ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ホールのピアノを弾くときは

2015年06月15日 | レッスンメモ
この時期、全国的にコンペシーズンです。各地の会場でたくさんの生徒さんたちがホールのピアノで演奏しています。ピアノのコンペというのはリハーサルなしの一発勝負がおおいですね。その日、その会場で弾くホールのピアノがどんな調子なのか、日頃練習しているピアノと比べてどう違うのか、確認もできないままいきなり本番に向かいます。ほかの楽器では皆、日頃愛用の自分の楽器を持ち歩くのでこんな心配はいりません。これはピアノ弾きの宿命です。

その日初めて触れるピアノと向き合って、瞬時にそのピアノの特性を感知して、手なづけなければならないのです。「あれ?いつものピアノより、軽い」「あれ、いつものより浅い」「あれ、いつものピアノより、音がバンバンでる!」など、たくさんの「いつもじゃない!」ということが出てきます。

もちろんピアノだけでなく、ホール自体の持つ音響効果がいつもとは全然違うわけですから、益々聴こえてくる音がいつもと違ってきます。良く響くホール、デッドな感じで音が吸われるホールなど、会場によってさまざまです。ピアノとホールのコンビネーションがなせる音の響きの違い。これを本番で瞬時に察知して、日頃の練習成果を最大限に引き出すことができるかどうか。これは生易しいことではありません。

ここで一番力を発揮するのはやっぱり、耳。自分の耳で良く聴きながら弾く。よくよく音を聴いてどんな風に音が広がってるか、ホールに向けて飛んでるか、耳を澄ませて調整する。指をあやつる。ペダルを加減する。などコントロールするのです。それしかありません。弾きながら自分の音をよく聴きとるというのは言うほど簡単なことではありません。いつも通り弾けているのに、聴いている側にはそう伝わらないということもしばしばあるものです。でも、何回も経験しているうちに少しだけ分かって来るようになると思います。みんな小さいうちから何度も何度も失敗したり成功したりして、積み重ねて、そうして耳を研ぎ澄ましていくんですね。

コンペでホールのピアノを弾くときは、自分の耳でよく聴きながら弾くことを意識して、新しく出会ったピアノとすぐに仲良くなれるように心がけましょう。リハーサルなしで弾くピアノ、なんだか不安だけど怖がらずに、「こんにちは、君はどんなピアノ?今日はどんな調子? 一緒に仲良くやろうね」という気持ちで、ピアノにこちらから心を寄せていきましょう。そうすればきっとそのピアノが応えてくれて、あなたがもっている力を最大限に引き出してくれると思います。
 
満開のベゴニアたち。庭のあちこちで勝手に増えていくんです!

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