ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

表現力を引っ張り出す

2013年09月20日 | レッスンメモ
演奏を聴いていると、そのピアニストの性格が分かります。それは何も霊感師や占い師みたいな能力がこちら側になくてもいいのです。演奏家が自分の曲の解釈を、そして自分そのものを、音楽に乗せてさらけ出しているから、おのずとそれがわかるのです。自分の音楽を表現し切っているからです。

素晴らしい演奏家ほどそれがはっきり分かるような気がします。曲を深く深く自分のものにして、それを一生懸命表現しようとすると、自分が出てしまうはずです。だから、見た目は、いかつい、ちょっと怖そうな大きな体格のピアニストでも、ものすごく繊細な演奏を聴くと、心やさしい穏やかな人なんだということがわかるし、可愛くて美人で小柄な女性ピアニストでも、大胆で自由奔放な演奏をきくと、この一見可愛いらしいピアニストは、実は情熱家で意志の強い、腹の据わった人なんだということがわかってしまう。もちろん、人間は、多面性を持つ動物だから、曲によって同じ人でも繊細さが出たり大胆さが出たりします。でも、その人のカラーというのがあるわけです。

これは何もプロの演奏家に限った話ではなくて、教室の生徒でも一人ひとりについてそれがわかります。普段はとてもおとなしくて、こちらから声をかけると、コックリうなづくくらいしかお返事が出来ない小さな女の子がいます。でも、いったんピアノに向かって弾き始めると、なんて自由に歌って感じて弾くのでしょう!

逆に受け答えなどはハキハキとしてきちんとできるのに、ピアノに向かうと、何となく音符を追っているだけ、面白くなさそうに弾いている生徒もいます。まだまだその曲を表現しようとしてないのですね。でも、そんな子だって、内面に何もないわけではありません。まだまだ演奏技術や精神的なもの、そのほか色々なものが未熟なだけです。じっくり時間をかけて、その子の成長に寄り添って、それらを引っ張り出して導いていくのが先生の役目。そうして、「表現する」ということの楽しさを知ってもらえたら、後は自分でどんどんやる気がでてきます。「ここはこう弾きたい」「もっとこんな音を出したい」「あそこは○○のように・・・」こんな調子でピアノが弾けるとピアノを弾くことがぐんぐん面白くなっていくはずです。そんな生徒の姿がみえてくると、こちらも楽しいし嬉しくなります。

だから、生徒を指導する時には、、生徒自身の表現力を中からぐいっと引っ張り出して育つような指導をしたいと思います。それまで本人が意識していなかったことも意識するようになり、気づいていなかったことに気づくこともあります。そうしてそれらが心の中の言葉になって音楽に表現されるようになるのです。

自分をさらけ出したり、何かを表現したりするには、とてもエネルギーがいります。心も頭も体力も全部使うわけですから心身ともに元気でないと、人を感動させる表現なんてとてもできません。というわけで、昔から「芸術の秋」は「食欲の秋」ということになっているのです(!)

さあ、今日も先生も生徒も元気で頑張ろう

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