Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

<演奏会批評>圧倒的に素晴らしかった野山真希「メンデルスゾーン」 (No.1307)

2006-07-10 22:42:30 | 批評
野山真希 ピアノリサイタル 2006年7月10日19:00 代々木ムジカーザ (曲目等の詳細は 野山真希ホームページインフォメーション をご覧頂きたい。)

1.ハイドン
2.リスト
3.シューベルト
4.チャイコフスキー
5.メンデルスゾーン
6.ショパン
7.ベートーヴェン(アンコール)

と18世紀~19世紀のピアノ作品を7人も弾いた若きピアニスト = 野山真希 の「東京でのリサイタルとしてのデビュー(本人談)」であったが、タイトル表記の通り、メンデルスゾーンが圧倒的に素晴らしい演奏であった。
 野山真希 は、「隣り合った変奏曲の細やかな違い」を手品師のように紡ぎ出すピアニスト。1変奏曲毎の性格付けが、極めて説得力の高く、私高本が過去に聴いた同曲の演奏中で、ブレンデルの「変奏曲演奏会(遙か昔の来日公演)」に次ぐ出来。1曲づつが短めの変奏曲が、野山のスタイルや感性と合致しているように聴こえる。
 野山は、1曲目ハイドンの後~アンコール直前 まで、懇切丁寧な「トーク」を入れて、聴く人を飽きさせない。トークは、感情に委ねるよりも、理性に委ねる趣であり、野山のメンデルスゾーン変奏曲演奏に通じるモノがあり、とても魅力的。
 メンデルスゾーンの出来で演奏会全体が貫けるようになれば、「鬼に金棒」であるが、ハイドンピアノソナタ第23番ヘ長調や、シューベルト「3つのピアノ曲D946」や、ショパン「スケルツォ第2番」のように構成の大きい曲になると、隣り合う楽章や主題間の対比が後退してしまうのが残念。また、時代や地域がまとまった感じの無いプログラムビルディングは「東京のピアノリサイタル」の水準からすると、さらに練り上げてほしかった感触がある。野山ほどの知性があれば、必ずできることであろう。さらに、各曲、各楽章の冒頭にミスタッチが多いことは、集中力をもう少しだけ増してほしい。
 「外に向けての開放感」が魅力のピアニストである。次回の東京リサイタルが楽しみである。 

(昨日予告の シューベルト ピアノソナタ嬰ハ短調D655 の続きは明日掲載致します)
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