果報は寝て待て!

浮世は疲れることばかり…
いそがず,あせらず,のんびりいきましょう。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

平家物語の人物について<祇王と仏②>

2005年12月22日 | 平家物語-一般



(前回からのつづき)

仏御前の出現により,これまで賜っていた月あたり百石,百貫の報酬は停止され,ついには清盛の館を追い出されてしまった祇王たち。

もはや清盛には関わるまいと思っていた祇王でしたが,あるとき清盛から,仏が退屈しているので,来て舞を披露せよとの命が下ります。
本当は行きたくないところですが,これを断り,自分はおろか,年を経た母にまで危害が及ぶことを憂えた祇王は,再び妹祇女とともに西八条の清盛邸へ出向いていきました。
もはや過去のような特別な扱いはされず,控えの間すら差別され,そのあまりの仕打ちに,仏も哀れみ,なんとか清盛に昔のように接するよう頼み込みますが,聞き入れられませんでした。
それはまさに,今の愛人のために,臨時で適当な白拍子を呼びつけ,ただ舞うだけ舞わせて帰させるという,過去に寵愛を受けた祇王にとっては屈辱的なものでした。
このような屈辱が今後繰り返されるくらいならば,いっそ自害して果てようとも考えた祇王でしたが,母刀自の説得により自害は思いとどまり,出家の道を選ぶことになりました。
そうして母子3人入った寺が嵯峨の往生院の尼寺(後の祇王寺)でした。

旧祇王寺は明治の廃仏毀釈により廃寺となりましたが,後に祇王の話に打たれた元京都府知事北垣国道氏が,自ら所有していた別荘を明治28年に寄付し,これが現在の祇王寺となったとのことです。

祇王寺の建物の中はそんなに大きくはありませんが,内部には鎌倉期に作られたとされる祇王,祇女,刀自,仏御前,そしてなぜか清盛の木像が安置されてありました。
旧祇王寺が廃されるときに,これらの木像は大覚寺によって保管され,滅失の危機を免れました。
祇王を愛する人々の心が木像を守り抜いたんでしょうね。

また,この建物の中には,CMでも使われたという有名な丸窓があります。
これらの写真も撮りたかったのですが,内部は撮影禁止だったためあきらめました

しかし,何よりも私の気を引いたのは,祇王寺の縁側に寝ころんでいた大きな白猫でした。



ずいぶん人慣れしているのか,近づいても全く動じることのないネコちゃん。
毛繕いに夢中で,「ほら~,こっちむけ~」と言っても無視されまくり…
結局こんな格好の姿しか写せず,うーん,ネコのくせに態度がでかいな~と思って内心むかついていましたが,後日,祇王寺の記事を載せられていた蒼葉月さんのブログ(「ゆるり,蒼葉月」)にコメントさせていただいた折,このネコちゃんが「まろみちゃん」というお名前を持つ,あまりお目にかかれないネコちゃんであることを教えていただき,逆にこのお姿を写真に収めることができただけでも幸いであったのかも,と思うようになりました
ちなみに,上記蒼葉月さんのブログでは,祇王寺の美しい風景写真もご覧になれますので,ぜひお立ち寄り下さい

さて,話を祇王に戻します。
平家物語巻一「祇王」の段は次のように閉められます。

(祇王,祇女,刀自,仏の四人は)四人一所にこもりゐて,あさゆう仏前に花香をそなへ,余念なくねがひければ,遅速こそありけれ,四人あまども,皆往生の素懐をとげけるとぞ聞こえし。されば後白河の法皇の長講堂の過去帳にも,「祇王・祇女・仏・とぢらが尊霊」と,四人一所に入れられけり。あはれなりし事どもなり。」

これを読むと,祇王ら四人は皆この地で大往生を遂げたように読めます。
今回,冒頭に,祇王寺境内にある祇王らの墓の写真を貼付させていただいておりますが,この写真に写っている説明板には「右 清盛公供養塔 左 祇王祇女母刀自の墓」とあります。
これを見てふと疑問を感じた方はいないでしょうか。

そう,なぜここに仏御前の名前がないのでしょう?

私が気が付かなかっただけかもしれませんが,この地には,仏御前の墓と称される碑は見つかりませんでした。
この説明板の説明は,真実に基づくものか,それとも後世の人が勝手にそう語っていただけなのか,定かではありませんが,この祇王の一連の話は,仏が祇王らのあとを追って尼になり,皆同所で往生の素懐を遂げるところに悲しくも美しく,人の心を打つものがあると思われるところ,あえて後世の人たちが仏御前だけを無き者として祇王一家だけを祀ることは考えにくく,さらに寺内の木像は仏御前のものもちゃんと存在していることから,実のところ,仏はこの地では亡くなっていなかったため,この地に仏御前の墓と称されるものが存在しないのでは,との憶測が出てきます。

そして次回,このような見解に立った上で,加賀の地に伝わる仏御前の悲しい伝承についてコメントしていきたいと思います。


コメント (2)   この記事についてブログを書く
« 平家物語の人物について<祇... | トップ | クリスマス前に疲れ果て… »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
祇王寺 (あだちのねずみ)
2005-12-23 14:40:48
せんせいこんにちは



久遠の絆というゲームで主人公とヒロインが祇王寺に行く場面があります。それで、翌週京都へ私もいきました。



せんせいはご存知ですか
>あだちのねずみさま (ぴえる)
2005-12-25 00:31:06
こんばんは。

さすがあだちのねずみさん!

しっかりと場所を押さえていますね(笑)

しかも,翌週行ってしまうのがすごい…

平家物語-一般」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事