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旅商人が宿場で女郎を買って、女郎に尋ねた。
「ぬしヤア、いくつになる」
「わっちかえ、十八になりやす」
また次の年、旅商人は同じ女郎を買って遊ぶ。
「ぬしヤア、いくつだ」
「わっちは十七でござりやす」
この旅商人は商売下手で、だんだん元手を無くして、とうとう国許へ引っ込む時、また、この女郎を買う。
「ぬしヤア、もう、いくつになる」
「十六でござりやす」
と言えば、急に、商人が大泣きを始めた。女郎は肝を潰し、
「おや、けしからぬ。ぬしヤア、何で泣きなんす」
「ぬしの歳と、俺の元手とが同じことで、どんどん年(ねん)が減ってくるから」
<蛇足>女郎は、たいていの場合、借金のカタに売られてきており、その金額に応じて、奉公の年限が定められており、年限が満了することを「年(ねん)が明ける」と言う。
したがって、年数が経つほど借金の残額も減ってくるわけで、この話では、年月が経つにつれて女郎の年齢が減ってくるのを、旅商人の元手と女郎の借金、両方の年(ねん)が同じように減ってくる、というオチである。
旅商人が宿場で女郎を買って、女郎に尋ねた。
「ぬしヤア、いくつになる」
「わっちかえ、十八になりやす」
また次の年、旅商人は同じ女郎を買って遊ぶ。
「ぬしヤア、いくつだ」
「わっちは十七でござりやす」
この旅商人は商売下手で、だんだん元手を無くして、とうとう国許へ引っ込む時、また、この女郎を買う。
「ぬしヤア、もう、いくつになる」
「十六でござりやす」
と言えば、急に、商人が大泣きを始めた。女郎は肝を潰し、
「おや、けしからぬ。ぬしヤア、何で泣きなんす」
「ぬしの歳と、俺の元手とが同じことで、どんどん年(ねん)が減ってくるから」
<蛇足>女郎は、たいていの場合、借金のカタに売られてきており、その金額に応じて、奉公の年限が定められており、年限が満了することを「年(ねん)が明ける」と言う。
したがって、年数が経つほど借金の残額も減ってくるわけで、この話では、年月が経つにつれて女郎の年齢が減ってくるのを、旅商人の元手と女郎の借金、両方の年(ねん)が同じように減ってくる、というオチである。