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平家物語の人物について<滝口入道と横笛>

2005年12月09日 | 平家物語-一般

前置きでお話ししましたストーリーを前提に滝口入道と横笛ゆかりのお寺「滝口寺」についてお話しします。

京都,嵯峨にひっそりとたたずむ滝口寺。
なんとなくお隣の祇王寺の人気に押され気味のこの小寺ですが,ワタシ的にはこの2つの寺は同じくらい思い入れがあるところです。

滝口寺はもともと三宝寺といい,隣の祇王寺とともに往生院という寺院の一部です。
往生院自体は,高野聖として知られている滝口入道横笛をいう女性の悲恋の舞台として平家物語にも描かれております。

祇王の話よりもあまり知名度のないと思われるこの話も,明治期の文豪高山樗牛の小説「滝口入道」に紹介されて以降,一般にも知られるようになったとも言われています。

余談ですが,この高山樗牛は,今から約120年前,我が母校,福島県立安積高校が未だ旧制中学校だったころの卒業生であり,あまりOBに有名人のいないウチの高校においては伝説的存在です

私が滝口寺を訪れたときは,初秋でしたが残暑が厳しい日でした。
そのとき,ちょうど本堂の中で,地元のボランティアさんが,滝口と横笛のご講話を始めようとしていたところで,せっかくなのでワタシもその場にいた観光客の方々といっしょに聞かせていただきました。
涼しげな本堂内にいて,京言葉で語られる横笛のストーリーに,思わず暑さを忘れて聞き入っていました
上の写真の木像は,本堂内に安置されている滝口入道と横笛の木像で,鎌倉時代後期の作と伝えられているとのこと。

さて,滝口入道こと斎藤時頼の家は,名宰相として名高い小松宰相平重盛に仕える家系でした。
重盛亡き後,平家の嫡流を継いだのは,三位中将平維盛でしたが,彼はなにげに戦が下手なのか,富士川の戦いでは水鳥の羽音に驚き戦わずして全軍撤退,倶利伽羅峠の戦いでは義仲の奇策とはいえ通常では考えられないような包囲をされほぼ全滅状態,という不名誉を背負い続け,一ノ谷で平家が破れた段階で維盛は,もはや生きていてもしょうがないと思うようになります。

世を憂えた維盛は屋島の平家の陣を抜け出して死ぬための善知識を求めに高野に入りますが,そこで維盛は高野聖となった斎藤時頼に再会し,時頼に導かれた維盛は,入水し大往生をとげることになります。

そんな高僧とまでなった時頼の心を支えていたのは,自らが愛した女性・横笛の存在でした。
親の反対にも遭い,かといって駆け落ちなどしようものなら主である小松殿への面目も立たない八方塞がりの状態で,結局時頼は,全てを捨て,仏門に入る道を選びました。
もはや俗世では一緒になれない時頼と横笛…
横笛も最終的には,時頼の後を追って出家することになりますが,横笛は早々に亡くなってしまいます。
仏に帰依したとはいえ,常に横笛の心にあったのは時頼の姿だったに違いありません。
死をもって横笛の精神は,時頼のもとへ届き,精神世界でようやく一つになれた時頼と横笛。
「高野聖」という伝説的存在は,その二人の心が融合した,究極の愛の具現なのかもしれませんね



前回の特集,「小督」についてはこちらから


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6 コメント

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こんばんは (ひろき)
2005-12-10 01:30:08
ぴえる様の解説はわかりやすいですね。

学生の頃授業で習ったはずなのに、あまり理解できなかった平家物語ですが、「なるほど、こういうお話か~」とすんなり頭に入ってきました。

平家物語は悲恋が殆んどですね。

清盛入道、ホントは悪い人じゃないってわかってるけど、極悪人に思えますね(笑)
まだ暑い頃でしたよね。 (蒼葉月)
2005-12-10 08:52:53
ぴえるさん、おはようございます。

いただいたトラックバックを頼りに伺いました。

嵯峨野はよく歩くところなんですが、

ぴえるさんが祇王寺や滝口寺へ行かれたこの時期に

ちょうど私も行っていたんでしたよね。

ついこの間のことなのに、ちょっと懐かしい気分でした。

まろみちゃんの写真も見せていただけるのかなぁ、と

わくわくしてます(笑)
>ひろきさま (ぴえる)
2005-12-10 14:15:40
コメントありがとうございました!

平家物語はほんとに悲話やら悲恋やらが多いです。

それでこそ読む人の心を数百年もの間打ち続けた何かがあるのかもしれませんね
>蒼葉月さま (ぴえる)
2005-12-10 14:22:03
朝早くからお渡りいただきありがとうございます♪

嵯峨ネタを出し渋っていたら,いつのまにか冬になってしまっていました…

実は既に祇王ネタも3部作でとっくにできているのですが,季節的に秋物処分を先行させてしまいました(笑)

アップしたらまたTBさせてくださいね
RE:平家物語 (matsumo)
2005-12-11 09:39:35
ぴえるさん、こんにちわ



平家物語ですか、私は平家物語は高校だったかで習っただけで、それ以外、まじめに読んだ記憶はありません。一方、源氏物語は好きだったので、現代語訳を3種類位と原文で読んでいます。今も、いつも持参しているPDA「HP-200LX」にインターネット上で見つけた原文が入っています。



さて、源氏物語は架空のものですから、京都でもあるのは紫式部がどうのこうのと言う場所くらいですが、平家物語の方は、大原を初め、関係する場所が結構ありますね。



そう言えば、「清閑寺」は行ったことがありますが、あまり写真的ではないことを思い出しました。
>matsumoさま (ぴえる)
2005-12-11 13:03:16
コメントありがとうございます。

実は私は古典も何も,授業で習ったこと以外はほとんど読んだことがありませんでした…

「平家」の古典を読むようになったのはつい最近,吉川英治氏の「新平家物語」を完読してからです。

いざ古典を紐解いてみると,現代でも通用する人間の描写がその当時からなされていたことに驚かされるばかりでした

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