詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

砂澤ビッキの本

2006年10月04日 | Weblog
トンボの影が
煙草の紫煙を横切っていった
まるであの頃みたいに
ずっと
信号待ちのぼくの真上を

トンボはまるで
故郷のイコンのステンドグラス
ビリビリと震えながら
活字みたいに飛んでいってしまったから
小脇に抱えていた
アイヌ人彫刻家ビッキさんの本の表紙を
しげしげと見つめる秋風のなか

「風の王ー砂澤ビッキの世界」という
青い表紙のやけに重たい本
たったひとり会いたかった君の
たったひとつの君の形見

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