80-one's!

ボーイズラブの感想を書き殴り中。TB&コメント大歓迎。古い記事でもご遠慮なく。ネタバレありありですのでご注意を。

闇の愛人 五百香ノエル

2005-08-30 | 記事
ヘタレな私をお許しください、ご主人様

パレット文庫・小学館


舞台は19世紀のロンドンを模した懐古趣味の23世紀の都市。刑事のジャックと探偵社で働くフレイは共に秘密を抱えた支配者と被虐の徒という関係。ふたりきりになると酷薄な言葉と行為で、自尊心の高いフレイを背徳の闇に落とすジャック。そんな濃密な日々の中、切り裂き殺人事件が続発し懸賞金がかけられるのだが・・・。


初五百香本であります。そしてきっと最後だ。
レーベルはパレット、表紙は紳士と少年、でもこのお話、すっげー危険物です。
まごうことなき正統派SMなんですが、ボーイズラブかと言うと・・・いやボーイズラブなんですけどね。男同士と言う大雑把な括り方をするなら。

ジャックは普段は頼りない刑事を装っていますが、本当は肌を切り裂く事に悦びを感じるサディスト。しかし相手が死んでしまっては性的興奮を得られないという、付け足しのようなエクスキューズがあります。
フレイは叔父の探偵事務所を手伝っている、女装癖のあるマゾヒスト。こちらは肌を切り裂かれる事、ジャックを絶対の主人として仕える事に悦びを覚えている。

この二人の関係は迷うことなく萌えます!
お互いを絶対の相手と信じ、また全てを許しあって愛し合うのがなんともツボ!

しかしですね・・・

フレイは女装している時は人格がエルザというメイドになってしまうんですよ。
「ハイ、ご主人様・・・エルザは恥ずかしい発情期の牝犬です。ご主人様の熱くて硬い●ニスで犯して下さい・・・」なんて言っちゃうんですよ!
これが延々お布団シーンで展開されるんです。そのお布団シーンも濃いったらありゃしない。
私今ナニ読んでんの?「肛虐の悦び~私はマゾ奴隷」 byフランス書院文庫を読んでいるよーな気になってきます。
これはボーイズラブなのに・・・五百香さんてこういう作風の人なのでしょうか???
私にはもうついていけません。ごめんなさい。

後ですね、何故これを23世紀の時代設定にしたいのかわかりません。
舞台は19世紀のロンドンのままでなんの不都合もなさそうな内容だし、もしかして電動のおもちゃを使いたいが為にこういう設定にしたんですか?


昼となく夜となく ひちわゆか

2005-08-28 | 記事
100回読んで100回泣く(ちょっと大げさ)

ビーボーイノベルス・ビブロス

一流企業の社長である鷹倉はかつて「宝石を食べるこの世で一番美しい不老不死の化け物」カズナが鷹倉の一家を破滅させた事から、復讐の為に彼を探し出す。しかし鷹倉の前に現れたカズナの真実が明らかになるにつれ・・・。
「11月の花嫁」収録


ファンタジーって苦手なんですよね。だからこのお話もあらすじを読んでしばらくの間、パスしていました。
しかしひちわさんだしな・・・と暇な時に読みまして、激しく後悔した訳であります。
何でもっと早く読まなかったの、私の馬鹿馬鹿!
ティッシュ必携のお話にもかかわらず不用意に読んでしまって本の上に涙、そのページだけぶよぶよになってまた涙。

魔女を得たものは莫大な富を約束される、しかし蔑ろにすると罰が下る…そんな言い伝えをものともせず、復讐に燃える鷹倉は幼い頃自分がさせられてきた事、屈辱的な下働きをカズサにさせます。
屋敷のメイドたちも一緒になってカズナをいたぶるんですが(この辺シンデレラみたい)、当のカズナは柳に風、雑巾も満足に絞れないような下働きをしながら日々を過ごしていきます。

やがて屋敷の住人がカズナに心を許し守っていくのだが、それは彼に危害を加えると不幸な事が起きるのを恐れたのではなく、本当にカズナを好きになっていったんだと思う。
カズナのかつての保護者であった侯爵もアパートの母子も、本当にカズナのことを愛しく思っていたんだと信じたい。
それくらい魅力的なキャラでした。
うまくいえないんだけど、周りを優しい気持ちにさせる、やわらかい風のような。
それはきっと鷹倉の心にも届いたはず。

カズナと鷹倉の間の真実は本当に辛くて、どうする事も出来ない思いがふたりを別れさせるのだけど。
ふたりきりの晩餐のシーンで涙腺崩壊です。
屋敷の人たちの心づくしのメニュー、美しい食卓、不器用なダンス・・・ああこうやって書いていても泣けてきそうです。
でもこの涙は悲しいお話を読んだときに流れる物とはちょっと違う。
鷹倉とカズナが愛しくて切なくて泣いてしまった。

ラストシーン、これ以上ない美しい終わり方でした。


乳首も調教もありません。
いつものひちわさんとは一味も二味も違うけど、それでものめりこませます。
こんなお話を書かれるから、掲載予定を落とそうと発売延期の嵐が吹き荒れようとも大人しく新作を待ってしまうんですよ、はあ(ため息)
ところで9月発売のディアプラス文庫、大丈夫でしょうね?(懲りんやっちゃ)


Virgin Shock

2005-08-28 | 記事
やっぱりね、ちゃんとつけるべきなんでしょうか。
万が一って事があったら怖いし。
初めてだから、そんなこと考えずにおもいっきり浸りたいんだけど、取り返しのつかない事になったら、折角の思い出が台無しになるじゃん!

だけど・・・アレ、オットの部屋にあるのよ。
どうしてそんなの物いるんだ?って聞かれたらどうすればいいの?

でも、でも声を聞かれたら・・・耐えられえない!

ねぇ、ヘッドフォン貸して!


きょうは午後から夕方までオットもコドモもいないので、聞きますよエスのCD。
封もきらずに我慢してきたのよ。
ああ、怖いわ嬉しいわで乙女の胸ははちきれそうです。
だから突然帰ってこないでね。
家人のいない間に間男を引き入れるような気分のアキでした。

夜が蘇る 英田サキ

2005-08-28 | 記事
エロ探偵VSエロヤクザ

プラチナ文庫・プランタン出版

元警視で今は大阪で探偵事務所を任されている秋津は、情人だったヤクザの羽生を自分の腕の中で喪った。失う悲しみにもう耐えられないと虚ろな日々を過ごす秋津の前に、極道の久我が口説いてきて・・・。


過去アリ元刑事の探偵が、ヤクザに迫られるお話・・・はて、どっかで読んだ様な気が。

秋津と羽生の関係は、お互いの立場のせいもあるけど、閉じたふたりきりの世界という気がした。
それとは逆に久我は、裕樹や伊久美など他者とのかかわりを秋津に持たせているような感じがする。
他の世界に秋津を置くことによって、濃密な羽生との過去を少しづつ薄めていくような。
でも羽生、すごく気になりますよね。
秋津と羽生のお話を読みたい。
ここらが潮時と言ったのは自分の人生の事なのか、秋津との関係の事なのか、どちらにしても何かの終わりを見ていた羽生は、秋津の中に確実に大きなものを残して逝ったけど・・・これって絶対わざとだと思う。
ふたりの間に明確な恋愛感情がなかったからこそ、最後の一瞬を刻みつけるように。
秋津がずっと羽生のことを忘れないように。

しかし、シリアスなようで結構笑わせます。
久我の真珠な件では、あんたそこまで・・・いやいやそこまでしてしたいのねと感心してしまいました。
また台詞がいちいちエロオヤジ入っています。文脈も変です。
こうなったらしょうがねぇ。ナニがしょうがなくなったのはわかりますが(ってお前がオヤジだよというツッコミはなしで)
乙女でヘタレな若頭の一途な片思いなお話ですね。とてもそうは見えませんが。

秋津の男前な受けさん振りは充分堪能させていただきました。
特に久我に命じられた槙に抱かれようとするところなんか、流され系の本領発揮です。
本当にこういうタイプ、好きだわぁ

どうして羽生が組を裏切ったのか、夜だけ久我に渡す事にした秋津の思いがこの先どう変わっていくのか、ぜひ続きをお願いしたいお話でした。
でも大いなる不満がひとつ。
大阪が舞台なんだから、久我も関西弁をしゃべらんかい!

SMについて私が知っている2、3の事柄

2005-08-24 | 記事
某所ではSMを熱く語っていらっしゃいますねー。
私も本棚の整理をしつつSMな本を読み返したりして、掃除にならない夏の夜だったりします。


さてさてWEB拍手で「おすすめのSM本を教えて」というのを3通いただきました。
何故私のところに?このブログ、SM本の紹介なんてそんなにしていないのに・・・どちらかというと某所の方がすごいのに(笑)
全てお勧め!という訳にはいきませんが、SM本らしきものを並べてみました。

石黒氏シリーズ 吉田珠姫
「石黒一臣氏のささやかな愉しみ」などシリーズ5冊が出ています。
傲岸不遜、唯我独尊な石黒氏が、自身の持つ財閥の力をバックに犬と称した奴隷とやりたい放題な生活を送るというお話・・・あれ?何か微妙にあらすじが違う・・・。
言葉責めが多いし、抑圧された自分を解放するというパターンが多いのでなかなか萌え設定なのだけど、何故か萌えない。
石黒氏の余りにも自信たっぷりなところがダメなのか、彼の薀蓄にうんざりするのか、みなさん葛藤もなくスコーンと突き抜けてSMしてんのが悩み好きな私のツボを外しているのか・・・うーん、うーん。

愛奴 小林蒼
主人公の隆一は自分の身体を傷つけないとエクスタシーを感じる事が出来ない。そんな彼に友人の兄である春生が愛奴契約を持ちかけてきて。
文章がちょっと読みにくいんだけど、調教物という点では本格的ではないのかな。
お道具あり、軽いスカあり、ピアッシングありと、一見ハードそうなんだけど、ベースがラブラブなので痛さはゼロに近いかと。
続編に「みだらな絆」というお話がありますが、こっちはちょっと物足りなかったです。続きがあるとどうしても前よりすごいプレイが!と期待してしまうんですね~。

教授の密かな愉しみ 剛しいら
華族の血を引く勅使河原教授の館でひと夏のアルバイトをする事になったさえない大学生・天根。そんな彼が毎晩何者かに施される淫らな行為に、だんだんと本音が浮かんできて。
「可愛がるのはペット。愛でるのは家具。重用するのは奴隷」
これがこのお話のテーマです。なので正確にいうと、主人公カップルのSM話ではないですね。天根はスレイブではなくてペットなので。
そして私はこれで初めてファニチャーなるプレイ(?)を知りました。
いや~奥が深いですね。おもしろかったです。教授の確固たる信念が美しい。

闇の愛人 五百香ノエル
舞台は19世紀のロンドンを模した23世紀の都市。女装癖のあるマゾヒスト・フレイと、彼の絶対的主人・ジャックとの濃密な日々に事件は起こる。
これをパレット文庫で出すか!というような内容です。
推理物としてはオチがミエミエだったのであれですが、それよりもふたりのナイフで切り裂くことと切り裂かれることに悦びを覚える関係が
流血プレイがあるので痛いのダメーな人はお避けになったほうが賢明かと。


とりあえず本日はここまで。
本棚からまた発掘していきたいと思います。

ところでSMと一言で申しましても不勉強な私ですので、ディープな事はわかりませんが、肉体的と精神的に分けられるひと、両立させないと満たされないひと、いろいろあるみたいですね。
どうしてもマゾヒストの方に感情移入してしまうのは、やはりボーイズラブの世界ではMさん視点が多い事、それに私的ツボが、相手が自分の全てを暴いてくれて、その願望を的確に叶えさせてくれる・・・所詮私も乙女よね、突き詰めれば自分の欲望を100%叶えてくれる相手(ご主人様)を欲しているんだから・・・と言う事にあるせいなのかしら。

いやーん、シンデレラ願望とマゾヒストって紙一重なの?



萌えバトン

2005-08-16 | 記事
kotonoha::詞の音のJuraさんより頂きました萌えバトン。
己の性癖を余すことなくさらけ出す、ある意味とっても怖いバトンですねー。

■萌え属性を正直に告白せよ(妹属性とか眼鏡属性とか)

関西弁属性。ってそんなんあるんか?
とにかく関西弁キャラに弱い弱い。
それはもしかしたら、疲れた時に大阪言葉をついしゃべってしまう某刑事と、それを「いいぞ。もっと使え」と言った義兄に萌えた時からなのかもしれません。
あとはブログで喚いている通り、おっさん好き。受けでも攻めでもいいの

■萌え衣装を答えよ(メイド服とか背広とか)

スーツ!
普段のオットがジーンズにTシャツなので、スーツが非日常な私としては裸エプロン並みに萌える。
仕事関係の方も何故かスーツは少ない。嫌がらせか?

働く男の制服もロマンよね~。
防衛大の卒業の時に、あの制服で男同士でダンスをするって昔聞いたけどホントかな?

■萌え小道具を答えよ(包帯とか首輪とか眼帯とか銃とか)

ビールと煙草。
山田ユギさんのコミックって愛煙家多いですよね。そんでもってビールを浴びるように飲んでいるから、萌え倍増。


■萌え仕草を答えよ(受でも攻でもどっちでもいい。ときめく仕草)

何かを掴んでいる仕草が好き。
服の裾を掴むとか、ビール缶をつぶすとか、背中に回した手が何かを掴めそうで掴めなくて、手をぎゅっと握っちゃったりして。
その時に手の甲に筋が浮き出ていたら最高!
ネクタイをちょっと緩める仕草もいいなぁ。この先に何があるのかなと期待してしまうじゃないか。
あとはふたりで立ったまま、煙草の火を点けてあげるのに萌え。マッチだとさらに倍率ドン。
これはセクシャルな匂いのない接近がステキ。


■萌え場所を答えよ(海とか山とかその二人がここにいると最高にいいって場所)

攻めの部屋のお布団の中(オイ!)

では真面目に。
居酒屋でカウンターに並んでビール飲んでくれ。
ちょっと酔った攻めが「お前のこと、たぶん好きなんだ」とか何とかほざいて欲しい。
受けは煙草の煙に目を細めながら「知っていましたよ」とか言うの。
何故に居酒屋か。
もしかして私が隣に座って耳ダンボになっているかもしれないじゃないのー。

あ、これ場所じゃありませんね。シチュエーションですね。
場所ならふたりが外回りの途中に休憩の為寄った、コーヒーショップ。ドトールみたいなの。
窓ガラス越しの外の風景を眺めながら、攻めが「お前のこと・・・」
あれ?



う~ん、こうやって考えると私ってシチュエーション萌えなのね。
そしてこんな事を言っては何だが、やっぱ、ツラが良くなきゃどんな萌えを持ってきたってダメなのさ~。

ミもフタもなくてごめんなさい。
Juraさん、ありがとうございました!




獣-壊滅- 綺月陣

2005-08-15 | 記事
毒を食らわば皿まで

ピアスノベルス・マガジンマガジン

お盆で地獄の釜の蓋が開いてとんでもない本が再び出てまいりました。

さて前作、ボーイズラブの極北を見せつけた獣ですが、なんと続きがあるんですねー。全部で3冊ですって。
アレ以上のすごい内容なんて想像できない、でも怖いもの見たさってあるよね?
暑い時にはキムチ鍋を食べるみたいなもんだよね?え?違うの?

お話は全部で4編。本編の壊滅以外は全部過去のお話となっています。

【獣・壊滅】
正式に岩城組三代目組長となった廉だが、自分の力量に不安を感じていた。俺はこのままお飾りの組長なのか・・・九堂のペットなのだろうかと。そんな時、昔の恋人である雅也と再会し・・・。

どんなあらすじ書いていても「すごいよー」のひとことで済んでしまう様な感想になるのはわかってはいるのですが・・・やっぱり今回も「すごいよーこわいよー」です。

虫を何とかクリアした私ですもん、多少の事じゃ驚かなくてよ、という挑戦状はビリビリに破られてしまいました。
例の如く敵対組織にさらわれてしまった廉が、例の如く陵辱されるんですが、そのお相手は・・・犬よ?獣姦よ?土佐犬よおおお。
お犬様・・・寿たらこさんの「ここ掘れワンワン」という脱力な物を読んだ事がありますが、活字では初めてです。
それもねー、なまじ筆力があるせいか情景が目に浮かんじゃう。
次から次へと眩暈がしそうなプレイを繰り出してくるあたり、ジャンプのインフレ理論もびっくりです。
もう残っているのは何?死姦?

ラストシーン、例の如く九堂が廉を助けに来て暴れまくり殺りまくりですが、なんと、卑怯にも廉を人質にした雅也が、火サスよろしく崖の上で九堂と対決。
どうなる九堂と連の運命は!ですが、痛いって!折れるって!そもそもそんな状態でなんで生きてるの?いや死んじゃうけど、な展開だけど、見ようによっては永遠の愛を誓うふたり、ここまで惚れあえば本望でしょうなラストです。
これ続刊があるんですよね。
つーことは・・・男たちの挽歌のように双子の弟とかが出てくるの?
どうやら地球外生物、ブラックホールからでも復活しそうなカップル(しかしカップルつー言葉も似合わんふたりやなぁ)の熱い魂の続きでも読みましょう。


【獣・降臨】
ホストの一矢が出会った24歳の九堂了司。駆け出しのヤクザだった九堂は一矢を見た瞬間、困惑し、戸惑うのだった・・・。

そしてふたりは恋に落ちる。一矢の手管にどんどん惹かれてゆく若き九堂・・・
な訳ねーだろ!
九堂は若くても九堂です。無茶苦茶です。
ラブイ雰囲気は欠片もありません。ってゆうか、これってこれってカニ・・・カニ・・・我泣きぬれてカニとたわむる・・・うえーん!
これホラーなんてもんじゃないよう、スプラッタだよう。


【獣・灼熱】
50人集団プレイの後、体調を崩した廉(当たり前や)を看病する九堂。

ほのぼの・・・?九堂がエプロンつけてお料理しているよ。
別に人間を掻っ捌いているんじゃないよ。
でも最後はエロエロで終わるよ。


【獣・覚醒】
17歳の了司は、ろくでなしの父親と腹違いの弟・智司と荒んだ生活を送っていた。謎に包まれた了司の過去が明らかになる。

九堂が如何に獣となったのかが明らかにされるお話。こんな陰惨な過去があったらネジの1本や2本切れてもおかしくないけど、あまりの衝撃でネジは全部吹っ飛び、代わりに智司の魂が入ったとしかいえない。
その智司が報われない恋心を抱いたまま、九堂の中に住み続けていると思うと、ちょっと切なくなりますね。
あー、このシリーズで初めてマトモな事書いたような気がします。


結論。これはキムチ鍋というより闇鍋だよ・・・。
何が出てくるかわかんない。

蛍ヶ池 榊原姿保美

2005-08-10 | 記事
レトロホモシリーズ

小説JUNE NO.1 1982年10月号

日本舞踊の宗家の息子・天川錦は天才的な舞の踊り手だが、心臓を患っているため舞台に立つことも少なく、医者の叔父に抱かれる日々を送っている。そんな錦が本当に愛しているのは、錦の母と心中し、自分だけは生き残ったという噂の内弟子・祐だった。


伝統芸能に血の恩讐、近親愛に天才美形。
澱んだ空気の漂う人間関係、ああ、まさにJUNEだなぁとしみじみババァの繰言。
この頃のお話には、おっさん受なんて間違っても出てきません。

耽美な要素がいっぱい詰まったこのお話、あの頃の私はそりゃもう夢中よ。
だって祐さんは錦の父と情人関係にあるし、手玉に取っているつもりの叔父には嵌められるし、悲劇的で美しい最後だし!
美少年に未来は許されないもん。彼らは美しいお花ちゃんなんだから、いつまでもぐずぐずと咲き続けることなんて耐えられない!
と、若かりし私は考えていた訳で・・・頭痛いよ。

今は亡き「小説JUNE」創刊号に「最優秀投稿長編作品」として掲載されました。
これ文庫化にはなっていなかったような気がします。
私の手元には20年余りの時を経て、4度の引越を乗り越え、すっかり黄ばみ、破れた箇所もある切抜きがあります。

それまで耽美小説はもとより、一般小説の中でそんな雰囲気があれば即、萌えに変換、それも無理矢理(走れメロスはニアホモだよな)していた私が全編これ少年愛の世界に狂喜乱舞したのは言うまでもありません。
田舎の女学生だった私は「特別な嗜好ジャンルの投稿小説」が商業誌に掲載される、それもこちら側の人、つまりアマチュアであり、日頃自分と同じように耽美耽美と喚いている人が書いている小説だ!という驚きと喜びで一杯になりました。
あ、そう思い込んでいるのは私だけで、実際に榊原さんが耽美耽美と喚いている訳でありません。
彼女が書く世界はもっと深く重い物がありましたから。

実際これ以前に「真夜中の天使」があった訳ですが、あれはあくまでもプロデビューした作家が書いたもの、最初からこちら側のお話でデビューした榊原さんに勝手にシンパシーを感じる始末。
とにもかくにもこの「蛍ヶ池」から私の本格的ホモ本ライフがはじまりましたとさ。


追記
文庫化はされていないと書きましたが「青月記」というタイトルで単行本・文庫化されているそうです。
Sさん、情報ありがとうございました!



好きこそ恋の絶対 いおかいつき

2005-08-09 | 記事
好きといわれてその気になった♪の?

ルチル文庫・幻冬舎コミックス

諏訪内真二が捜査課に配属されたばかりの25歳の刑事。初めての担当事件の検事は先輩刑事から敵視されている男・高城幹弥だった。ふたりで事件を追っていくうちに真二はだんだん高城に魅かれてゆく・・・。


奈良さんの描かれる絵は雰囲気があってとても好きなのですが・・・表紙が・・・登場人物が・・・笑っているよ?
かつて奈良さんの表紙でこんな笑顔全開な絵があったでしょうか。
しかし口絵はいつもの危険物です。そして97ページの自転車に乗った君、誰やねん。

いおかさんで関西弁なワケですから真夏の月を思い出して期待に満ち満ちていたんですが、ふたりが追いかける事件がしょぼいせいか、それとも真二の恋愛感情を軸にしてお話が進んでいくのか、中途半端な印象が残りました。
さらさらと読んでしまったんですね。
真二はまっすぐで誠実なだけに葛藤もなく(これは単なる苦悩する男好きな私の嗜好から外れているだけ)、高城もいつ真二の事を好きになったのだろう、尻尾振って懐いてくるハスキーに絆されただけなのかしらと。
これは攻め視点のお話だから仕方ないのかなぁ、高城の心のうちをもう少しきちんと読みたかった。

お見本のような、年下ワンコ×クールビューティ・・・といきたい所ですが、高城ったらクールな振りして結構な熱血漢です。
そんでもって興奮した時には関西弁・・・うーん、なんて私好みのキャラ。
なのでとてももったいない。ついでに大阪高検時代の上司の活躍を期待したかった。

関西といえば「愛している」と言う言葉が苦手というのがありましたが、これ聞いたことありますね。
「好きやねん」と言われたほうがぐっと来るそうで。ホントですか?関西圏の方。


そして今回の結論、もとい発見です。
よーくわかった。わかりましたよ。ホモ本読んで幾星霜。今頃理解してどーするですが
私、年下ワンコ攻めが苦手だったんだ!
ワンコさん出現率が高くなる女王様受好きなので、ついつい読んでしまう組み合わせだったんですが、その度に「何かが違う・・・」と思っていたのだが。
唯一の例外がプラクティスくらいなもんで。
プラクティスといえばアレなもんで・・・あーあーあー。


誓約のうつり香  秀香穂里

2005-08-01 | 記事
初心者の方にも安心しておすすめ

キャラ文庫・徳間書店

南千宗が7年ぶりに再会した高校時代の同級生・羽沢誓史(チカ)は見た目も中身もすっかり激変。なんと彼は業界屈指のSMプレイヤー、10年に一度のカリスマご主人様として鞭を振るっていた。そんなチカが南に「ずっと君の事が好きだった」と告白してきて・・・。
続編「ダイヤは胸に飾るもの」収録


初秀香穂里本です。この人の作品はタイトルがカッコイイと思っていたんですが、なかなか手に取る機会がなくて。
ところが今回あらすじを読みまして、言葉責めが大好きな私はすごーく期待して即購入ですよ。

チカはサディストなんだけど、縛ったり鞭を使ったりするのではなく、言葉で相手を追い詰め、開放するタイプのご主人様なんですよね。
だからSMといっても痛い場面はほとんどありませんから、お子様初心者にも安心してお勧めできます、今回は。
南も、最初は戸惑っていながらチカに魅かれて、それは友情の延長線みたいなもののように見えちゃうんだけど、南の明るい単純な性格のせいなのかな。

しかし惜しい!
丁寧語なチカの言葉責めも充分楽しんだし、脇役もいい味出しているし。
だけど肝心の南はマゾヒストじゃないんです、しくしく。
だからチカがどんなに責めても、受けとしての快感は感じられるけど、被虐の悦びはわかんないんですね。
ということはチカは根っからのサディストじゃないのかしら?
それとも恋人に求める物は違うのかしら??
と思っていたらラストではチカの本心らしき物が出てきます。
「時間をかけて本気で挑みたくなる」と。
私はそっから先が読みたいんじゃ!
キャンディ」好きの私としてはやはり羞恥に咽び泣く受さんが見たい。
その伝説的な腕でぜひ南を調教し、恋人という名の奴隷にして欲しいよお。

後はですね、いやー橘がかわいいですよ。真柴にじっくり調教されるお話を読みたいです。こっちの方が絶対色っぽくなるような気がします。