ストラヴィンスキー「3大バレエ」は名曲であることに異論は無い。好みに合うかどうかは別として。私高本は好きである。但し、研究する気が起こったことが無い。シューベルト、シューマン、リスト、ブルックナー に匹敵する「改訂好き」なことは前々から知ってはいるのだが、上記4名の作品の「改訂問題」は人並み以上には研究したと思うのだが、ストラヴィンスキーだけは意欲が湧かなかった。今になってわかった。
カネがあれば、ベーレンライター新シューベルト全集 やら ベーレンライター新モーツァルト全集縮刷版 やら ベーレンライター新バッハ全集チェンバロソロ縮刷版 など、著作権切れた楽譜を買い漁ってゼニが無かったからなあ、、、
・・・が、ストラヴィンスキー「3大バレエ」を聴いたり「観たり」するのは大好き。「稿問題」は全く気にならないが、「ストラヴィンスキー + 他の作曲家」を聴くのは音量的にバランスが良くない。必ず、ストラヴィンスキー の方が大音量になり、前半の演奏の余韻を飛ばしてしまうからだ。そんなワケで、ストラヴィンスキー「3大バレエ」一挙は産まれてからこれが2回目。
と言う悲惨な出会い(泣
東京バレエ団の 佐々木忠次 がいくらご高説を垂れても、眉に唾して聞くことにした根本は「CD使ってPA三昧のストラヴィンスキー3大バレエ」公演のトラウマである。女性ダンサーの脚線美を味わうことが出来ない悲惨な経験であった(爆涙
その後、「春の祭典」を得意にしている 秋山和慶 + 東京交響楽団が2001年12月に「オーケストラ演奏会」開いたのだが、この時は「川上敦子の第9」に専念していて聴きに行く時間が確保できなかった。
そんな昨年晩秋、日本演奏連盟からDMが来た、「都民芸術フェスティバル」の案内。ざっと例年通り目を通したところ異変があった。
カネが無いので迷わず¥1800席を購入した。
「都民芸術フェスティバル」は、在京オケにとってありがたい存在であると同時に「芸術的に突き詰めるだけの練習を時間的に積み重ねるのは難しい」金額のようだ。また、管楽器や打楽器の編成が大きい「エキストラを大勢雇わないと演奏できない大曲」は演奏された記憶は私高本の猫頭では皆無。「火の鳥」組曲は見た記憶あるのだが。今回の 都民芸術フェスティバルオーケストラ演奏会 にリンクを貼っておくので、ご覧頂きたい。ブラームスやチャイコフスキーの交響曲が最大編成が確認頂けることだろう > 「沼尻竜典+読響」を除けば
私高本が 沼尻竜典 に注視したのは昨年4月19日。その日に聴いた 新国立劇場「バラの騎士」公演 で「下棒」を沼尻竜典が務めた、と書いてあったからだ! 新国立劇場には、石坂宏 を始めとする「指揮者陣」がいる。沼尻竜典 は 滋賀県立びわ湖ホール芸術監督を2007年から務めている。「代役で振る」ならともかく、「下棒」でも東京まで足を伸ばし『日本オペラ界のため』に尽力するのか!!! 当日公演批評号 にリンクを貼っておく。もう1つ 新国立劇場2012-2013シーズンオペラ「プログラム発表」批評号 にもリンクを貼っておく。2011年新国立劇場「バラの騎士」公演以来、注目していたのである > オペラ&バレエ公演での沼尻竜典
さて、「予算がやや不足気味」の都民芸術フェスティバルにて、ストラヴィンスキー「3大バレエ」が名演になるのか? ならないのか? チケット到着してみてから 読響のHP を読んで驚いた。
読響カレンダーにリンク貼っておいたのでご確認下さい。この「2つの演奏会」の予算を足せば「予算不足の壁」は突破できる。読響(?)は何と頭が良いのだ!!
過去に ストラヴィンスキー「3大バレエ」の個別曲は名演を聴いたことがある。最も近くでは「カンブルラン + 読響:春の祭典」。こんな素晴らしい曲だったのか! と心が震えた。
・・・で、ふと思いだしたのだが、
を思い出した。「カンブルラン + 読響」とか「秋山和慶+東響」とか「大植英次+大阪フィル」とか。私高本の猫頭理解では
が原因と推測される。ここで不思議な感触がした。
だからである。普通に考えて、群馬響か日本センチュリー響で振る方が普通に感じられるし、希望すれば(おそらく)振れる立場だからだ。
何も予習せずに当日会場に向かった。演奏する稿もわかってないからなあ。演奏は次の通り。
作曲年代順(バレエ上演順でもある)に従いながら、プログラムが進行するに従い大編成になる構成。しかも「火の鳥」の時間が大巾短縮されるので、21:00前後に終演見込み、となっている。
いろいろと「贅沢な」演奏会で
は過去未経験の贅沢。永野英樹 にチェレスタ弾かせるようなことはせず、きちんとチェレスタ奏者が弾いていた。楽器数は(おそらく)1番トランペットがアシスタント付けただけで、他はスコア通り。弦は14型。
以前の沼尻竜典は「安全運転」傾向だった。だがストラヴィンスキー「3大バレエ」を安全運転だけで乗りきれるのか? は疑問があった。「春の祭典」が最も顕著だが、「ペトルーシュカ」も「火の鳥」も合わせるだけの「縦割り」になってしまったら『ストラヴィンスキーの魅力』は聴こえないからだ。
3大バレエ1発目 = 「火の鳥」 演奏は「スビト」に表情が切り替わる魅力たっぷり。デュナーミクも2管編成 + 14型 には聴こえない「響きの豊かさ」である。基本的に弦楽器を中心の音にして、コントラバスから和声を積み上げている「読響の音」を信じてダイナミクスもテンポも自在に動かす。
新国立劇場は ストラヴィンスキーバレエは「火の鳥」しかレパートリーにしていない。「火の鳥」しか比べられないし、「舞台上」と「ピット内」の違いがあるとは言うもののこれは特記しなければならない。ティンパニ の 岡田全弘 のリズム感の支えが読響全体を弾ませている。尚、「火の鳥」もフルコンサートグランドピアノで弾くと「音の伸び」が全く違うことを体験させて頂いたことにも深く感謝する。
2発目 = 「ペトルーシュカ」は、ピアノ=永野英樹 の見事なさばきが鮮やか。あやつり人形が転がるように疾走する様はこれほどまでいきいきと描写できるものなのか!!!
両曲とも「ブラヴォー」が降り注いだが、協奏曲以外の「都民芸術フェスティバル」では猫頭の私高本は記憶が無い。
休憩時のロビーが「読響定期」以上に興奮していた人が多かったことを記す。曲が「興奮系」なことが原因だが、演奏が素晴らしかったことも起因。結構アマチュアオーケストラ団員の方が多くて「振り方」について喧々諤々、意見を交わしていた。私高本はアマオケに所属したことが無いので加われない雰囲気(爆
3発目 = 「春の祭典」。踏み込みの良い指揮。テンポもデュナーミクも自在。異民族が大地で踊っているかのような
が同居した
演奏となった。
終演後は圧倒的な「ブラヴォーの嵐」。最後の最後は「読響が立ったまま座らずに沼尻竜典を迎え入れて」やっと拍手を終結させた。放置したらいつまで続いたかわからん。
木管首席全員が素晴らしいことは、沼尻竜典が真っ先に立たせたことでも明らか。ティンパニの岡田全弘は前述の通り。後、トランペット1番を交替で吹いた 田島 と 長谷川、ホルン1番を交替で吹いた(東フィルの)高橋、久永、松坂 も匹敵する素晴らしさだったことも記しておく。最後に1言。
終演後の圧倒的ブラヴォーにステージマナーが前半に比べてぎこちなかったほど。「ブラヴォーの嵐」は初体験だったのでしょうか?
『沼尻竜典のストラヴィンスキー』を聴衆は圧倒的に支持した。隣の 新国立劇場バレエで「沼尻竜典指揮:ストラヴィンスキー3大バレエ」実現してほしいなあ。びわ湖ホール でもいいぞ!
今後の沼尻竜典は目を離せない。
ストラヴィンスキー は著作権が残っていて、楽譜が極めて高額 が原因
カネがあれば、ベーレンライター新シューベルト全集 やら ベーレンライター新モーツァルト全集縮刷版 やら ベーレンライター新バッハ全集チェンバロソロ縮刷版 など、著作権切れた楽譜を買い漁ってゼニが無かったからなあ、、、
・・・が、ストラヴィンスキー「3大バレエ」を聴いたり「観たり」するのは大好き。「稿問題」は全く気にならないが、「ストラヴィンスキー + 他の作曲家」を聴くのは音量的にバランスが良くない。必ず、ストラヴィンスキー の方が大音量になり、前半の演奏の余韻を飛ばしてしまうからだ。そんなワケで、ストラヴィンスキー「3大バレエ」一挙は産まれてからこれが2回目。
初めての ストラヴィンスキー「3大バレエ」は1996年2月10日の「東京バレエ団」公演で、CDをPAスピーカから大音量で垂れ流してのバカタレ公演
と言う悲惨な出会い(泣
東京バレエ団の 佐々木忠次 がいくらご高説を垂れても、眉に唾して聞くことにした根本は「CD使ってPA三昧のストラヴィンスキー3大バレエ」公演のトラウマである。女性ダンサーの脚線美を味わうことが出来ない悲惨な経験であった(爆涙
その後、「春の祭典」を得意にしている 秋山和慶 + 東京交響楽団が2001年12月に「オーケストラ演奏会」開いたのだが、この時は「川上敦子の第9」に専念していて聴きに行く時間が確保できなかった。
そんな昨年晩秋、日本演奏連盟からDMが来た、「都民芸術フェスティバル」の案内。ざっと例年通り目を通したところ異変があった。
沼尻竜典 + 読響「ストラヴィンスキー:3大バレエ」公演が¥1,800!
カネが無いので迷わず¥1800席を購入した。
「都民芸術フェスティバル」は、在京オケにとってありがたい存在であると同時に「芸術的に突き詰めるだけの練習を時間的に積み重ねるのは難しい」金額のようだ。また、管楽器や打楽器の編成が大きい「エキストラを大勢雇わないと演奏できない大曲」は演奏された記憶は私高本の猫頭では皆無。「火の鳥」組曲は見た記憶あるのだが。今回の 都民芸術フェスティバルオーケストラ演奏会 にリンクを貼っておくので、ご覧頂きたい。ブラームスやチャイコフスキーの交響曲が最大編成が確認頂けることだろう > 「沼尻竜典+読響」を除けば
私高本が 沼尻竜典 に注視したのは昨年4月19日。その日に聴いた 新国立劇場「バラの騎士」公演 で「下棒」を沼尻竜典が務めた、と書いてあったからだ! 新国立劇場には、石坂宏 を始めとする「指揮者陣」がいる。沼尻竜典 は 滋賀県立びわ湖ホール芸術監督を2007年から務めている。「代役で振る」ならともかく、「下棒」でも東京まで足を伸ばし『日本オペラ界のため』に尽力するのか!!! 当日公演批評号 にリンクを貼っておく。もう1つ 新国立劇場2012-2013シーズンオペラ「プログラム発表」批評号 にもリンクを貼っておく。2011年新国立劇場「バラの騎士」公演以来、注目していたのである > オペラ&バレエ公演での沼尻竜典
さて、「予算がやや不足気味」の都民芸術フェスティバルにて、ストラヴィンスキー「3大バレエ」が名演になるのか? ならないのか? チケット到着してみてから 読響のHP を読んで驚いた。
2月4日に 静岡で「同一演目演奏会」が開催される!
読響カレンダーにリンク貼っておいたのでご確認下さい。この「2つの演奏会」の予算を足せば「予算不足の壁」は突破できる。読響(?)は何と頭が良いのだ!!
過去に ストラヴィンスキー「3大バレエ」の個別曲は名演を聴いたことがある。最も近くでは「カンブルラン + 読響:春の祭典」。こんな素晴らしい曲だったのか! と心が震えた。
・・・で、ふと思いだしたのだが、
最小に言って「春の祭典」は『指揮者がポジション持っているオーケストラで演奏』が原則
を思い出した。「カンブルラン + 読響」とか「秋山和慶+東響」とか「大植英次+大阪フィル」とか。私高本の猫頭理解では
「春の祭典」は5管編成で(超巨大オケの東フィルを例外として)エキストラ人数が多過ぎ経費負担過多
が原因と推測される。ここで不思議な感触がした。
沼尻竜典は、びわ湖ホールの芸術監督、群馬響首席指揮者、日本センチュリー響首席客演指揮者を兼務
だからである。普通に考えて、群馬響か日本センチュリー響で振る方が普通に感じられるし、希望すれば(おそらく)振れる立場だからだ。
何も予習せずに当日会場に向かった。演奏する稿もわかってないからなあ。演奏は次の通り。
2012年2月6日 沼尻竜典指揮読売日本交響楽団「ストラヴィンスキー:3大バレエ」
「火の鳥」1919年版(2管編成)
「ペトルーシュカ」1947年版(3管編成)
「春の祭典」(5管編成)
作曲年代順(バレエ上演順でもある)に従いながら、プログラムが進行するに従い大編成になる構成。しかも「火の鳥」の時間が大巾短縮されるので、21:00前後に終演見込み、となっている。
いろいろと「贅沢な」演奏会で
「火の鳥」のオケピアノも 永野英樹 が弾き、スタインウェイD 使用!
は過去未経験の贅沢。永野英樹 にチェレスタ弾かせるようなことはせず、きちんとチェレスタ奏者が弾いていた。楽器数は(おそらく)1番トランペットがアシスタント付けただけで、他はスコア通り。弦は14型。
沼尻竜典の新境地を切り拓いた踏み込んだ 読響との「ストラヴィンスキー:3大バレエ」
以前の沼尻竜典は「安全運転」傾向だった。だがストラヴィンスキー「3大バレエ」を安全運転だけで乗りきれるのか? は疑問があった。「春の祭典」が最も顕著だが、「ペトルーシュカ」も「火の鳥」も合わせるだけの「縦割り」になってしまったら『ストラヴィンスキーの魅力』は聴こえないからだ。
3大バレエ1発目 = 「火の鳥」 演奏は「スビト」に表情が切り替わる魅力たっぷり。デュナーミクも2管編成 + 14型 には聴こえない「響きの豊かさ」である。基本的に弦楽器を中心の音にして、コントラバスから和声を積み上げている「読響の音」を信じてダイナミクスもテンポも自在に動かす。
特筆すべきは『リズム感の素晴らしさ』であり、新国立劇場同一演目の マーフィー指揮東フィル よりも遥かにリズム感に富んでいたこと!
新国立劇場は ストラヴィンスキーバレエは「火の鳥」しかレパートリーにしていない。「火の鳥」しか比べられないし、「舞台上」と「ピット内」の違いがあるとは言うもののこれは特記しなければならない。ティンパニ の 岡田全弘 のリズム感の支えが読響全体を弾ませている。尚、「火の鳥」もフルコンサートグランドピアノで弾くと「音の伸び」が全く違うことを体験させて頂いたことにも深く感謝する。
2発目 = 「ペトルーシュカ」は、ピアノ=永野英樹 の見事なさばきが鮮やか。あやつり人形が転がるように疾走する様はこれほどまでいきいきと描写できるものなのか!!!
両曲とも「ブラヴォー」が降り注いだが、協奏曲以外の「都民芸術フェスティバル」では猫頭の私高本は記憶が無い。
休憩時のロビーが「読響定期」以上に興奮していた人が多かったことを記す。曲が「興奮系」なことが原因だが、演奏が素晴らしかったことも起因。結構アマチュアオーケストラ団員の方が多くて「振り方」について喧々諤々、意見を交わしていた。私高本はアマオケに所属したことが無いので加われない雰囲気(爆
3発目 = 「春の祭典」。踏み込みの良い指揮。テンポもデュナーミクも自在。異民族が大地で踊っているかのような
- 野蛮で
- 力感溢れて
- 狂ったかのようなテンポのチェンジと
- 「妖しい女性」のいざない
が同居した
「猥雑なストラヴィンスキー像」を見事に「音だけ」で実現した
演奏となった。
終演後は圧倒的な「ブラヴォーの嵐」。最後の最後は「読響が立ったまま座らずに沼尻竜典を迎え入れて」やっと拍手を終結させた。放置したらいつまで続いたかわからん。
木管首席全員が素晴らしいことは、沼尻竜典が真っ先に立たせたことでも明らか。ティンパニの岡田全弘は前述の通り。後、トランペット1番を交替で吹いた 田島 と 長谷川、ホルン1番を交替で吹いた(東フィルの)高橋、久永、松坂 も匹敵する素晴らしさだったことも記しておく。最後に1言。
沼尻竜典は「火の鳥」組曲は暗譜で、「ペトルーシュカ」「春の祭典」は『ミニチュアスコア』を見ながら振った。初めての指揮の可能性大。この演奏会に「沼尻竜典は指揮者人生を賭けた」瞬間だったと推測する!
終演後の圧倒的ブラヴォーにステージマナーが前半に比べてぎこちなかったほど。「ブラヴォーの嵐」は初体験だったのでしょうか?
『沼尻竜典のストラヴィンスキー』を聴衆は圧倒的に支持した。隣の 新国立劇場バレエで「沼尻竜典指揮:ストラヴィンスキー3大バレエ」実現してほしいなあ。びわ湖ホール でもいいぞ!
今後の沼尻竜典は目を離せない。