道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

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「流れよ、我が涙」

2007-11-18 21:17:50 | 音楽
ジョン・ダウランド(John Dowland, 1563-1626)には、「私の女が泣いている」(”I Saw My Lady Weep”)、「乞い求めるべきか?」(”Shall I Sue?”)、「カエルのガリヤード」(The Frog Galliard)など、数多くの優れた作品があるが、その中でも最も人気があるのがリュート独奏曲「涙のパヴァーヌ」(Pavan Lachrimae)であろう。
曲調は素朴で冗長、何ともいえない物悲しさが漂う。
この曲はダウランドの生前からヨーロッパ中に知られていたらしく、また、本人も気に入っていたためか、芳名帳に”Jo.dolande de Lachrimae(ラクリメのダウランド)”と書くこともあった。

「涙のパヴァーヌ」をダウランド自身が編曲して、詞を付けたものが、
「流れよ、我が涙」(”Flow My Tears”)である。
その歌詞は、はっきり言って、暗い。ネクラ。
甘美なまでに絶望的である。

これほどの曲と歌詞を作るダウランドというのはどんな人物であろうかと言えば、性格は明るく、朗らかであった、というのが周囲の評である。
人付き合いの良さという外面の明るさは、創作の根源となる内面の暗さの反映、とも言えるが、あるいは内面が明るいからこそ、悲劇をより暗く映し出せたのかもしれない。
ほぼ同じ時期のイギリスに生きた、シェークスピアと比較して考えてみるべきであろうか。

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Flow my tears fall from your springs,
Exil’d for ever: let me moum
Where night’s black bird her sad infamy sings,
There let me live forlorn.

Down vain lights shine you no more,
No nights are dark enough for those,
That in despair their last fortunes deplore,
Light doth but shame disclose.

Never may my woes be relieved,
Since pity is fled,
And tears, and sighs, and groans my weary days,
Of all joys have deprived.

From the highest spire of contentment,
My fortune is thrown,
And fear, and grief, and pain for my deserts,
Are my hopes since hope is gone.

Hark you shadows that in darkness dwell,
Learn to contemn light,
Happy, happy they that in hell,
Feel not the world’s despite.


流れよ、我が涙 泉より
永遠に追放され、私は嘆きに沈む
夜の黒い鳥が、悲しい辱めを歌うところで
私はひとりぼっちになっている

失せよ、むなしい光よ もう輝くな
夜の闇は、深すぎることはない
絶望の内に、末期の運命を嘆く者には
光はただ辱めを暴くだけなのだ

我が悲しみは、決して癒されはしない
なぜなら、憐れみは消え失せ
涙と、ため息と、呻きにより 私の疎ましい日々は
あらゆる喜びを失ってしまったのだから

幸せの最高の絶頂から
我が運命は転げ落ち
恐れと、嘆きと、苦痛が 私の不毛な日々にて
望みが消え失せた後は、我が望みとなる

聞け、暗闇に住む影たちよ
光を軽蔑するがよい
幸いなるかな、幸いなるかな 地獄に在りて
この世の侮蔑を、感ずることなかれ
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