Soprano×Online voice lesson Diary♪

ソプラノ歌手 ボイストレーナー 川島沙耶 Sayaのブログ

震災から9年。振り返ること。

2020-03-12 | 日記

3月11日を迎えました。
命の尊さ、当たり前と感じている日常がかけがえのないものであることを教えてくれた忘れてはならない日。


アンサンブルグループ奏楽として演奏で何度が東北を訪れています。
たくさんの方々のサポートのおかげでこのツアーは続けられています。

初めて訪問したのは地震の翌年の秋、岩手県と青森県でした。地震と津波が残した傷跡を前に言葉を無くし、被害を受け、ご家族や友人を亡くされた方々を思うと胸が張り裂けそうな気持ちになりました。自分の不甲斐なさ、情けなさ、無力さ、悲しさが込み上げてきて、仮設住宅で歌っている時に泣けてきてしまったのを思い出します。

自分が歌ったところで、過去の平穏な時間を取り戻すことも、亡くなった人を蘇らせてあげることもできない。音楽の力って、歌の力って、一体何なのだろうと何回も何回も仮設や集会所、学校や施設をめぐる度に思い続けました。

そんな気持ちでいっぱいいっぱいになっている時に、「確かに自分達は何もできないかもしれない。でも自信を失ってはいけない。自分を過小評価してはいけない」と厳しく言われました。器が小さいというか、人生経験が浅い私はその時「でもこの場を去ったら、家があって、ただいまとあたたかく声をかけてくれる人がいて、そんなの申し訳なくて、、、やっぱりその場の綺麗事なのではないか」という気持ちに悩まされました。「自信を持つ」ということが一体どういうことなのかその時は全く理解できなかったのです。

あれから9年。
今まで本当にたくさんのステージで歌わせていただきました。
今もしあの時に戻ったら?くよくよしてる自分にしっかりしろ!とビンタしていると思います。なぜなら音楽や歌には、人の心を勇気づけ、元気にし、励まし、笑顔にさせ、癒す力がある。何かを思い出し、愛を感じ、夢を与え、そして大切なことを気づかせてくれる力がある。だからこそ、どんな場合でも、聴いていただく時は誠心誠意、今あるすべてを込めて、歌わなければならないと思っています。自信を持つことはステージ袖で自分を奮い立たせる原動力になるということ、そしてしっかりした気持ちで舞台に立つことでそれが誰かの心のパワーになるということを未熟な私なりに気づくことができました。

今、誰もが予想しなかったコロナウイルスの影響で、世の中の動きが変わってきています。演奏者、お客様の安全を第一に考えると延期や中止はやむを得ず、不安がなくなり安心してコンサートに足を運んでいただける日が早く来ることを祈っています。そして今この時間で何ができるのかを前向きに考えて一日一日を、一瞬一瞬を大切にしていきたいと思います。

早く笑顔で皆さまに会いたい❤️