Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

2012.10.21"The Grand Trio"(小森谷巧+藤森亮一+横山美里)演奏会批評(No.2152)

2012-10-23 23:58:21 | 批評

『理想的なピアノトリオ』の域に達した"The Grand Trio"


  小森谷巧 は読響コンサートマスター、つい先日「シェエラザード」の長いヴァイオリンソロをたっぷり聴かせてくれていたことが記憶に鮮明。藤森亮一 はN響首席チェリスト、ソロを受け持つことは多く、演奏会のみならず、放送で「藤森亮一のソロチェロ」に親しんでいる方は多いことだろう。横山美里 は北海道帯広のピアニスト。私高本が2001-2006年に「帯広で定宿にしていた 北海道ホテル」の朝食時に、レストランで流れていたのが、「横山美里 のシューマンとブラームス」だった。クセの少ない シューマン & ブラームス で、爽やかな演奏、まさに「朝食の食欲をそそる音楽」を聴いて4年間愉しませて頂いた。演奏が良かったので、CD2枚購入したほどである。


 この3名が "The Grand Trio" を結成したのが2008年、5年目に入り、「音楽の息」が相当に合って来たことが実感された演奏会だった。

  1. ベートーヴェン : ピアノトリオ「カカドゥ変奏曲」ト長調 作品121a


  2. シューベルト : ピアノトリオ変ロ長調 D898


  3. メンデルスゾーン : ピアノトリオ第2番ハ短調作品66



 時間的だけでなく、内容的も含めて、極めて「重い」プログラムビルディングである!


 "The Grand Trio" は、既に「CD2枚 + DVD1枚」を発売している室内楽団である。私高本もその中で(この日の演奏会プログラムと作曲家が重なる)2枚目の「シューベルト作品100 D929 + メンデルスゾーン第1番作品49」のCDは既に聴いていた。正直、「音の厚化粧」が「誰がこんな厚化粧CDの原因???」って感じで、ワケが分からなかった。小森谷巧の録音は「デビューCD」から「ストレートな音」で収録されているし、横山美里の録音も「シューマン&ブラームスのデビューから2枚」は「ストレートな音」だったからである。藤森亮一 については、CDは聴いたこと無いが、N響での「ソロ」を聴く限り厚化粧の必要性は(私高本は)全く感じなかったからである。


 この日の演奏は、冒頭のベートーヴェンから「全力投球」だった。「カカドゥ変奏曲」をこれだけ全力で演奏してくれる団体は少ない。だが

圧巻は、シューベルト:ピアノトリオ変ロ長調D898。小森谷巧 のリードで、「たっぷり歌う」と「構想力の大きさ」が絶妙なバランスで実現!


 この曲は「カザルス・トリオ」が「持ち曲」にしていたことが有名。「カザルス・トリオ録音」に比べると「しなやかな歌」が、小森谷に、藤森に、横山にあった。(その分、構想力方向へは「カザルス・トリオ」の方が主張は強い)これだけ「歌っている」のに、「ラインが崩れずに音楽が楽しめる」のは奇跡的! このシューベルト演奏を聴けて私高本は幸せである。


 メンデルスゾーン第2番も素晴らしい出だし。第1番に比べて人気が低いのが、(この日の演奏を聴くと)不思議に感じられるほどだった。このママ、第4楽章最後まで維持できれば「最高!」だったのだが、ベートーヴェンからハイテンションで演奏続けたためか、第4楽章では少々キズがあったが、これはナマでは致し方無いかも知れない。「踏み込みの良さ」の勲章のようなものだから。


"The Grand Trio" 次回首都圏公演は、2013年1月13日(日)横浜市栄区民文化センターリリスホール : メンデルスゾーン第1番 他


である。ピアノミュージックジャパン ではもちろん、追っかけて批評する予定。また、「新CD告知」もあるので、今回は「薄化粧」または「化粧無し」の音で録音して欲しい次第である! 「素顔が美女 & 美男子」なのに、何で「厚化粧」する必要あるの?????

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