ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

拍と呼吸

2015年07月22日 | レッスンメモ
ピアノの曲は、横のラインと縦のラインを同時にみて弾いていかなければなりません。縦のラインはハーモニー、拍、リズムの刻みなど、横のラインは、旋律、フレージング、曲全体の流れなど。

縦のラインも横のラインもどちらもとても大切なことなので、常に意識して練習しなければいけませんが、まず、どちらの方が大切かといえば、やはり横のライン、音楽全体の流れでしょう。音楽というのはやっぱり流れなんだと思います。横の流れがあってそれをまるでオペラ歌手のように歌いあげる。歌手の皆さんは、息を吸って一つのフレーズを歌い、また息を吸って次のフレーズへと移ります。ここで大切なのが呼吸であり、フレージングです。歌手にとって(フレージング)というのは、いかに美しく歌うかということに直接かかわる一番基本的なことなのではないでしょうか。

でも、ピアノという楽器は管楽器などと違って、呼吸とは無関係に弾こうと思えば弾けてしまいます。この呼吸(フレージング)とは関係なしにピアノは弾けてしまうというところが、実は、危険なことです。「歌うようにピアノを弾いて」と言っても、息を止めちゃう生徒が少なくありません。弾き手である自分は人間なので当然呼吸なしでは弾き続けることはできないのですが、その自分の呼吸とピアノを通じて奏でる音楽との呼吸が合っていない。これではフレーズ感のない音楽になってしまいます。出てくる音楽に生き生きとした「表情」が出てこないのです。

一番大切なのは楽譜の中に作曲家がどんな「音楽の流れ」を書き込んでいるか、これをよーく読み込んで理解すること。曲全体をながめてその中にあるフレージングの構成をきちんと把握すること。そのフレージング一つ一つに合わせて、少し声を出しながら弾いてみましょう。そうすると自然とそれに合わせた呼吸ができるようになってきます。そうした後には、今度は逆に自分の呼吸をきちんとコントロールすることによって、流れのあるフレーズ感が身についていきます。

さて、そうは言ってもやはり縦のラインも大事。音楽にはフレーズとは別に、一定の一つずつの縦のくくりが存在します。それが拍子。音楽には一小節単位でくくられたある一定の拍感があって、その秩序にのっとって流れていくものです。それだから心地良い。ここで拍感がきちんとしていないと、フレーズを一人よがりで勝手に歌って、音楽全体の秩序を壊す危険性があります。拍感をきちんと整えて一定の秩序のもとで、一つずつのフレーズを歌うのです。

ピアノというのは一台で同時に、歌い手そのものと、歌い手を支えている伴奏や、オーケストラの役をこなさなければばりません。要するに一人でオーケストラから歌手まで、全部やってのけようとしているのがピアノです。ですからほかの楽器演奏者や、歌い手さんたち以上に、横のラインであるフレーズによる呼吸と、縦のラインである拍をきっちり理解していなければなりません。そもそも曲の中での呼吸と拍の位置関係は、必ずしも一致していなくて、そこが難しく、それだけにおもしろいところです。是非ここの醍醐味をエンジョイできるようになってほしいです。

縦と横の絶妙なバランス感覚。息をするように自然にこれができて、センス良く音楽を奏でていく、これができれば最高だなと思いながら、私も練習に取り組んでいます。

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