はぎおの「ツボ」note

興味がかなり偏ったはぎおが「ツボ」にはまったことを、のんびりと、時に激しく?!思いつくまま綴ってます…

映画 「会社物語 MEMORIES OF YOU」

2017-09-16 16:38:57 | 記録:映画

昨今、なぜか、植木等さん・クレイジーキャッツがクローズアップされ、BSで3時間の特集番組が組まれ、NHKでも

「植木等とのぼせもん」

なる、弟子の小松政夫さん原案のドラマが放送中です。  

 

メンバーはなんとなく覚えている程度で、コメディアンか役者さんだとずっと思っていました。

が、実は、ジャズミュージシャンだったんですよね。
現役時代の演奏の様子を見ましたが、感動するほど個々のレベルが高くて、鳥肌立ちました。
進駐軍のキャンプを回って演奏活動を重ねていくうち、真面目なだけの演奏から、少しずつエンタテインメント性を入れていって、それが受けたのだとか。
植木さんは歌の印象が強かったけれど、ギター奏者だったんですねぇ・・・

そんなこんなで、大人気のグループに。

 

クレイジーキャッツは、どうしても植木さんが目立った印象がありますが、実は、リーダーのハナさんもまた、役者さんとして、それこそ「華」があった印象です。

 

そのハナさんを主人公に、解散していないメンバーが何十年かぶりに揃って出演した映画が

「会社物語 MEMORIES OF YOU」 

制作されたことは記憶にあったのですが、今回初めて見ることができました。
ある意味衝撃的な作品でした・・・

ストーリーはこちら↓(ネタバレです)

花岡始は57歳。東京の商事会社で34年間真面目にコツコツと働き続けた万年課長だが、間もなく定年を迎えようとしていた。いまや仕事もさほど忙しくなく、若い部下達もあまり相手にしてくれない。家に帰れば家族間のトラブルがまたストレスの種。そんな花岡にとって唯一の心の安らぎは、愛らしく気立てのよい新入社員の由美だけだった。彼女は若いエリートの恋人がいたが、わざわざ花岡のために二人だけの送別会を開いてくれた。退職が近づいたある日、同僚がジャズ・バンド結成の話を持ってきた。若い頃に情熱を傾けたジャズで有志を集めて、コンサートをやろうというのだ。犬山、安井、桜田、谷山、上木原とメンバーも揃い、花岡は練習に精を出して再び生活に張り合いを取り戻した。そして12月25日にコンサートが始まったが、その時花岡の家では...(「映画.COM」より抜粋)

 

正直、もっと華やかな映画だと思ってました。
だって「無責任男」を演じてた方たちだったから
監督は、早世された市川準さん。CMディレクターとして有名な方でしたよね。
CMから来られただけあってか、作品全体が、セリフが少なく、どことなくポエジーな感じがしました。
まるでヨーロッパ映画の様な。

何しろ切ない。
いくらバブル絶頂期の1988年とはいえ、定年を迎える人たちがこんなに寂しく切ないものかと。

少ないセリフの端々に、皮肉も感じました。

「コツコツまじめに働いてきた人より、調子のいいものが出世する。」 
まるで彼らの代表作「無責任男」の裏返しのような言葉で。
でもこれは、ものすごく共感できるかも

「俺たちが一生懸命働いて、今の日本を作ったんだぞ。」
バブルで浮かれていた時代に、痛烈なパンチをくらわすかのようなセリフ。
誰がどう考えたって、その当時の若者ではなく、戦争をくぐりぬけて、寝る間も惜しんで働いてきた、当時定年間近の方たちだと、改めて気づかされた気がしました。
彼らのおかげで、今の世の中があるんだと。

 

会社に生きがいを感じられなかった人たちが、趣味の音楽を通じて、イキイキとしていく姿は、こちらまで嬉しくなってきました。そして・・・・クレイジーキャッツの本領発揮 お芝居とはいえ、実に楽しそうに演奏されていました ただ、ラストにはまだ悲惨な状況が・・・

 

自分がまじめにしていても、なかなか周囲は評価してくれない。
家庭もうまくいかない。
そんな悲壮感たっぷりな男を、ハナさんが、少ないセリフの中、表情や背中越しの雰囲気だけで表現されていて、本当に素晴らしかったです

ハナさんはもちろんのこと、他のクレイジーのメンバーも、さすがとしか言いようがありません。みんな出世コースからは外れた、でも、音楽に関しては誰にも負けない情熱がある年配のサラリーマンを、控えめながら、いい味で演じられていました。
ライブの練習シーンなんて、あれはお芝居じゃないと思います。たぶん。だって、ものすご~くテンション低めで真面目に語り合ってましたから

ラストははっきりと描かれていません。
主人公が定年後、どんな人生を歩むのかわかりませんが、せっかく出会えた音楽仲間たちと、楽しく過ごしてほしいなぁと・・・それがせめてもの救いかな。

 

ちょい役には、今ベテランとして活躍中の方がたくさん出演されてました。
ほとんど、劇団の方ですけど。(あの当時は小劇場ブームのピークでしたからね)

笹野高史、斉藤暁、石井洋祐、木野花、広岡百合子、あめくみちこ、余貴美子・・・クレジットを見て気づいた方もいましたが、これだけの方たちが脇を固めてるわけですから、今考えれば贅沢な作品です。

 

全盛期の「無責任男」も、エンタテインメントとしてホントに楽しい作品ですが、その後、年輪を重ねて作られたこの「会社物語」を見ると、更に味わい深く感じました。いい作品でした。 


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 八代目中村芝翫襲名披露「松... | トップ | やっぱ絵になる・・・スタア 。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。