FC piaZZista

”セールスマン”が結成したフットサルチーム「FC piaZZista」の軌跡とキャプテンの私生活。

小笠原和彦「帰ってきたかい人21面相」

2010年05月22日 18時30分32秒 | 小説
本日、小笠原和彦「帰ってきたかい人21面相」を読み終わりました。

「経団連会長が誘拐された!届いた声明文には懐かしの『かい人21面相』の文字が・・・。スケールを増した21面相が要求した身代金3兆円は、なんと貧乏人への定額給付金!?年末炊き出しに集まった失業者の中からキツネ目の男に厳選された極貧5人組が、知略を尽くして超巨大企業と国家に挑む。衝撃の結末に仰天必至」

これは、面白かった
数十年振りに触れるかい人21面相というキーワード。
表紙の隅に描かれるキツネ目の男のモンタージュ写真。
昭和生まれの小生が、書店の話題本コーナーに山積みになっているこの本を手に取らない訳がない。
著者のノンフィクション作家小笠原氏は、いままで外国人労働者やホームレス、特別養護老人ホームの実態、少年犯罪と事実を作品にしてきたようだ。
そういう意味では、新人作家である。
かいじん21面相の圧倒的な知名度を借り、現代日本の問題点を風刺的に描き切る。
漢字の読めない首相が登場するシーンなんか、バカにする度を越し、痛快である。
一国の主をここまでこけ下ろせば爽快だ。
トヨタ自動車が東洋自動車として登場し、なかば著者の被害妄想の犠牲になった感は否めないが、これだけ辛辣に弾劾される存在であるのは、間違いないのであろう。
若干、裏の犯人の登場の仕方があいまいで、ご都合主義に頼らざるを得なかったところが残念であるが、最後の回想の帳尻合わせは納得できる。
終焉を幸せの国ブータンで迎えるところも社会派である。
いすれにしても、最近類を見ない痛快エンターメント小説であったことには、間違いない。
最終ページの【参考文献】「真犯人-グリコ・森永事件『最終報告』」を目にするにつけ、図書館予約のためにパソコンの前に座らざるをえなかった・・・。

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