ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

彼女達はサッカー選手なのに

2011-07-24 11:25:00 | 日常

なでしこジャパン…、名付けた方には申し訳ないが、「なでしこ」にも「ジャパン」にも馴染めない。
だが、ここまで「なでしこジャパン」の名が巷を席捲するに至っては
私もこの愛称を、ここで使用することとする。


私は元来サッカーには興味がなく、何人でプレーする競技かさえ知らなかったが
中学・高校と部活動でサッカー部だったダーリンの影響を受けて
そこそこルールを覚え、自ら進んで観ないまでも、ダーリンと一緒にテレビ観戦するようになった。
1人でワールドカップ決勝戦を観るのが怖いダーリンは
「ぴーちゃんも、起きて一緒に観るよね?ね?ねっ
と、半強制的に早起きとテレビ観戦を促した。
決勝戦当日、テレビ観戦途中でダーリンの心配性が頂点に達し
なぜか試合途中でチャンネルを変えるという不思議な行動を目の当たりにした私は
せっかく決勝戦を観るために早起きをしているのに、なぜチャンネルを変えるのかとダーリンに尋ねた。
「う~ん…、だって心臓がドキドキしちゃって、心配で観ていられないんだもん
「不思議な人だね~サッカーを観るために起きているんだよね?」
「うん…。だって~
「ほれほれ、早くサッカーに戻してよ
ダーリンはなぜかもじもじながら、チャンネルをサッカー中継に戻した。
「ぴーちゃんはドキドキないの?」
「私はそれほど日本に肩入れしていないからね
   それより、アメリカ選手、カッコイイね~特にワンバク
私はワンバク選手にドキドキしていたのだった
決勝戦の結果は、恐らく大方の皆さんが御存知のとおり
日本がPK戦を制してワールドカップを手中に収めた。


その後のマスコミ・国民の盛り上がりは、私の目から見れば異常なほどだった。
まあ、ワールドカップで優勝したのだから、成田空港に出迎えのサポーターやファンがたくさん押し寄せたり
かなりの数の報道陣が待機していても不思議ではない。
マスコミへの露出度が飛躍的に高まることも頷ける。
なでしこジャパンの選手にしろ監督にしろ日本サッカー協会にしろ
これを、今まで男子に比べて冷遇されていた女子サッカーを認知させる
絶好の機会と思わなかった人はいなかっただろうし
あわよくばこの機会を利用しようぐらいの魂胆もあったのではないだろうか。
ただ、1週間がたち、さまざまなニュース番組や企画番組に引っ張りだこの彼女達を見ると
私は食傷気味だし、マスコミとにわかファンの餌食になっているようで気の毒でならない。


彼女達はサッカー選手だ。
彼女達を応援するなら、彼女達がサッカーに専念出来る環境を作れ。
「彼氏はいますか?」とか、「得意な料理は何ですか?」とか、「結婚したいですか?」とか
子供が聞くなら、選手もまあ苦笑いしながら、さらっと答えられる質問でも
マスコミがよってたかって、しかもどこの局でもと言っていいくらいの頻度で聞くことだろうか。
それを視聴者が喜ぶと思って質問しているのだとしたら、日本のマスコミは子供程度の精神構造しかないし
視聴者のことも子供程度の興味しか持ち合わせていないと馬鹿にしているのだ。
視聴者も、そんな質問を喜んで聞いているのだとしたら、子供程度の精神構造だ。
彼女達はサッカー選手だ。
「イングランド戦の敗因は何だと思いますか。」とか
「今まで勝てなかったドイツに対して、これまでとは違う対策を練ったのですか。」とか
「決勝戦でのアメリカの前半の怒涛の攻撃は予測していましたか。」とか
「日本が攻撃する転機になったのは、どのプレーからですか。」とか
そういうことを聞け。
彼女達はサッカー選手だ。
今までは冷遇されていたために、マスコミの餌食になることもなく、それなりの自由もあっただろうが
ワールドカップ優勝を機会に、有名になればなったで失われるものがあるのだと知っただろう。
それでも彼女達が、そんな輩をものともせず、道を窮めてくれることを願っている。



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