次に問題(特に否決理由として)として取り上げられるのは
郵便局のユニバーサル事業である。
全国の離島・山間部を含め、ひろくあまねく郵便局が展開し
均一料金で郵便が届く。料金差はあっても宅配の集配サービスが約束される。
そして簡易保険や郵便貯金の取り扱いもある。
私は国家戦略上、ある程度この仕組みの存続に賛成である。
(特に郵便・宅配という物流システムの観点から)
ここで論点となるのは、民営化されることで市場原理から
利潤追求企業となって離島・山間部をはじめ農村・過疎地などの
不採算地域にサービスが提供されなくなるのではないか?ということである。
政府もある程度の郵便局配置の見直しを視野にいれており、
その可能性は非常に高い。
しかし、少し厳しい発言をするならば、
現在の採算郵便局が不採算郵便局の運営を補完することが前提
であるこの仕組みは、言い換えるならば
その地域の税金や利潤だけでは運営されていないということである。
先にも述べたように、ある程度この仕組みの存続は必要と考えるが、
では現状の地域が持つ状態で本当に必要性があるのかどうかを
評価してきたか?もしくは評価手法があるのか?と言えば、
少なくとも一般には全く認知されていない。
殆どの場合、開設された郵便局はどのような状態であれ、
よほどのことが無い限り存続している。
従って現状のままでは、地域の郵便局は正当な必要性を
評価されないだけでなく、富の再配分に近似した形で存続することが
当然のように考えられてしまうのでないか?ということになる。
たとえ離島・山間部・過疎地域の住民は一般的には高齢で、
もしくはそこに人が住むこと自体に意味があるような地域だったとしても、
国から無条件で厚遇される理由にならないだけでなく、
(その場合は福祉政策が妥当と考える)
そこに住むことを自ら選択したということや、
その地域にしかない良さ(自然や食・住環境、林業や漁業・観光業といった生業)
を享受できる側面も考慮される必要がある。
また仮にもし、どこかの地域で運営資金や利用率が原因となって
郵便局の存続が議論となれば、
その必要性や改善・見直し、もしくは代替措置などを
自治体や住民などの地域が本気で考えるであろうし、
場合によってはこれまでの状態を市場の失敗や政府の失敗と捉える機会にして、
NPOやNGOが活躍する場を作るかもしれない。
つまり、国が強い力で無条件に全国一律にサービスを維持・展開するのでは、
地域が自身の特性や地域力を考え・改善し・養う機会を
結果として奪うような形になっている可能性があると言える。
こうした地域力、言い換えるならば本来の意味での地方自治の
考え方は以前に話題となった地方自治の改革、
いわゆる「三位一体の改革」や「自治体合併」にも
繋がっていると私は考えている。
(本文記載中)
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