はぎおの「ツボ」note

興味がかなり偏ったはぎおが「ツボ」にはまったことを、のんびりと、時に激しく?!思いつくまま綴ってます…

貫禄とユーモアと 。中村吉右衛門さん・・・

2021-12-06 08:21:55 | 気になる:人

吉右衛門さんが亡くなった。
訃報を聞いてから、6日が経つ。
それでも、大きな喪失感がぬぐえない・・・
(思いつくまま綴るので、かなり長くなりそうです。。)

 

私は、本業の歌舞伎の舞台姿はほとんど見たことがありません。お恥ずかしい💦
東京の旧歌舞伎座で・・・と思っていたら、拝見したのは2004年、巡業公演でした。(記憶っていい加減

’04~’05 観劇記録

演目は 「双蝶々曲輪日記~引窓~」など。今思えば、本当に貴重な体験でした。
すでに、「鬼平」で人気を集めていた吉右衛門さんですが、歌舞伎人気は当時下火だったのか、敷居が高かったのか、地方のホールの客席はガラガラ・・・あれだけの大看板に来ていただいて、一観客ながら、大変申し訳ない気持ちでいっぱいになったことを思い出しました。

 

私には、映像、特に時代劇のお姿が印象強く。
ただ、最初の記憶は、「鬼平」・・・ではなく、NHKの

「武蔵坊弁慶」

だったなぁと。
お兄様の(当時)市川染五郎さんは、大河ドラマなどでよく拝見していたのですが、中村吉右衛門という名前を認識したのはこのドラマだっだかと。
そして、牛若丸→義経のストーリーと、「弁慶の仁王立ち」などの印象的なシーンは、このドラマで初めて見た気がします。あの当時から貫禄と力強さ、そしてユーモアがあって、「弁慶のイメージ」を印象付けられた気がします。
そういえば、「80歳で『勧進帳』を演じるのが夢」と語られていました。一度、勧進帳の弁慶を拝見したかったな。

 

そして、忘れてはいけない、

「鬼平犯科帳」

これに関しては、ブログ初期の頃から何度も、何度も記事にしていました。

2006年その1  2006年その2  

2012年  2015年その1 2015年その2

2021年


娯楽時代劇、特に「大岡越前」(こちらも何度も書いてますが)の影響を大いに受けて育った私。
人生の裏表を知っている長谷川平蔵という人物、人情の機微、そして単純な善悪ではないドラマ。この「大人の時代劇」を初回に見たとき、多感な時期だった私はとても衝撃を受けたものです。

 

再放送で何度も見ているはず。
昨日、追悼番組として、初回を含めた5作品を放送されていましたが、30年以上経った今見ても、色あせない作品。そして、吉右衛門さんの表情、仕草(佇まい全て素敵ですが、煙管を持つ時の手、刀を収める時の一連の流れが特に美しい)、語り口・・・一挙手一投足見逃すまいと、今までより食い入るように見入っていました。


ご本人は、「鬼平と真逆の性格」とおっしゃっていたようですが、ユーモアと重厚さ、優しさと厳しさ、艶っぽさと子供っぽさ・・・トーク番組などで拝見した限り、ご本人の素顔と重ねて見てしまっていました。

 

吉右衛門さんの作品をきっかけに、初代松本白鸚さん、丹波さん、錦之助さん・・・すべてのシリーズを拝見しました。それぞれの個性の違いもありますが、「鬼平ワールド」にすっかりはまっていました。「文芸時代劇」の世界に導いていただいた、そんな感じかも。





他にも、若かりし頃の「切り捨て御免」、王道の「忠臣蔵」・・・
映像の吉右衛門さんにすっかり魅了されていました。

そういえば、どの役も「頼りがいのある強いリーダー」ですね。そういう役がお似合いでした。



先ほども書きましたが、お芝居はもちろん、トーク番組での優しい笑顔とユーモアあふれた語り口がとても好きでした。本当におしゃべりが上手な方でしたね。
「吉右衛門」という名前を受け継ぎ、長年重圧に押しつぶされそうになっていたこと、フランス文学やジャズに傾倒したという青年時代のお話、ディズニーとプーさんが大好きという一面、病気と闘い続けた晩年・・・古典芸能の継承者として、歌舞伎に対してはご自分にも人にも厳しい反面、飾らないお人柄で、あくまでもテレビの印象ですが、(陳腐な表現ですけど)1人の人間として、とても好きな方でした。

 

渋いお声と、貫禄のお芝居と、知的でユーモアのあるお話と・・・
あのお姿が見られなくなったのは、本当に寂しいです。残念です。
せめて映像でのお姿を拝見しながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。
そして、心血を注ぎ続けた「歌舞伎界」、古典歌舞伎がこれから先も継承されることを願って。


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2 コメント

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Unknown (かしまし娘)
2021-12-10 10:32:25
はぎお様
心の中にポッカリと大きな穴が空いてしまいました…。

「引窓」をご覧になっていらっしゃったのですね!!
演目が渋いわぁああ。
吉右衛門は、箱根の関所を超えて広島まで巡業に出ていたのですね。
大御所ではありますが、歌舞伎ファンではない人達の認知度はあまり高くはなかったかと…。
「鬼平」と結びついていない人は、私の周りにもいましたし、
知ってはいても歌舞伎は興味が無いという人もいましたし…。

改めて考えると、テレビの時代劇も素晴らしい作品がワンサカありますね!
落ち着いたら「鬼平」を観たいと思います。

本日NHKEテレ「にっぽんの芸能」21時~で、
忠臣蔵の歌舞伎外伝「忠臣蔵スピンオフ」を特集。
この中で吉右衛門の「松浦の太鼓」を観れます♪
私も大好きな演目です。
お時間があれば、短い時間ですが歌舞伎の吉右衛門もご堪能下さいませ。
再放送は13日(月)午後0時~です。
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Unknown (はぎお)
2021-12-10 23:45:26
>かしまし娘さん
コメントありがとうございます。
まだ、信じられないし、ますます寂しさが募ってきます。

てっきり歌舞伎座で見た、と思ってましたが、思い出しました、巡業!
口上もありましたし、本当に今考えても貴重な体験でしたが、あまりの空席に気が散った記憶も💦もっとしっかり見ておけば良かった😅
今では巡業でも満席、完売もよくありますが、当時はまだまだ「歌舞伎は難しい」という意識が強かったのかも。勿体ない話です…

「鬼平」はどこか陰影のある雰囲気と、吉右衛門さんはもちろん、全てのキャスティングが絶妙で好きなんですよね。
気持ちの整理が着いたらまたあの勇姿、世界観に浸れるといいですね。

時代劇の「忠臣蔵」も素敵でした。
「にっぽんの芸能」間に合わなかったので、再放送で堪能したいと思います。

仕方のないことですが、これからは映像でお姿を拝見していきたいと思います。
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