ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

嬉しいサプライズ

2016年07月14日 | レッスンメモ
今年教室に入って1年半のAさん。最近、あるコンクールに向けて頑張っています。

彼女自身が自分から「これに出てみたい」と言って挑戦することにしたコンクールです。私としては正直いってまだこの生徒さんには課題曲が難しいのではないかと思っていたので、出場を勧めていたわけではありません。そうは言っても本人が「やる気」を見せているわけですから、そこは大事にしたい。(正直私はちょっとたじろぎましたが)あなたにはまだとても難しい曲だと思うけど、本気で挑戦してみる? 大変だけど、大丈夫? と念を押して、その上で、やってみることにしました。

さて練習をやり始めてみると案の定、大変な船出となりました。あまりにもスムーズに行かなくて、本当にこの曲、最後までたどり着くかしら?と不安でした。本人は本人で「ああ、もう、できなーい!」と言って泣きそうになったり、投げ出しそうになったり。そのたびになだめたり励ましたり。牛のように一歩一歩ゆっくりと、時には立ち止まりながら、重い足どりで、それでも前に、少しづつ前に、我慢強く、一緒に進めてきました。そしてようやく、最後の最後まで何とか踏ん張って、やっとの思いで曲の最後までたどり着きました。私は、もう今回はここまでたどり着くだけで良しとしようと腹をくくっていたのです。

それから一週間が経って教室にやってきたA子さん、先週ようやく最後までたどりついた課題曲を、この日は最初から最後まで、まあ、ほんとに、目を見張るほどの出来で弾いてくれました。これには驚きました。ここまで頑張ってきてくれるとは! この子が初めて教室にやってきた頃のことが思い出されます。彼女にとって生まれて初めてのピアノでした。それこそドの位置から何からすべて手取り足取り教えるところからのスタートでした。そこから少しづつ成長していく姿を見てきているだけに、感動もひとしおでした。いつも暖かく見守っていらっしゃるお母さまも「人前に出るのが大の苦手な子だったのに、こんなになってくれて・・・」と感動の涙。

彼女がこのコンクールに出たいと言ったあの時、「大変だけど本当に頑張れる?」と念を押す私に「ちゃんと頑張るから出たいです」と答えたAさん。自分で挑戦しようとする気持ちをはっきりと見せてくれました。そして、つらくても苦しくても、自分が掲げたその挑戦目標に向けて実際に頑張りぬくという実践をしてみせてくれました。この「気持ち」と「実践」があれば大丈夫です。コンクールの本番にはまだ少し日にちがありますが、この調子でうんと頑張って、本番当日は伸び伸びと練習の成果を発揮してもらいたいと思います。

それにしても子供たちの可能性というのはすごいですね。力不足じゃないかなと思って、「今年はちょっと無理ね。来年にしょっか」と言わなくてほんとに良かったと思いました。もちろん、教師としてある程度の専門的客観的見通しを持つことは重要ですが、かなりぎりぎりのラインまで、その生徒の可能性を大らかに信じることが大切だということです。こうして、私の当初の予想をはるかに上回る形で、嬉しいサプライズを連発してくれる教室の生徒さんたち。こういうサプライズがたまらない!!

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