「NHK古典芸能鑑賞会」は今回が初めて。チラシ画像にもあるように今回の演目は義太夫→狂言→歌舞伎舞踊→歌舞伎「寺子屋」という魅力的なものだったので迷わずにチケットGET。NHKホールも今回デビュー。これが紅白歌合戦の会場なのかと大きさに感じ入る。順番は逆だが、第2部から感想アップ。
【菅原伝授手習鑑 寺子屋】
寺子屋は二回目。初回の感想は以下の通り。
昨年の秀山祭「寺子屋」(幸四郎・吉右衛門共演)の感想はこちら
さて、團十郎が松王丸を十数年ぶりに演じるのが大きな話題だった今回の「寺子屋」、どうだったか。
今回の配役は以下の通り。
松王丸:團十郎 松王丸女房千代:魁春
武部源蔵:梅玉 源蔵女房戸浪:芝雀
春藤玄蕃:市蔵 延くり与太郎:男女蔵
小太郎:原口智照 菅秀才:玉太郎
園生の前:右之助
国立劇場の歌舞伎鑑賞教室でもそうだが、今回も舞台の上に電光掲示板があって字幕が出た。台詞の部分はなかったが、義太夫部分がきちんと字幕で読めるのでずいぶんとわかりやすい(歌舞伎座も建替えられたら字幕の装置を是非に入れて欲しいと思っている)。竹本喜太夫の大熱演も好ましかった。
梅玉の源蔵は口跡もよく、芝雀の戸浪との身替り首についてのやりとりもよかった。特に芝雀の顔の拵えがいつもよりも気丈な感じで小太郎を身替りにする時の苦悩を振り切る表情が一瞬鬼のようにも見え、忠義を貫くために慈悲心を捨てたのだなぁと痛感させられた。
子役のふたりは小太郎にベテラン子役の原口智照、菅秀才に御曹司の玉太郎。玉太郎は頑張っているのだろうがちょっと品が感じられない。逆にもできないのでまぁ仕方がない。
團十郎の松王丸はもう本当に登場から大きな存在感。役者絵のような顔を本当にするので見ていて気持ちがいい。
ただ、首実検のところはあんなに躊躇するのは常の型なのだろうか。あれでは春藤玄蕃がじれるというよりも疑いを抱きそうな感じがした。春藤玄蕃が首桶を開けて松王丸につきつける。吉右衛門の時はどうだったかなぁ。よく覚えていない。プログラムにあった写真では團十郎の松王丸の前に春藤玄蕃が首桶を差し出しているので、少なくとも團十郎は前もそのように演じたのだろう。刀を抜いて(当初「持って」と書いていたのを訂正m(_ _)m)源蔵につきつけるのも市川家の型らしい。長く観ていくうちにそういうのもわかってくるのだろう。
(追記)「松王丸の<刀抜き>の首実検」ということで梅之さんのブログに記事があったのでご紹介しておきたい↑。
ピンチをしのいだ源蔵夫婦のところに小太郎の母が迎えにきて源蔵に挨拶。小太郎をさがすので源蔵は母ももろともにと斬りつけるが、そこで小太郎の母の覚悟を知り、松王丸も再登場。
やはり一度目の観劇よりもそれ以降の嘆きの場面は深く味わえた。そして團十郎の松王丸の嘆きの表情の変化が大きいのがいい。魁春が抑え目なのもバランスがいい。
初回は義太夫の「いろは送り」も聞き取れなかったので、詞章のよさも味わえなかった。字幕でしっかり確認し、役者の芝居とからむのを楽しめた。やはり丸本物は義太夫がしっかりわかると味わいが深くなる。白装束になって野辺の送りに出る松王丸夫婦と見送る源蔵夫婦と主の母子。絵面に決まっての終幕もせつなく美しく決まって、満足に観終わった。
園生の前が右之助だった。今年の秀山祭の「身替座禅」の小枝の若々しさに驚かされたので、今回が園生の前でも違和感全くなし。さすがのベテラン芸だ。男女蔵の延くり与太郎と山崎権一の父という組み合わせも楽しかった。
幕間には六条亭さんともお会いできた。終演後はyukariさんとさちぎくさんと3人で東武ホテルのレストランで御飯を食べながらおしゃべり。さちぎくさんのブログで「海老蔵が着る寺子屋・松王丸の着付け羽織を作っている」という情報が載ったこともあり、いつ着て舞台に立つことになるのかなぁという話題も出た。ベテランの舞台、若手の舞台、両方とも楽しめるのはつくづく幸せなことだと思う。
【第1部「芸競四季粧」】の感想はこちら
内容的には、全体に去年より良かったと思います。團十郎の松王いつみたか記憶にないけど、久々の上演だったのですね。
成田屋は大きい、存在感あり、細かい点はともかくも、三つ子の松の位取りを感じ、悲しい運命を背負った男の悲劇をよく演じていたと思います。
一部のことは又後程に…
昨晩は観劇後の楽しいおしゃべりの時間を有難うございましたm(_ _)m
おふたりの御園座の感想が全く違っていたのも面白かったです。私の菊派、海老派のイメージはあたっていなかったでしょうか(笑)
>成田屋は大きい、存在感あり......病気復活後の舞台はなんかいつも有難いような存在感を感じてしまいます。命をかけている感じがします。「一舞台入魂」でしょうか。
第1部も先ほどアップしました。お目通しいただけると嬉しいです(^O^)/