き込ませてもらった事がありますが、青山さんの通ったザ・ジュリアード・スクール(通常はジュリアード音楽院と訳されています)は映画『ウエストサイドストーリー』のロケ地跡に建設されたリンカーンセンター内にあります。ロックフェラーがあのスラム街一帯を買い取ったといいますが、アメリカのお金持ちはスケールが大きいですよね~。ジュリアード・スクールも、芸術をこよなく愛した富裕な繊維商ジュリアードの遺産で、現在のような世界に名だたる芸術大学になったのだそうです。日本のお金持ちにも是非聞いていただきたい話です。
 
 音楽科はいうまでもありませんが、ダンス科も1951年の開設時の教授として振付家ホセ・リモンやマーサ・グラハムが就任、若き日のピナ・バウシュもドイツから留学している超名門校です。公式Web Siteには、古典バレエの技術と、いま私たちが生きている時代のモダン・ダンスの両方を習得したfusion dancerを育成する、とあります。・・・もっぱらクラシックを学ぶ人が圧倒的に多い日本では少ないタイプになりますが、青山さんそのままですね。『ビューティフルゲーム』の「決勝戦」はfusion dancerでなければ出来ないものを明確に見せてくれました。
 
 久しぶりにジュリアードのサイトをゆっくり読んだところ、プロフェッショナルであるということはどういうことか、技術的なことはもちろん、「リハーサル・スケジュールの詳細を読むことから、パフォーマンスのあとのお辞儀まで」を教え込む方針なのだそうです。確かに青山さんのステージに触れると、高い集中力にどんどん引き込まれますし、それはカーテンコールのお辞儀まで途切れる事がないのです。それはまた『うたっておどろんぱ!』でも同じで、どんな題材でも手を抜いている、と感じた事はありません。
 5月19・20日はダンス科卒業公演とのことですが、卒業をまたずに世界各地のバレエカンパニーにスカウトされる人も少なくなく、また振付家として活躍する卒業生も多数おられるようです。私もいままで気付かなかったのですが、ラー・ルボヴィッチという、『オセロ』をアメリカン・バレエ・シアターで上演した、とてもドラマチックな振付家がこのジュリアードのダンス科出身です。ルボヴィッチの作品『マイ・ファニー・バレンタイン』は、ロバート・アルトマン監督の映画『バレエ・カンパニー』で見る事が出来ます。レンタルにも出てるので興味のある方は是非~。映画としても面白いですよ
 
 (5月19日付記:『マイ・ファニー・・・』は雨の中の野外ステージシーンで男女2人が踊ります。フィギュアスケートを意識して作ったということで、新鮮な感じです。)
 
 ジョージ・チャキリスが黒猫みたいに踊っていた場所で、創造と鍛錬の毎日を過ごした青山さんが今後どうなるのか、本当に楽しみです。青山さんの"Somewhere"は・・・NYの青年の心が、光と空気に戯れる真っ白な鳥のように舞っていましたね、「クール」がまためちゃめちゃにカッコよくて・・・ああ、もう一度みたい。