ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

おばあちゃまの涙

2014年09月09日 | レッスンメモ
私の教室ではお子さんの送り迎えの保護者の方には教室の中で待ってもらうのは歓迎です。中には自分だけ駐車場の車の中で待ってらっしゃる親御さんがいて、どうして中で待たないのかなと思って聞いてみたら、前の教室では外で待つようにと言われてたので、とのこと。中で聴いてあげてくださいと言うと、逆に驚かれたりしたこともあります。この辺は教室の先生によってそれぞれ考え方が違うのでしょうから一概には言えませんが、私はせっかく送り迎えをしてくださるのですから保護者の方にはもっともっとレッスンの様子に関心をもっていただきたいと思っています。そのためには教室の中でお子さんのレッスンの様子を見学するのが一番。最初の頃はずっとスマホをいじっていたお母さんがいつの間にか熱心にメモを取るようになったり、分かりにくいところは直接私に質問したり、こうなると親子で一緒にレッスンを受けてるみたいなもので、生徒のピアノもぐんと伸びていきます。

そういう中で、ある日、ある生徒のレッスンのときのことです。いつもはとても熱心なお母さんと一緒にやってくるのですが、その日はお母さんのご都合が悪くて代わりにおばあちゃまが生徒を連れて来てくれました。前にもそういうことはあったので、普段通りにレッスンをしました。こんな風におじいちゃまやおばあちゃまの協力を得て、言わば親子三代力を合わせて教室に通ってくるご家庭がいくつかあります。お子さん(お孫さん)のためには本当にうらやましいほどの環境です。それで、その日、おばあちゃまがお孫さんのレッスンについてきて、教室の中で待っていたのですが、その生徒がまたその日、とっても上手に弾けたもので、私は思い切り褒めてあげて、大きな大きな花マルをあげました。すると、後ろの方から急にすすり泣きの声が・・・。ハッと思って生徒と同時に振り向くと、おばあちゃまが感動のあまり顔をくしゃくしゃにして、涙をこぼしているではありませんか。「孫が、こんなに、上手に弾けるなんて・・・お恥ずかしいですが、感動して涙が出てしまいました。」と泣き笑いをなさっています。 しばらくぶりにお聴きになったんでしょうね。それだけにおばあちゃまの驚きと喜びはひとしおだったようです。心から感動なさったようでした。毎日毎日熱心にお子さんの練習に付き合っている親御さんだと、逆にこういう感動はなかなか得られにくいのかもしれません。

こういうおばあちゃまのリアクションを目の当たりにして、生徒が見せる笑顔と自信に満ちた大きな喜び。これはとても大事です。これが次につながるきっかけになります。「おばあちゃまがこんなに喜んでくれた。自分はおばあちゃまを感動させることができた!」この経験が生徒自身にとってものすごく大きな力になるのです。この日のレッスンで一番効果があったのはこのおばあちゃまの涙。どんなに言葉を費やしても、これ以上生徒のやる気を引き出してくれるものはないでしょう。

かく言う私も、どんなにいい歳していても、私の演奏を聴いてくれた人に「感動した!」と言ってもらえると天にも昇る気持ちで、心の底から力が湧いてきます。これが私の頑張る原動力(豚もおだてりゃ木にのぼる!?)。これは子どもでも大人でも、みんな同じですよね。

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