続・エヌ氏の私設法学部社会学科

無理、矛盾、不条理、不公平、牽強付会、我田引水、頽廃、犯罪、戦争。
世間とは斯くも住み難き処なりや?

女郎

2017-12-11 | 江戸笑話
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 旅商人が宿場で女郎を買って、女郎に尋ねた。
「ぬしヤア、いくつになる」
「わっちかえ、十八になりやす」
 また次の年、旅商人は同じ女郎を買って遊ぶ。
「ぬしヤア、いくつだ」
「わっちは十七でござりやす」
 この旅商人は商売下手で、だんだん元手を無くして、とうとう国許へ引っ込む時、また、この女郎を買う。
「ぬしヤア、もう、いくつになる」
「十六でござりやす」
と言えば、急に、商人が大泣きを始めた。女郎は肝を潰し、
「おや、けしからぬ。ぬしヤア、何で泣きなんす」
「ぬしの歳と、俺の元手とが同じことで、どんどん年(ねん)が減ってくるから」

<蛇足>女郎は、たいていの場合、借金のカタに売られてきており、その金額に応じて、奉公の年限が定められており、年限が満了することを「年(ねん)が明ける」と言う。
 したがって、年数が経つほど借金の残額も減ってくるわけで、この話では、年月が経つにつれて女郎の年齢が減ってくるのを、旅商人の元手と女郎の借金、両方の年(ねん)が同じように減ってくる、というオチである。

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