ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

「想定外」への準備

2011年04月09日 | 思うこと
昨夜、テレビのニュースで福島原発のことをやっているのをみていると、専門家の方が、「こういうことが起きないための対策」というものは、かなり研究され議論され、実施もされてきたのだけれど、「実際にそれが起こった時にどうするかという対策」は、ほとんど検討されていなかったということを指摘していました。事故が起きないようにするための対策に力を注げば注ぐほど、それに満足して、本当に事故が起きないものと錯覚してしまうのでしょうか。しかし、世の中、想定外のことが起こるのが常です。今回のこの大地震だって、だれが想定したでしょう。でも、起こってしまったんです。その想定外のことが起きた時のための対策が手薄だったことは否定できません。

原発事故のような大きな話と比べるのはどうかとも思いますが、これって実はピアノ演奏の本番に臨むピアニストにとっても大事な教訓を示していると思います。

暗譜を忘れないように、ミスしないようにと、ステージで、人前で弾く人は皆、必死で練習を積み重ねるものです。特に苦手な箇所などは何回も何回も繰り返して練習して克服していきます。そうして、晴れて「完璧に仕上がった」という状態で、自信満々で本番に臨むと、たいてい痛い目にあいます。「えー、なんで?!」と叫びたくなるようなところで、まさに想定外のミスが飛び出したりするのです。ここで激しく動揺して、立ち直れないと、その後の演奏すべてが台無しになることすらあります。

これでは、いけないのです。やはり何が起こるかわからないのが本番ですから、それに備えておかなければなりません。ミスしないようにということだけを考えるのではなくて、ミスしたときに演奏を途切らせることなく、どうやって立ち直っていくか、どういう風にダメージを小さくして、なるべく自然に元の流れに戻すか、そういうことを瞬時に判断して指を動かすことができる、そんな心構えというか覚悟をあらかじめ持っておくことが必要なのです。

この部分はもちろん技術も大事ですけど、むしろ、イザという時に動揺しない、落ち着いて対処できる、そんな精神状態を保っていられるよう、あらかじめ心の準備をしておくことの方が大事かもしれません。本番演奏中に予想もつかないようなミスをしてしまうと誰でも激しく動揺してしまうものです。平常心で素早くそれに対処するというのはとても難しいことだけど、やれるようになっておかなければなりません。今回の報道をみて、改めて、強くそう思いました。

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