ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

モーツァルトオペラとピアノ・ソナタ

2017年12月18日 | レッスンメモ
先日、久しぶりにモーツァルトのオペラ「魔笛」を観に行きました。と言っても劇場で生の舞台を鑑賞したのではなくて、映画館でMETライブビューイングを楽しんできました。今回のメトロポリタンオペラの魔笛は、ミュージカル「ライオン・キング」の演出で有名なジュリー・テイモアが演出したものです。とっても楽しいファンタジーな世界をド派手な衣装や化粧、豪華な舞台装置、そしてたくさんの動物たちや仕掛けが飛び出す工夫で表現していて、「子供から大人まで、みーんなオペラファンにしちゃいましょう!」という意気込みにあふれた舞台でした。私としては、タミーノ役のチャールズ・カストロノヴォの情熱的な表現力、そして朗々とよく通るその歌声に特に感動しました。このタミーノ、その衣装と所作が、ちょっぴりアジア風味で、アニメのドラゴンボールに出てきそうなヒーローだったのがご愛敬です。

さて、モーツァルトのオペラを耳に残しながら、家に帰ってピアノ・ソナタを弾くと、これがまあ、本当にオペラそのものと言っていいくらいオペラ的に書かれているということを痛感します。あ、ここのフレーズはソプラノ歌手がこんな風に歌うところ、ここはテノール歌手がこういうふうに歌ってる。この忙しい16分音符は、オーケストラのヴァイオリンがチャチャチャと短く弾いているところ、ここはピッチカート、などなど。オーケストラと歌手が次々と入れ代わり立ち代わり現れてきて、一つの舞台を構成している様子が見えるような気がしてきます。こうなるとしめたもの。ピアノ・ソナタが本当に楽しいものになってきます

私は子供の頃あまりモーツァルトのピアノ曲に魅力を感じていませんでした。何だかチャラチャラしていて嫌だくらいに思っていました。でも音大の学生になるとこれはどうしても学ばなければならいわけですから、ソナタ形式や音質など、勉強しました。勉強しだすとこれが難しくてとても楽しめるものではなく、結局私は学生時代を通じて「モーツァルトは苦手」だったのです。そんな私がモーツァルトを本当に好きになったのは、ニューヨークに住んでメトロポリタン・オペラを観に行き、感動し、オペラに親しみを感じるようになったのがきっかけです。それまでオペラを何となく敬遠していましたからそれは新鮮な体験でした。モーツァルトのオペラを観た後にモーツァルトのピアノソナタを聴いたり弾いたりすると、それまでとは全然違う世界が広がるのです。これは大発見、と思いましたね。ピアノ・ソナタがだんだんオペラみたいに感じられ、そうしたらピアノ・ソナタがどんどん楽しくなってきたのです。「そうか、こんなふうにね!」とたくさんたくさんヒントを貰えるのです。

それ以来、「モーツァルトソナタを弾くならオペラを観ましょう!」というのが私の持論。子供たちにオペラ鑑賞というのは敷居が高いでしょうけど、この「魔笛」なら大丈夫。きっと親子みんなで楽しめるのでおすすめです。モーツァルトをピアノで弾く時にきっと役に立つでしょう! ちなみに、ベートーヴェンを弾くならオーケストラを聴きましょう、ハイドンを弾くなら室内楽を聴きましょう、とも思っています。

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