قِطَار(キタール)
「キタール」と電車のことを書くが、エジプト特にカイロ方言では、この「キ」の音は、「ア」に変化するので「アタール」と言っている。
「アッタール」が香辛料屋のことなので、アラビア語ができるカイロ方言以外の地域の人々は「電車の話してるのに、何でスパイスのほうに話しが行っちゃうんだ!」と思われるかもしれない。
写真はカイロ中央駅、ラムセス駅の構内。今年の春大改修工事をしていたので、デモの影響があったかどうかわからないが、出来上がっていればとてもきれいになっているはずである。
地下鉄駅と直結で、こちらは、かつての大統領の名前が着いていた駅。現在は改名されて「الشَهِيدアル・シャハダ駅(殉教者の意)」という。
残念!、改名前の駅の写真を撮ってくれべきであった。
デモで人が沢山でていたので、駅に切符を買いに行った時もそそくさと帰ってきてしまった。革命間近になると、タハリールとラムセス駅周辺は芋の子を洗うようであると言う報道に、人ごみ嫌いの私は近寄りもしなかった。
今思えば惜しいことをしたような…しかし人ごみと言うのは何が起こるか判らないものである。やはり行かないであろう。
さて、電車であるがオススメはアレキサンドリアへ行く時と、上エジプトへ行く寝台車だろう。(地下鉄はとても便利であるが、観光地はあまり網羅していない)
そのほかで電車の利用はオススメしない。
ゆっくり車窓からの眺めを楽しみたいと言う人にはいいかもしれないが、スピードは動いているのか止まっているのか?というカタツムリ電車である。
中、長距離移動はバスの方が圧倒的に早い。
電車にはいろいろと種類があり、一等と二等では格差が激しく、乗っている人たちの階層も違う。
車体は砂埃で汚れており、寝台車などはお化け列車じゃないかとびくびくして乗り込むと、スチュワードが笑顔で出迎え、お酒の出ないバー・カーもありほっとする。
寝台車と言えば、去年経営陣が入れ替わり、スチュワードも気の良い中年から、イケ面にごっそり変わった。問題は態度が悪いこと。
革命の後、ツンと取り澄ましていたお兄ちゃんたち、どう変わったか?
革命直後、寝台車を利用する人がほんどいない中で、しゅんとしたスチュワードは、丸々としたチキンをディナーに持ってきて、チップも要求しなかった。
あのチキンはもう二度と寝台車で食べられないと思うと、いっそう懐かしくなる。
(通常は硬い肉が、プラスチックのナイフで切れずにイラっとすることもある)[a]