文化逍遥。

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フェルナンデス倒産

2024年07月16日 | ギター
 驚きであり、残念なことだが、国産ギターメーカーの「フェルナンデス」が倒産した。製造はOEMで国内のメーカーなどに委託し、主に初心者から中級者向けの、使い勝手の良いギターやベースなどを企画販売していた。奇抜なデザインも多く、ファンも多かったようだ。特に1990年発売の「ZO-3(象さん)」というアンプ内蔵の小型ギターは、ある意味、画期的なものだった。というのも、わたしは1980年代、出張で各地のビジネスホテルを泊まり歩くことが多く、夜にホテルの部屋で練習出来るようなギターが欲しかった。なので、その当時「ZO-3」が出ていれば買い求めていたと思う。


シンプルなタイプの「ZO-3」。すでにサウンドハウスでは、販売を終了している。欲しい人は、今のうちに楽器店の在庫分を探して買っておいた方が良いかもしれない。

 経営の悪化には、材の高騰がひとつの要因というが、若い世代があまりギターを使うような音楽に興味を持たなくなってきたとも言われる。パソコンで入力すれば作曲から演奏まで出来るので、それも時代の流れかもしれない。

 一方で、ビンテージ・ギターやカスタムショップ製の楽器は高騰している。ESPのカスタムショップなどでは、円安の影響で海外からの注文が多く、オーダーしても納品まで2年かかるという。セッションなどでは、盗難や破損の心配があるので良質な楽器を使うのを止めて、安価な楽器や、店の備え付けの楽器を使う人も多い。ミュージシャンにとって、環境は悪化しているように感じる。

 
 以下は、ウィキペディアより「フェルナンデス」の記事の一部を引用。
『1999年1月期には年間売上高40億円に達していたものの、その後中古市場の台頭や競争激化によって業績が悪化。巻き返しを目指すも、2022年1月期は売上高が1億6608万円まで落ち込み、2414万円の最終赤字を計上した。さらに直接の資本関係は無いものの、西日本地区の代理店として関係が深かった大阪フェルナンデスも、2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う音楽活動規制が元で製品需要が減少したことで債務超過に陥り、2023年に大阪地方裁判所に自己破産を申請、同年4月に破産開始決定を受けていた。こうした事から当社の信用も低下、事業継続も困難となり、2024年7月11日までに事業を停止、弁護士に破産手続きを一任した旨を本社に掲示した。負債総額は2024年1月期決算時点で4億3389万円にのぼる。』

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