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五百羅漢記  河東碧梧桐展

2011年10月10日 | インポート

Gohyakurakannki_2 今日は、徳島県の3か所の場所を訪問しました。まずは、板野町の第5番札所荘厳院地蔵寺の五百羅漢です。

http://shikoku-net.co.jp/88/8805.htm

ここには、堤新甫という江戸末期の儒学者の撰書した「五百羅漢記」という素敵な石碑があります。岡本慈勝住職とは初めてお会いしましたが、たいへん親切にして頂き、2枚の拓本を採取することができました。苔がけっこう生えていて、苔取り作業で30分程を要し、あと2枚の拓本を取り終えたのは2時間半後でした。曇り空で暑くも寒くもなく風もない、拓本にはベストコンディションの日で、拓本の調子も良かったです。この碑はほとんどが単体の草書で書かれた珍しいものです。堤新甫の略歴は以下の通りです。彼の書いた碑は眉山大滝山にもあります。

堤新甫(つつみしんぽ) 文化12~明治32181599) 85歳  美馬郡三谷村(現・美馬市穴吹町三谷)の人。名は迪、通称は大介、字は新甫。代々家老稲田氏の臣であったが、武芸と農業に耐えられないと悟り、幼時より学問に志した。郷里で学んだ後大坂の篠崎小竹に2年余り、江戸の佐藤一斎に5年間学んだ。安積艮斎・藤森弘庵らと親交があり、江戸の霊岩島で私塾を開いていた。のち稲田家の命により、帰郷し猪尻学校で教えた。文久1年に辞職し徳島に移り大工町や富田紙蔵町に住んだ。明治2年に洲本藩校で教え、のち真言宗の学校でも教えた。その後、徳島本町に「梅園学校」を開いて儒学と仏典を教授した。性格は快濶で酒・煙草をのまず生活は質素を旨とした。門人に岡本韋庵がいる。

終わった後は一旦帰宅して風呂に入り苔と汗を流して食事し、午後は妻と一緒に徳島市内の展覧会を2つ見に行きました。一つは徳島城博物館で、今日まで展示されていた「阿波の海運 -回船問屋山西家と金光山仙龍寺-」です。鳴門の山西家は江戸末期から大正期まで回船業者として全国的に活躍した家です。現在の当主の奥様が職場の同僚でもあるので、数年前から山西家の書や金光山のことは関心を持って独自に調査もしていました。特に今回は「金光山碑記」という、市河米庵揮毫の碑の拓本が展示されていました。内容の解釈を展示していないのが残念でしたが、碑の建立間近に作ったと思われる拓本は本当に美しく、米庵独特の顔法は見応えがあります。この碑の本体は金光山にあるはずで、既に4回は登山して探しましたが、まだ見つかっていません。この家には勝海舟と日下部鳴鶴の揮毫した篇額も保管されており、今回展示してあり、やはり素敵でした。下記が徳島城博物館のサイトです。

http://www.city.tokushima.tokushima.jp/johaku/

既に夕方4時になってから、最後に楽しみにしていた徳島県立文学書道館の「河東碧梧桐 書と俳句」展を見に行きました。碧梧桐は松山出身の俳人ですが、中村不折の友人で「龍眠会」の一員でもあり、その独特な書表現が俳句以上に有名です。以前から、碧梧桐の書表現、特にその作品の空間処理の面白さを注目していましたが、今回徳島でまとまった量の作品を一気にみることができ、本当に満足しました。この文学書道館には中林梧竹の作品が400点以上あるのが有名でよく見る機会があるのですが、梧竹の表現の強さと碧梧桐の書の強さというのは似ていることに今日、気が付きました。六朝書道の精神を受け継いだ二人です。Hekigotou

作品構成は極めてバラエティーに富み、まるで絵を見ているような感じです。彼は書を使って遊んでいて、また心に湧いてくるイメージを何よりも大切にしているように思います。特に驚いたのは昭和9年に出版した『子規を語る』という限定1000部の書物の表紙を全部直筆(じきひつ)で書いていることです。今回はそのうち9冊のみ展示していましたが、その表現をすべて変えていました。おそらくは1000部すべてを、心に浮かぶ様々なイメージで書き分けているのだと思います。正岡子規は碧梧桐にとって誰よりも尊敬する恩師で、それに関する本の表紙1000部すべて直筆で書くというところに、彼の芸術に対する心意気を見たように思いました。上の写真は、買ってきた図録の中で私が好きな作品のページを写したものです。

この展覧会は是非大勢の方に見てほしいと思います。作品作りの参考になる点が多くあります。展示は11月20日(日)まで続き、明日11日と、毎週月曜日が休館です。下記がサイトです。

http://www.bungakushodo.jp/

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2 コメント

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河東碧梧桐の書は、強い線質であり、ユーモラスで... (こうりん)
2011-10-12 16:15:25
河東碧梧桐の書は、強い線質であり、ユーモラスで、かつ一幅の絵を
眺めているような作品構成で、非常に興味を覚えます。
自分でも、作品を書いてみたくなります。

碧梧桐先生が心から楽しんで、ご自分の思いつきに、にこにこ微笑みながら、作品を創っておられたのだろうなあと
その情景が、目に浮かぶようです。
(●^o^●)
いつも見て頂いていてありがとうございます。今回... (仙鳩)
2011-10-12 19:38:05
いつも見て頂いていてありがとうございます。今回の企画展は、とても貴重だと思います。もう一回見に行ってもいいなと思っているぐらいです。今日、見に行った学生も、たいへん喜んでいました。文学書道館に感謝です。

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