ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

リストと若冲

2011年03月28日 | クラシック豆知識
今年は、リストイヤーです。リストのことが語られ、リストの曲があちこちで演奏されることと思います。ムジカ・ノーヴァの4月号に「フランツ・リスト、ピアノ作品の背景」という記事が載っていて、そこに、リストがベルリオーズに宛てた手紙の一節が紹介されています。リストによれば、様々な芸術のジャンルを超えて、「天才」と呼ばれる人たちにはなにか隠された類似性があるというのです。そして、リストは「ラファエロとミケランジェロを知ることによって、私はモーツァルトとベートーヴェンについてより深く理解できるようになりました」と書いているのだそうです。

これは、要するに、音楽の世界にだけ没頭するのではなくて、様々な芸術や自然に目を向けて、それらに共通した何かを感じ取る、これが重要だということではないでしょうか。音楽のジャンルの中で、室内楽、オーケストラ、オペラなどいろんな音楽に触れるのはもちろんですが、絵画や、彫刻、建築さらに自然などにも目を向けて、何かを感じ取ることが大事だということだと思います。

私などヨーロッパで産まれたクラシックをずっと勉強してきていながら、一度もヨーロッパに行ったことがありません。なので、ラファエロもミケランジェロも本物をみたことなどありません。けれど、展覧会で見た伊藤若冲の絵とか、京都や奈良の仏像や寺社建築、そして庭にやってくる小鳥のさえずりなど、私にとって手の届く範囲の天才たちの営みや自然の営みに接するたびに、私は言いようのない感動を覚えます。そしてこのことは私の音楽に大なり小なり必ず影響を及ぼしていると思います。

リストのピアノ曲を弾きながら、若冲の絵を思い出しています。リスト風に言えば「私は若冲を知ることによって、リストについてより深く理解出来る」ようになった気がします。二人とも驚異的なまでに緻密で繊細、精確な技巧の持ち主で、しかも二人とも、実はネアカな芸術家なんだと思います!

「紫陽花双鶏図」伊藤若冲、プライス・コレクション

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