ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

リスク管理

2006-01-08 12:33:15 | 法務
 ビジネス法務の部屋に「ITと「人」の時代(2)」という面白いエントリーがありましたので(こちら)、それを読んで思ったことをツラツラと書いてみたいと思います。

 人間である以上必ずミスをしますし、ミスをすることを前提としてシステム(ITのシステムに限られない。)は組まれるべきです。しかし、そのすべてのミスをすべて事前に想定することは不可能ですし、またシステムの設計上の問題からミスが損害に結びつくことを事前に回避するコストが膨大となるということもあり得ます。

 つまり、どんなに頑張っても問題発生を完全に防ぐことは不可能なのです(唯一の完全な対策は、そもそもなんにもしないということです。東証での取引をやめてしまえば発注ミスの問題は発生のしようがないわけです。)。にもかかわらず、東証は「ミスを繰り返さない。」と断言されていますが、これはなぜでしょうか。

 結局、日本の社会が「ミス」に不寛容だからなのではないかと思います。「ミス」の発生は不可避であるにもかかわらず、その発生を許しません。したがって、実行不可能であるにもかかわらず、まず絶対にミスを繰り返さないと表明せざるを得ないのではないでしょうか。

 どこかで読んだ気もしますが、日本では、「ミス」が起こった場合は、(過失の有無にかかわらず)責任者が「切腹」すべきであるという風潮が強いような気がします(これを、責任者の「結果責任」なる言葉で正当化するのは強い抵抗を感じます。)。つまり、「ミス」についての責任をすべて個人の問題として処理し、なぜ「ミス」が起こったのか、「ミス」又はそれに基づく損害の発生がどのようにしたら回避できたのかという本質的な問題にはきちんと取り組まないという傾向があるのを強く感じます。そのような傾向をマスコミの報道が助長し、煽っているように思います。これでは、責任者本人にも、社会全体にも、不利益になるだけで、なんら生産的な行動ではありません(社会が感情的に満足できるというだけです。)。

 「ミス」によりなにか重大な問題が起こったときには、個人的責任の追及などある意味どうでもいい(故意や重大な過失が主たる原因の場合は別ですが)のであって、むしろどのようにしたら再発の危険の減少、損害の極小化が図られるかが議論されるべきではないでしょうか。
 その際、「ミス」の発生を根絶するという不可能なことを目的とすべきではなく、「ミス」をどのようにコントロールしていくのかを考えるのがリスク管理の要諦ではないかと考えています。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます。 (toshi)
2006-01-10 02:50:23
そういえば、私のブログでコンプライアンス関連のエントリーを立ち上げますと、「敗者復活」を許容する人と許容できない人とにはっきりと分かれます。「ミスを許さない風土」といいますか、お国柄のようなものが影響しているのかもしれません。とりわけ証券行政と密接に結びついている東証ともなりますと、ぴてさんが指摘されているように容易に「ミスは起こりうる」とは言えないところもあろうか、と思います。今後の問題解決のためのハードルをひとつ見つけたような気がいたしました。
事実認識 (ぴて)
2006-01-12 01:29:37
個人的には、みんな感情的になりすぎてるんじゃないかなと感じます。まず事実を直視しないとなにごとも解決しないんじゃないかと。



誰かに責任を押し付けてよしとするのではなくて、事実を直視してどうすれば防げるのかをみんなで考えるという姿勢が重要なのだろうと思っています。

コメントを投稿