06/11/08 ジュリーVS樹里の『幸福のスイッチ』

私は沢田研二もカラオケレパートリーにしている。最近のカラオケでは必ず2~3曲は歌っている。「勝手にしやがれ」「ダーリング」「憎みきれないろくでなし」.....。最近は役者として活躍されている。NHKのドラマ『マチベン』の弁護士役がよかった。
もう一人の“ジュリー”上野樹里は『スウィングガールズ』で気に入っている。その時の感想はこちら
そういう私がはずせない映画『幸福のスイッチ』。レディースデイの水曜日、仕事帰りにテアトル新宿で観てきた。このグループの映画館は水曜日は男女共に1000円で観ることができる。これはいいことだ。

「小さな町の電器屋さんを舞台に頑固な父親と三人姉妹の心温まる家族の絆を描く感動の物語」だという。監督・脚本はこれが劇場用映画デビューとなった安田真奈。家電メーカーに10数年勤めたのを辞めて映画をつくった。実際に町の電器屋さんの取材を重ね、短期間ではあるが一緒に働かせてもらいながら脚本を何度も書き直して練り上げたという。
公式サイトよりのあらすじ引用。
「家業しか頭にない頑固な父親に反発し都会に出ていた主人公・稲田怜は、父親の骨折をきっかけに家業を手伝う家業を手伝うことに。
嫌々ながらも慣れない家業を手伝ううちに、父の仕事や人柄が地元に人々に深く愛されていることを知り、忘れていた家族の絆や愛情の深さに気づいていく。」
少し補筆。
冒頭から和歌山県田辺市の美しい自然とその中で暮らす人々が映し出される。その人々に役立つ電器屋として一生懸命働いているのが稲田電器=イナデンの主人で主人公の父(沢田研二)。お客さんにつくして家族はどうでもいいと思っているというのが怜(上野樹里)の父への評価だ。その父の仕事中毒のせいで母の癌の発見が遅れて母は長生きできなかったのだと怨んでいる。
母代わりをつとめてきた長女の瞳(本上まなみ)は妊娠8ヶ月。みかん農家に嫁ぎながら実家を手伝っている。三女の香(中村静香)は機械いじりが好きで工業高校に通っている。玲は東京でイラストレーターをしているのだが、上司と衝突して退職。困窮の最中に妹から家業の手伝いを頼む手紙。姉が絶対安静だというのでかけつけてみると父が骨折入院していた。本当のことを知らせると玲が戻ってこないからという妹の計略。
仕事中毒だけでなく、玲は高校時代から父の浮気疑惑をもったままにしていた。その相手の女性が病院に見舞いにきて、姉妹三人に疑惑が共有化される。結局は一線を越えてはいない仲のようだが、母亡き後でお互いを憎からずは思っている感じ。
さあ、ここからどんな感じになっていくの.....。
他の出演:林剛史、笠原秀幸、石坂ちなみ、新屋英子、深浦加奈子、芦屋小雁、他

上野樹里のぶすくれた顔が最高。「ぶすくれる」って標準語なのかな。不機嫌な顔すると言われたものだが。可愛い子はぶすくれても可愛いんだけど(^^ゞ演技も素直で自然だし、人気が出るのがよくわかる。
沢田研二はテンションを上げたところの台詞回しがまだまだ硬い。同じザ・タイガースにいた岸部一徳の方がその辺のメリハリは巧い。けれど、さすがの存在感が◎。そして浮いた話がちゃんと盛り込まれていて、この人ならありそうっていう感じがしていい。仕事バカが可愛いタイプ。
本上まなみは先日の「トップランナー」でやっと顔と名前が一致したところだったけれど、ほんわかムードのいいお姉さんだった。私も三人姉妹の長女だけれど全く違うタイプ。こんな姉なら妹もさぞよかったと思うだろうな。中村静香はオーディションで選ばれたらしいが、可愛がられてのびのび育った末っ子という感じがいい。

キャストは全員関西出身者でそろえたというだけあって、関西弁が自然。田辺弁的なところをきちんと特訓して撮影にのぞんでいる。田辺弁はやさしい。まさに冒頭に映し出された暖かな気候の中でゆったりと生きている人々の言葉だ。ジャズシンガーの織戸智絵もちょい役で出ているのが嬉しい。彼女の関西弁や表情は明るくて大好きだし。

監督は「社会の事件」よりも「個人の事件」を描きたいとパンフレットで語っている。確かにこういう身の回りの感情のもつれがとけていって皆が幸せを感じることができるような過程を丁寧に描く世界があってもいい。またそれを楽しめるということも大事なんだと最近ようやく思うようになってきた。

現実の自分の周りはなかなかうまくいかないことが多いのだけれど。最近こういう癒し系の作品を観たいと思ってしまう傾向が強いようだ。
脱サラしてでもやりたいことを貫く女性監督を応援したい。

写真はテアトル新宿の公式サイトよりの画像。
追記
以前、実家の近くに住んでいた頃は、商店街の奥の方にある電器屋さんをけっこう贔屓にしていた。いろいろ相談に乗ってくれるし、修理にもすぐに来てもらえるし、TVの修理の時は代替のTVを持ってきてくれたなぁ。今の町ではそういうところをまだ見つけていない。
こういう町の電器屋さんネットワークがあってこそ最近の石油ファンヒーターの欠陥品の回収も、かなりのきめ細やかさですすんだという。その点検訪問で信頼されて新製品が売れたりして売り上げが上がったのだという。それに比べるとガス湯沸かし器の方の会社はそういうネットワークができていないんだろうなぁ。
コメント ( 10 ) | Trackback ( 8 )


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コメント
 
 
 
好感の持てる佳作 (butler)
2006-11-10 11:04:25
>ぴかちゅうさん、

地味だけど丁寧な作りの良い作品でしたね。
派手な映画ばかりじゃつまらないですから
こういう映画も貴重です。

TB&コメントに感謝!
 
 
 
皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-11-11 03:57:59

★butlerさま
この作品、チラシもしっかりファイルしてあってチェックしていたのです。最近少しフットワーク重めだったのですが、butlerさんの記事を読んではずみをつけて観に行ってきました。
女性監督らしいキメの細やかさがなかなかよかったですね。キャスト的にも二人のジュリー、両方好きなんで満足できたし(^^ゞ
そして沢田研二は舞台の芝居が観たい。来年4月の藤山直美と共演の舞台『桂春団治』も観にいくつもりです。
★「長江将史~てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ」さま
>女性監督がやりたいのはこういう日常を描くことなんかな??女性はこんなん好きなんかな??とことん女性の気持ちがわからない、てれすどん2号でした(笑)
私も女性監督ならではのキメ細かさとか書きましたが、上記のように書かれるとちょっとなぁと思います。女性って一般論で言わないでくださいませ。安田真奈監督がパンフレットの中で「社会の事件」よりも「個人の事件」を描きたいと語っていました。そういうテーマで最後に希望を持たせて丁寧に描く監督がいてもいいと思うし、私はそういう作品をけっこう求めています。日々の生活に苦しい思いをしていると救いのない映画は観たくないんです。
日常もこれってあるかもっていう描き方とこれはないだろうという描き方があるけれど、この作品は前者だと思いました。
まあ、生きていくことを続けていくとものの見方って変わっていくと思いますよ。
 
 
 
ありがとう、ぴかちゅうさん (お姐)
2006-11-11 22:34:32
ぶしつけながら、トラックバックはらせていただきました。

この映画は「怜」がいかに甘えているか、そこがきちんと描かれているかどうかで決まると思いました。
テレビドラマなどを見ていてスッキリしないのは、登場人物も作り手も甘えている主人公に最後まで突っ込みを入れずに、ぐずぐずのまま終わってしまう場合。
怜は、親にも社会にも彼氏にも甘えていますが、作り手や登場人物がそのことをきっちりわはまえていました。
だから、すっきりします。

甘いのと優しいのは違う。
安田作品は一見、甘そうに見えて甘くない。そう思います。

ぴかちゅうさんの反論(?)を読んで、すっきりしました。ありがとう!!
 
 
 
続・皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-11-12 00:09:23
★「CHEAP THRILL」さま
>安田真奈監督はなかなかである.....私もそう思います。大学時代から映画を撮って、働きながらも撮り続け、脱サラして劇場映画を撮るって根性入ってますよね。私も応援していくつもりです。
★「仮眠室」のお姐さま
こちらこそ有難うございますm(_ _)mご指摘の通りです。
前半、主人公のすねまくった態度にイライラさせられるところから、いろいろな出来事を通して姉妹や地域の人たちとのやりとりの中から主人公の生き方が変わり始めたのだと確認でき、その過程が丁寧にドラマにされていたのが貴重だと思うのです。前半のイライラとの対比がよかったんです。
そのあたりをどう受けとめるのか、人によって違うのかもしれません。ある方のブログのコメント欄で「長く生きれば」と書いたのは言葉足らずでした。日々の家族や職場の同僚などの周囲との葛藤をどう解決していくかということで悩んだ経験の多寡によるんだろうと思います。甘えた存在にイライラしても切り捨てたり割り切ったりできない場合は変わってもらうしかないです。甘えた主人公でも大事に思っている周囲がつつみこみながらも(甘えるなって叱責するだけではダメな人間もいますから)、きちんとそれを指摘した(=それこそ本当の優しさ!)ことで変わっていくことができる!それが羨ましいし、自分にもそれが可能になるかもと思える作品だったことが嬉しかったのです。癒しだけではありません。もっと前に一歩を踏み出すための励ましのような感じです。
こういう作品が生まれたことで日本映画も捨てたものじゃないって思えました。
映画関係書籍でいろいろ書いていらっしゃるんですね。お姐さまの視点でバリバリ書いていただき、これからも一層ご活躍されますことを祈念しております。
 
 
 
お久しぶりです (くーみん)
2006-11-16 18:45:14
お久しぶりです。
樹里ちゃんのことが話題になっているので、のぞいてみました(コメント入れなくても、ロムはしっかりしていますよ~^^)。
「スイングガールズ」は見ましたが、関口役の女のこの方が好きで、樹里ちゃんは別に~みたいな感じでしたが、今回「のだめ」で見直しましたよ=
すごい勉強しているし、努力していますね。
漫画ののだめの雰囲気しっかりつかんでいるし。
感動,感心でした。


週刊誌情報では、「生意気なので、記者仲間ではこけると言いといわれていた」なんてあって、頭きましたよ。
「生意気」って言うのは、自分がしっかりあって、マスコミにこびない、意見が違うと思うと監督ともぶつかるってことらしいですから。
監督ともぶつかれるのは、自分が勉強して役を作り上げているからでしょう。

今後が楽しみな「女優」さんです!
 
 
 
★くーみん様 (ぴかちゅう)
2006-11-16 21:07:48

こちらではお久しぶりです。樹里ちゃんに反応していただき有難うございますm(_ _)m
ここでタイトルの樹里の字が樹理になっていることに気づいて本文の一部ともども訂正入れさせていただきました。くーみんさんのコメントのおかげであります。感謝!
関口役の女の子=本仮屋ユイカちゃんですね。NHKの朝ドラ『ファイト!』で主演しましたが、残念ながら視聴率とれませんでしたね。確かにいい感じなんだけど、主役の柄じゃなかったもしれません。その最終回の感想を以下に書いてありますから、よろしければお目通しくださいませ。
http://blog.goo.ne.jp/pika1214/d/20051002
『のだめカンタービレ』が話題になってるのですが、時間帯があわなくて2、3回それもちょっとずつしか目に入ってきていないので、「のだめ」の由来も知らない状態。さきほど公式サイトで見てきて樹里ちゃん演じる役が野田という名なのでそれから来ているのかな~というあたりをつけたレベルです。
指揮者をやっている玉木宏はけっこう好きなタイプなんですけれど、あの竹中直人が変な外国人をやっている場面を見ては引いてしまってます。オーケストラに興味がないのが致命的かもしれませんね(^^ゞ
そういいながら漫画を読んだら一気にハマってしまうのかもしれません。
今年は上野樹里主演映画の封切りが目白押しらしいですし、私も面白そうな映画はなるべく観ていくつもりです。
ああ、昨日観たジョン・マルコビッチ主演の『クリムト』も感想書くつもりですが、......状態なのでした(笑)
またお気軽にコメントくださいませ~(^O^)/

 
 
 
★「ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!」のyoyuponさま (ぴかちゅう)
2006-11-27 21:57:28

TB有難うございます。早速TB返しさせていただきましたm(_ _)m
現実の自分の周りはなかなかうまくいかないことが多いので、最近こういう元気をもらえる作品を観たいと思ってしまう傾向が強いようです。
>安田真奈監督、上野樹里主演映画「幸福のスイッチ(しあわせのスイッチ)」を応援してます!
とブログのサブタイトルにつけて応援されているんですね。私も脱サラしてでもやりたいことを貫く女性監督を応援したいです。
今後もよろしくお願いします(^O^)/
 
 
 
スイッチ・オン! (TATSUYA)
2006-12-03 00:18:29
達也です。
『幸福のスイッチ』いい映画でした。
父が田辺出身なので、
方言やロケーションがとっても懐かしかったです。
上野樹里ちゃんの映画は3本ほど連続で
観たのですが、この映画の彼女はとっても
自然体でいい感じです。
小説では高校時代を描いている様なので、
ぜひとも『高校時代』の続編を観たいものです。

P.S トラバさせてくださいね。
 
 
 
続続・皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-12-03 20:22:40
★「明日へのヒント by シキシマ博士」様
『フラガール』へのTB・コメントも有難うございましたm(_ _)m
>この作品、上映館は少ないものの評判が良いですね.....本当にもったいないです。少しずつ実績をつけてメジャー公開になっていくものなのでしょうけれど、これからも安田真奈監督を応援したいです。
★「シネマコンプレックス」のTATSUYA様
私は『スウィングガールズ』しか上野樹里ちゃんの映画を観ていないのですが、とてもイキイキしていてよかったです。TVでは今『のだめカンタービレ』の主演で人気沸騰のようですね。私はチラチラしか観ていないのですが本当にいろいろな役を自然に演じてくれているようなので、これからも楽しみです。
 
 
 
yahooにもありがとうございます! (hitomi)
2008-01-09 23:10:01
「幸福のスイッチ」途中まで観ました。別人のような樹里ちゃん、上手いですねえ。あんなによくできたお姉ちゃんがいるかなと感心してしまいます。
扇田昭彦さんはジュリーのミュージカルを絶賛しますが。「100万回生きた猫」や藤原義江を演じた頃はまだスマートだったけど。

岸辺さんは受賞させて欲しいです。

映画「ウォーターボーイズ」は映画舘で観てとても楽しめました。「スウィングガールズ」は録画したのに未見です。
 
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