*** Plaisir de voyager ***

非日常的な旅で遭遇する色々な体験のお話です。Various enconters in unusual travels.

サンチャゴ巡礼総集編 (修道院-2) Pilgrimage to Santiago, Summary (Monasteries-2)

2012-09-03 | スペイン巡礼 Pilgrimage in Spain
西欧最古を競う修道院、サモス修道院
Samos Monastery, one of oldest monasteries in Western Europe


  前回の記事では、第1部として2009年の巡礼で訪れた3箇所(No.1-3)の修道院を御紹介しました。今回は第2部として、2010年に立ち寄った3箇所(No.4-6)の修道院についてご説明します。

4.サン・アントン修道院 Monastery of San Anton (サンチャゴまで469km)


  サン・アントン修道院は、カスティージャ・イ・レオン州ブルゴス県西端に位置しています。だが、現存するのは廃墟です。

  私がここを訪れたのは、2010年の巡礼で第2日目の朝でした。前夜泊ったオンターナスを出発してカストロヘリスに向かっていると、6kmほど歩いた頃にその廃墟が現れて来ました。

  廃墟の周辺には何もなく、ただ広い麦畑がの中にぽつんとその寂れた姿を曝していました。残っているのは、二つのアーチ型をしたゴシック様式の門と付随するタワー及び外壁の一部で、修道院本体の建物はありません。巡礼者が巡礼道を通るとき、この石造の大きな門をくぐることになります。
  私は、この遺跡の前にしばし佇み、この修道院は一体どのような歴史を辿ったのか、思いを巡らしました。
  
  サン・アントン修道院は、聖アントニウス修道会による巡礼者のための施設として、レオン王アルフォンソ7世によって1146年に設立されました。聖アントニウス修道会については、前回の記事で紹介しましたが、世界最古の修道会です。聖アントニウス派の修道院は、中世に流行した難病を治す奇跡を行なったことで知られています。それは、聖アントニーの火とも呼ばれる「麦角病」で、ここの教会でもその治療が行なわれていました。しかし、なぜか知りませんが、この修道院は14世紀に廃墟となってしまいました。

5.サン・ソイロ修道院 Monastery of San Zoilo (サンチャゴまで420km)


  サン・ソイロ修道院は、カスティージャ・イ・レオン州パレンシア県の古い町カリオーン・デ・ロス・コンデスの郊外にあります。

  2010年の巡礼第3日目に、私はカリオーン・デ・ロス・コンデスに宿を取りました。その宿は、サンタ・マリア教会付属のアルベルゲで、受付で対応してくれたのは尼僧でした。丁度この日に、以前フランスのモワサックで入手したクレデンシァル(巡礼のパスポート)のスタンプ欄が満杯になってしまいました。そこで、アルベルゲの尼さんに、新たなクレデンシァルを発行してくれる場所を相談すると、町外れのサン・ソイロ修道院へ行きなさいと教えてくれました。

  カリオーン・デ・ロス・コンデスの市街地から西に向かって坂を下り、カリオーン川に架かる橋を渡ると、目的の修道院が見えてきました。
  でも、修道院に到着すると受付の扉は閉じており、午後の受付は16時半からと書かれていました。幸いなことに、裏手に回ると修道院経営のホテルがあったので、そのカフェで休憩しながらこの修道院の来歴を調べてみました。

裏庭から見た修道院のホテル Hotel of Monastery viewed from backyard

  サン・ソイロ修道院は、今から1000年以上も前に創設されたベネディクト派の修道院で、カリオーン・デ・ロス・コンデスで最も古いロマネスク様式の建築だそうです。その後、増改築が繰り返されたと言われますが、16世紀建造の回廊は、プラテレスコ様式の美しい建築です。因みに、聖ソイロ(Saint Zolius)は304年にスペインのコロドバで殉教者として亡くなった聖人で、その遺物は11世紀以来、この修道院で保存されています。

プラテレスコ様式の回廊 Cloister of plateresque style

  さて、修道院をざっと見学した後、事務所の受付で無事にクレデンシァルを発行してもらいました。修道院は巡礼路沿いに建っていますが、恐らくこの件がないと、翌朝大して気も留めずにこの修道院の前を通り過ぎてしまったのではないかと思います。

6.サモス修道院 Samos Monastery (サンチャゴまで131km)
  
  サモス修道院(冒頭の写真参照)は、ガリシア州ルーゴ県サモス(地名)に存在する由緒正しい高価な修道院です。

  私がサモスにやってきたのは、2010年の巡礼第14日目となった5月10日でした。サモスは、標高1330mの峠の村、オ・セブレイロ(標高1330m)から、雨の降りしきる山道を29kmほど下ってきた所(標高550m)にありました。この日は、巡礼仲間からの勧めがあったので、サモス修道院経営のアルベルゲに投宿しました。

巡礼者の宿泊棟に面する修道院 Monastery facing the dormitory of pilfrims


宿泊棟内部の壁画 Wall paiting inside dormitory

  この宿で顔なじみのスイス人と出会い、再会を喜びました。その時、一緒に夕方のミサに出席しようと誘われ、生れて初めてのミサに同席することになりました。スペイン語の説教は全く分かりませんが、兎に角お坊さんの歌う素晴らしい聖歌とパイプオルガンの豊かな音色に、大きな感動を覚えました。また、スイスの友人が、式の進行に応じて立ったり座ったりなど、色々なしぐさの作法を教えてくれたので、とても助かりました。
  
  さて、私はこの修道院につき何の予備知識もありませんでした。だが調べてみると、西欧では最古を競う5-6世紀創設の修道院であり、8世紀末には後にアストリアス王国の王となるアルフォンソ2世がここで教育を受けたとも言われ、ここで宿泊する機会を得たことに深い感慨を覚えました。

  この修道院は、10世紀以降ベネディクト派の修道会が統治して来ましたが、中世には傘下に300に及ぶ修道院と100に登る教会を抱える地位にあったようです。
  過去に火災による焼失があったものの、徐々に修復が進み、貴重な歴史的財産が保存されています。例えば、12世紀建造のロマネスク様式の教会の扉とか、スペイン最大規模と言われるクラシックスタイルの “Feijoo回廊” (17世紀建造)などです。今日でもここの修道士たちは、精神的な生活を営み、歴史的財産の維持管理を続けているそうです。
  

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