ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

おおたとしまさ『続 子供はなぜ勉強しなくちゃいけないの?』

2015-06-28 08:05:48 | 

私がこの本を選んだ理由は、タイトルからではない。
私が敬愛し、「日本の知の巨頭」と勝手に思い込んでいる土屋賢二(以下、敬称略)が
「子供はなぜ勉強しなくちゃいけないの?」という問いに答える7人のうちの一人だったからだ。
なので、「続」の前、2013年6月に出ている『子供はなぜ勉強しなくちゃいけないの?』は
読んでいないし、知った今も、答える7人に荒俣宏以外は興味もなく、読む気すら起きない。
ちなみに、その7人とは、荒俣宏・内田樹・瀬戸内寂聴・坂東眞理子・福岡伸一・藤原和博・
茂木健一郎・養老孟司(私の苦手な人が多いのだ)。


本書のとても良いところは、本の前半は子ども編、後半は大人編に分かれており
子供が興味で大人編をも読めるところである。
というのは私の見解で、著者としては「親子で読んで語り合えるように」してあるそうだ。
この本にケチをつけるとすれば、「子供」「大人」「勉強」の定義が漠然としていることか。
そもそも「どうして子供は勉強しなくちゃいけないの?」と、聞かれることが前提なので
漠然とした問いのまま、漠然と読み進めていけばいいのだろう。
それに、「子供は勉強しなくちゃいけない」のなら「大人は勉強しなくていい」のか
と、天邪鬼な私は言いたくなってしまう
「勉強しなくちゃいけないのは、むしろ大人だろ」と。
この本を読んで親子で語り合うのも結構なことだが
身近なところに勉強している大人がいる環境が大切なのではないだろうか。
楽しんでする勉強も、会社から言われて、嫌々受けなければならない資格試験の勉強も
「学ぶ」ことに対する大人の姿を、子供に見せることが大切だと思う。


「子供はなぜ勉強しなくちゃいけないの?」の問いに答える7人のなかで
お笑い芸人のロザン宇治原の話には、納得する部分があった。
それは、「裾野を広げるといろんな人になれる。お笑い芸人も裾野が大事」というもので
富士山を例にして子ども編で以下のように語っている。

(引用開始)
 富士山をイメージしてみてください。富士山がほかの山よりも高いのは、裾野が広いからです。それと同じで、人間も子どものころにいろいろなものを学ぶと、裾野が広がります。裾野が広いと、将来富士山のようなかっこいい大人になれます。逆に、子どものころに裾野を広げておかないと、富士山のようにはなれません。(中略)もし、今、学校の勉強によって裾野を広げるのがつらいなら、別のことをたくさんして、裾野を広げていってください。(中略)今すぐ役に立つものは、たいていすぐに役に立たなくなります。今すぐにはなんの役にも立たないものほど、あとで「芸の肥やし」になることがあります。(中略)裾野を広げておくと、将来の選択肢も増えます。「いろんな人になれる人」になれます。
(引用終わり)

そしてわが敬愛する土屋賢二はというと
「人生を楽しもうと思ったら、どうしても勉強しちゃう」と語っている。
これは皆さん、心当たりがお有りなのではないだろうか。
幼い時、次々と湧き上がる謎とそれを知った時の喜び。
しかし、知れば知るほど謎の先は深く遠く、好奇心が満ちることはなかったことを。
古代の哲学者アリストテレスは、「人生最大の快楽は勉強だ」
というような言葉を残しているそうだ。
そして土屋賢二は子ども編でこう語っている。

(引用開始)
 勉強ほど楽しいことはないのです。それなのになぜ、「子供はなぜ勉強しなくちゃいけないの?」なんて聞くのでしょうか。それは、今の学校が、子供たちの「知りたい」という気持ちをつぶしてしまっているからじゃないかと僕は思います。(中略)また、世の中のことを知れば知るほど謎は増えていくはずです。だから、教養ある人ほど謙虚になっていくものです。もし「自分はなんでも知っている」という偉そうな先生がいたら、実は「それほど教養がない」と考えていいでしょう。教養がなければユーモアのセンスにも期待できません。そういう先生に教えてもらっても実際面白くないですよね。
(引用終わり)

ロザン宇治原と土屋賢二の話を読んで、私が思い浮かべたのは
東進ハイスクール・東進衛星予備校国語科専任講師の林修だった。
彼の教養の広さと深さ、そして常に好奇心を持ち、学び続けている姿は
お人柄も相まって、とても良い例であるように思う。
私も面白い人になるために()、まだまだ学ばなきゃ



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