青山昌弘作曲:ピアノ協奏曲「産出(うぶすな)の始め」は、「リトミカ・オスティナータ」第2番だ!
以前私高本がマネジャーを務めていた 川上敦子 が「ピアノ協奏曲世界初演」を引き受けた、とのこと。しかもその作曲家が「伊福部昭の孫弟子=青山昌弘」と聞いて(佐伯周子のリサイタルの直前にも関わらず)北海道音更町文化センターまで聴きに駆け付けた演奏会である。
ピアノストの多くは、「既に他の誰かが初演した曲」ばかりを弾く。川上敦子 は、伊福部昭作曲「日本狂詩曲」ピアノソロ版(1935/2003)を初演したが、ピアノ協奏曲を世界初演するとは夢想だにしなかった。作曲家が書いてくれても、ピアニストが弾けない曲や、オーケストラが弾けない曲が山ほど積まれており、世界初演に至るのも極めて少ない。私高本が耳にした「世界初演ピアノ協奏曲」は無く、吉松隆作曲ピアノ協奏曲「メモ・フローラ」op.67 がCD録音後に日本初演されたのが唯一の機会であった。信じられないほど、ピアノ独奏の田部京子も、指揮の藤岡幸夫も、日フィルも「超安全運転」だった記憶が深い。
冒頭に、同じ青山昌弘作曲「序曲~音更町歌に寄せる伊福部昭先生へのオマージュ」が演奏され、続いてピアノ協奏曲。立ち上がりに3拍子の固定されたリズムが延々と続くのは、伊福部昭:ピアノ協奏曲「リトミカ・オスティナータ」を彷彿させたが、その後の第2主題呈示以降、展開部、再現部も含めて、極めて「リズム感が高揚する」曲であり、(多分手本としただろう)伊福部昭「リトミカ・オスティナータ」に比肩する曲である。
・・・であると同時に、
青山昌弘作曲ピアノ協奏曲「産出(うぶすな)の始め」は、息遣いが伊福部昭ピアノ協奏曲「リトミカ・オスティナータ」と瓜2つ!
である。
ピアニストへの限り無い超絶技巧要求
オーケストラメンバーへの限り無いとは言わないが、相当に高い水準の跳躍
があちらにもこちらにも埋め込まれている。地雷か?w
川上敦子 も 北海道農民管弦楽団メンバー も地雷を踏まない。巧みにかわしながら、音楽の高揚感を作り上げる。私高本は「地元十勝出身ではない」ので、「地元観」は全く無いのだが、「日本的」な昂揚は高い。(批評続きは、2月になってから掲載致します)