ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

七つの花

2013年09月26日 | レッスンメモ
我が家の駐車場に桜の木が1本あります。毎年見事な花を咲かせてくれて、楽しませてもらっていましたが、ある年からだんだん害虫にやられるようになって、少しずつ花つきも悪くなり、しまいには結構太い枝までがどんどん枯れ始めて、強い風が吹くと折れて落下するようになりました。ところがそこは駐車場なので生徒や生徒の保護者の車に当たって傷でもつけたら大変です。こうしてついに昨年の春、大手術を実行してバッサリ強剪定しました。

ある日突然バッサリ切られてしまった桜の木を見て、教室にやってくる生徒さんたちはみんなびっくり、ずい分ショックを受けたようです。それでもその大手術から一年たって少しづつ新しい小枝や葉っぱがでてくるようになりました。そして嬉しいことに今年の春は新しく伸びてきた枝から七つの花を咲かせてくれました。

この七つの花、実は私が数えたのではないんです。これはある生徒のお母様が私に教えてくれたのです。ここにレッスンに来るたびにこの桜を見ていて、満開の時期を楽しみにしていたそうです。それが急にこんなにばっさり切られてしまって、大丈夫だろうかと、とても心配していたのだそうです。それが今年何とか復活の兆しを見せて、小さな花をいくつか咲かせたので、嬉しくなって教えてくれたのでした。「先生、今年は七つ咲きましたね。来年はきっと十以上咲きますよね!」

車を停めて乗り降りするそのちょっとした時間に桜の木に目をとめて、咲いた花の数を一つひとつ数えてくれたんです。きっと「頑張ってね」「よく咲いたね」と、そんな思いで数えてくれたに違いありません。そのときの彼女の、桜の木を慈しむように眺める様子がまぶたに浮かぶようです。

こういう細やかな感受性というのは本当に素晴らしいと思います。目に触れるもの、耳に聞こえるもの、何に対しても、それをどう見るか、どう感じるかはその人の感受性次第です。私は音楽にもこんな感受性が必要なんだと思います。

楽譜の中のたとえ小さな音一つであっても、それをぞんざいに扱うと、曲全体がぞんざいな演奏になってしまう。一つのフレーズをまるで一つのお花を慈しむように感じて大事に弾けたなら、なんて素晴らしいことでしょう

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