地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2009-10-04 00:00:00 | 日本語

 中秋を迎え、月の美しい季節がやってきた。奈良・京都に月の名所は多く、ライトアップされた塔と月の組み合わせなど考えるだけで雅である。最近は桜や月の時期に夜の拝観を行う寺があるそうで、遠くに住んでいるのが残念でならない。行ってみたい場所が多々ある中で一つを選ぶとすれば、夜間拝観が許されるのなら庭に「向月台」という盛砂がある銀閣寺の月夜を味わってみたい。

 慈照寺銀閣は京都の東山、哲学の道の最も北に位置する。室町時代中期、八代将軍である足利義政が造営。観音像を安置した銀閣(観音堂)と茶室・持仏堂がある東求堂は、一度も火災に遭わずに創建当時の姿をとどめている。義政は能、茶道・作庭・華道などをこよなく愛し、東山文化の礎を築いたといわれる。それは金閣に代表される貴族的・華麗な北山文化と対照的に、「侘び、寂び」の美意識に通じる文化だ。

 銀閣を背景に広がる白砂の庭園は、江戸時代の改修の際に作られたそう。中国の西湖を模したといわれる銀沙灘(写真の手前)と向月台(中央)からなり、他の寺院の枯山水庭園とは異なった存在感を示しながら美しく調和しているように思える。

 銀沙灘と向月台は、月の光を反射して銀閣を照らすと言われているようだが、その用途目的は明らかではない。小説家の阿部知二氏のように「相反している」と評する人がいる一方で、岡本太郎氏は「ユニーク、感動、芸術的」とべた褒めしているのは面白い。

 いずれにせよ白い銀沙灘と高く盛られた向月台が皓々たる名月の光を受けている様子は、明らかに昼間の銀閣とは異なった趣。まさに東山文化を象徴し、日本人の心に強く訴えかける幽玄の世界に違いない。(さ)

参考文献:『古美術読本 庭園』 竹西寛子 編

月も国によっていろいろ。月と関わりの深いラマダーン(断食月)・エジプト、モスクと月・イラン、国旗の由来・トルコ、月の女神・ギリシャ、和歌に詠まれた冬の月

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