いつのまにか空は

2020-09-06 | ┗19歳の青春

 いつのまにか、空は赤く染まりだしていた。朝が訪れたことに気がつくのに私は長いことかかったと思うけれど、実際の時間にしたら、3秒とか5秒とかそのくらいだ。そして、朝が訪れたことが悲しくて目を閉じた。
 ゆっくりとひとくちずつコーヒーを飲むと、次第に落ち着きを取り戻して、ようやく朝が訪れたことを受け入れる。

 朝食はいつも同じメニューで、ここ2週間はスーパーで買ってきた1袋298円のコーンフレークを食べる。牛乳をいれて、サクサクと音をたてながらかき混ぜる。5回かき混ぜて1回くちの中に放り込む。それを繰り返すので食べ終わるまでにとても時間がかかる。
 ただ流しているだけのテレビに不意に目が行くと天気予報がやっていて、今日は晴れることを私は知る。私は土砂降りの雨がすきだ。元々はあまりすきではなかったけれど、ある人の影響で私は雨も素敵な天気だと思えるようになったのだ。今はもう会うこともないけれど、だけど時折その人が私の中に住んでいる様な感覚になることがある。
 時々、現れては、私を褒めてくれたり、叱ったり。そして抱きしめられている様なぬくもりを感じることもある。だけどそれは目を閉じている間だけのことで、目を開けばそこには誰もいない。誰もいないんだ。
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